ガラガラの瀬戸会場
「ガラガラ」というのは少々オーバーな表現かもしれない。でも人の波でごったがえる長久手会場から瀬戸会場へ来ると、どうしてもそういう比較になってしまう。まあもっとも私が瀬戸会場に行ったのは夕方近くで、ここが午後6時に閉門されるということもあるんだろうけど、それを割り引いてももっと賑わっていてもいいはず。確かにここは比較的目玉が少ないので、万博へ来た人の中には、一度も瀬戸会場へ足を踏み入れない人もきっと大勢居るだろう。ただ本来はここがメイン会場になるはずだったのだ。『海上の森』という広大な森林地帯を切り開いて会場を設営し、会期終了後は確か住宅にするというような計画がされていたと思う。それが自然破壊につながるという各方面からの反対の声を受け、折衷案として、近くの長久手町の『愛知青少年公園』を急遽メイン会場にし、『海上の森』はホンの少しだけいじってサテライト会場にするという、玉虫色の決定がなされた。私も地元中京地区の人間として、この万博の計画が持ち上がって以来ずっとウォッチしてきたが、当時は世論を二分するほどに賛成と反対が分かれていたように記憶している。今にして思えば遠い昔の話のように思える。結局先ほど書いたような折衷案で何とか開催することになったわけだが、そんな過程があったからこそ、この万博が『自然の叡智』をメインテーマに据えた、『愛・地球博』という名称のイベントになったのである。最初からそういうコンセプトありき、の万博ではなく、見方によっては「とってつけたような」コンセプトの万博なのだ。でも長久手会場に居るとそういったこれまでの過程など思い出すことも無い。アレほどたくさんの反対派の人たちがいたのに、今は誰も彼もみんなこの世紀のイベントを満喫しているように思える。それはそれでいいと思う。ただ瀬戸会場に来ると、「そういえばここへ来るまでにいろいろとスッタモンダが有ったなー」などと思い出されたりするのだ。