クレームも人それぞれ
ウチの店が販売した商品についてのクレームというのは、長く商売をしていればまあそれなりにあるものだ。もっともウチの店サイドでの不手際ということはほとんどなく、何かあれば大半はメーカーに連絡して対処してもらう。メーカー側も手馴れたもので、代品の手配、商品不良なら現品の分析、場合によってはお客さんへの謝罪、などなどそれなりの処理を行う。ただここで気をつけておかなければいけないのが、そのクレームを発しているお客さんの性格だ。大きく分けるとふた通りある。まずは、とにもかくにも生産者としての責任を問う、という立場だ。この立場の方は、あくまでも商品の責任はメーカーが持つべきであって、販売者である我々は速やかにメーカーに連絡を取り、あとはメーカーが直接釈明すべきだ、と考える。私自身が消費者であっても、必ずメーカーから直接の説明なり釈明を求める方だから、こちらのタイプに属するのだろうが、世の中いろんな方がいるから、それが必ずしもいいとは限らない。で、もう一方のタイプは、あくまでも我々末端の小売業者を窓口とした説明を求める、というものだ。こうした方々に共通しているのは、自分たちはメーカーと直接相対したくない、ということだ。そこにはいろんな考え方があるだろうが、うがった見方をすれば、「素性を明らかにすることで、うるさいヤツだと思われたくない」といった心理も働くのかもしれない。そこで我々が気をつけるべきは、当のお客さんがどちらのタイプかを見極める、ということだ。実は私自身、過去に何度か逆の対応をしようとして、お客さんから嫌がられた経験があるからだ。ある時、とあるお得意先の飲み屋さんで不良品が出た際、私は代品と交換した上で、そのメーカーに連絡し、その飲み屋を訪問するように求めた。ところが件の飲み屋さんの店主にはそれが気に入らなかったようで、後から少々嫌味っぽい言葉を浴びせられてしまった。必要以上にコトが大袈裟になったようで、嫌な気持ちがしたようだった。別の時には、私自身が「大したことない」と判断して、メーカーに報告しなかったことに対し、ご立腹された事例もあった。本当にクレーム処理というものは、機敏に空気を読みながら臨機応変に対応していく必要がある。