若さと気ままさ
離れて暮らしている大学生の長男が、突然帰省した。いや、帰省というとちょっとニュアンスが違う。1時間ばかりの「滞在」だ。実は彼は2人の友人とともにドライブ旅行の途中で、ウチに立ち寄ったというわけだ。まあ本来ならその友人たちにも食事など出して歓待したいところではあったが、なにぶん今日は月末の土曜日ということで店も忙しく、お茶とお菓子で簡単にもてなした。聞けば彼らは2日前に出発して、京都や大阪を廻ったあと伊勢神宮に足を延ばし、これから帰っていこうかというところで、ここに立ち寄ったそうだ。行先はまったく決めずに、まったくの「行き当たりばったり」の旅である。私達からするとなんとも羨ましいことだが、これも若さの特権、若いうちはこんな方がいい。道中気を付けるように諭しつつも、充分楽しんでいけと言って送り出した。ムスコたちの姿を見て思い出したことがあった。私が大学時代、ひとつ上の先輩に自分のクルマ(ワゴン車)を持っている人がいたのだが、その人は昼夜を問わず誰彼となく誘い出しては、そのクルマに乗せてよくあちこち出掛けていた。なんせ強引な人だったので、その人にいきなり引っ張り出されてお誘いを受けて、あちこち連れ回される連れて行ってもらうことに多少の戸惑いもあったが、今思えばいろいろと得難い体験をさせてもらった、ともいえるかもしれない。なによりあの時期の、自由に満ちていた時間を目一杯有意義に使うことが出来てたんだと、今では思える。なんか今のムスコたちも、昔の私たちと似たようなことやってんだなあ。