根拠のない「プラス思考」
このところ、ウチの店は災難続きだ。まずはレジ機として使用しているパソコンが、訳もなく突然ダウンする、先日来そんな症状が続いている。いざお客さんが来てレジを打とうと思ったら画面が真っ暗......といった状況だ。私はともかく、時々店番を頼む私の両親の時にこうなったら、それはもう大変だ。私が配達先であれ何であれ、「レジが壊れた~!!」といってその都度呼び出しが掛かるのだから、堪ったものではない。そして先日は、店のリーチイン(=要するに冷蔵庫)がダウンした。モーターは動いているのだが、まったく冷えないのだ。業者に来て診てもらったところ、特定の部品を取寄せないと直せないとのことで、多少時間が掛かるとのこと。取りあえず要冷蔵の「生酒」などの類を倉庫の冷蔵庫に避難させたものの、そういった商品が店頭に無い上に、ビールなども冷えてないわけだから、どうしたって販売には支障が出てしまう。しかし問題はそれだけではない。レジ機のパソコンもリーチインもリース物件なのだが、いわゆる保守契約に入ってなかったのだ。双方とも規定のリース期間を満了し、新たに1年毎の再リースとなったものだが、その際に保守契約を結ばなかった。一応どうしようかと考えたが、それまでのリース期間で不具合はまったくなく、言ってみれば高をくくっていたとも言える。それにもし何か修理することがあっても、保守契約の総額と比較したら、どっちが得だか判然としない、という判断もあったと思う。どちらにしても根底に流れているのは、根拠のない「プラス思考」だ。通常「プラス思考」と「マイナス思考」とでは、「マイナス思考」の方が忌み嫌われる場合が多いが、こういった機器の保守とか生命・損害保険のように、「万一に備える」性格のものについては、当然マイナス思考で考えることが前提となろう。そりゃそうだ、プラス思考の人間ばかりだったら、保険会社なんて、みんな潰れてしまう。ところが私は、保守契約を結ぶかどうかの判断をする際に、「根拠のないプラス思考」が大きく働いてしまうようだ。それはひとえに、少しでも経費を抑えたいというケチケチ根性から来るものだったりする。ただ仮に何かあったときの修理代金が、保守契約に掛かる経費の総額よりも安く済んだとしても、それ(数万から数十万円にはなろう)を一時に払う時のダメージの方が、はるかに大きいのだ。例えば自動車保険のケース。私はずっと「自損事故」の特約を付けてなかったが、数年前に妻がボディをしたたかに擦った(えぐった、と言った方がいいくらい)際に、修理代金として20万円ほど掛かった。これには私のフトコロは相当に堪えた。確かに私がクルマを所有し始めてからの約20年間、自損事故の特約を付けていれば、その総額は20万円どころではなかっただろう。しかし月額にすればおそらく数千円程度、そういう感覚でならダメージというほどでもない。これが一度に20万円飛んでいくとなると、ダメージは桁違いだ。で、今まさに同じような状況が起きようとしているのだ、しかもダブルで。とりあえずレジ機もリーチインも、今からでも保守契約を取り付けようと思っている。保守なんてのは保険と一緒で、半強制的にでも入っとくべきものだ、という感覚でいた方が良さそうだ、これからは。