『マイナス・ゼロ』
何かのサイトか誰かのブログでチラッと紹介されていたような気がしていた。それでブックオフに行った際、何の気なしに手にとって、他の本と一緒に購入したものだ。そして読み始めてしばらくしてから、この作品及び作者の広瀬正氏のことを改めて調べてみて、驚いた。つい最近の作品かと思っていたら、刊行は何と1970年、今から40年も前で、しかも作者の広瀬氏は、この2年後に鬼籍に入っておられる。しかしそんなことはつゆほども思わせない、素晴らしい作品だった。ふつう何十年も前の小説を読むと、時代設定の違いそのものにより作品の古さを感じるのはともかく、文体の違いが何となく時代を感じさせるということもままある。しかしこの作品はそれが全く無い。みずみずしい文章だ。もっとも「タイムトラベルもの」だから、時代設定云々ということはあまり関係ないが、この文章は今この時代に読んでも、充分に通用するように思った。プロットもしっかりしてるし、登場人物のキャラも一人一人がみんな、生き生きとしている。おそらくはこのあと何年経っても、全く色褪せない輝きを放ち続ける、そんな作品だと思った。それにしても、自分が小学校に入りたての頃に書かれたものを、今の時代のものと勘違いしてしまうなんて.....。【2冊同時購入ポイント3倍】マイナス・ゼロ改訂新版