何度でも言うけど、クライマックスシリーズについて
以前からずっと言い続けていることだが、何度でも言う。クライマックスシリーズ(以下「CS」)なんて、即刻廃止して欲しい。日本シリーズは絶対に両リーグのチャンピオン同士が戦う場でなければいけない。とはいえ開始からすでに10年が経過し、一般的にも認知されているのが何とも歯がゆい。ところが今年はベイスターズの予想外の検討により、首位から14.5ゲームも離されたチームがシリーズに出るという、異常事態が起こった。パ・リーグではイーグルスも頑張って第1ステージを制していたから、もしかすると両リーグの3位同士のシリーズになっていたかもしれない。こういう現実を前に、違和感を感じてくれる人が増えると嬉しいのだが。もっともCSというのは興行的にはうま味があるわけだから、当該チームやリーグとして止めたくはないのは当然だろう。またファンの立場としても、消化試合が減ることにより、最後まで楽しみが残る、というメリット感じる人も少なくないだろう。こういった状況の中で、CSを止めさせようとすると、やっぱりその“異常性”を強く訴えるしかない。それにはまずCSがどのようにして始まったか、というところから始めねばなるまい。で、以下は私のリアルタイムでの記憶に沿った、CS導入の経緯だ。あくまでも個人の記憶なので、間違っているところは突っ込んでいただいて結構です。消化試合をいかにして活性化させるか、というのは、長年の懸案事項だった。その点はパ・リーグが先駆的で、一時期“前・後期制”のプレーオフを実施していたが、過密日程などの理由で、最終的には廃止された。それが違う形で復活したのが2000年代半ば。ちょうどリーグ再編問題で球界が揺れていた、まさにその時だ。その前にアメリカ・メジャーリーグのプレーオフについて触れておきたい。メジャーには「アメリカン・リーグ」と「ナショナル・リーグ」があり、それぞれチーム数が多いために、地区を分けて運営されている。最初のうちは両リーグとも「東地区」と「西地区」だけしかなかったので、リーグチャンピオンを決するのも簡単だった。ところが90年代に球団数が増えたことにより、「中地区」というものが出来た。そうなるとリーグチャンピオンシップを行うに当たって、奇数になってしまう。そこで出てきたのが、「ワイルドカード」という考え方だ。各3地区のチャンピオンと、最も勝率の高い2位チームの合計4チームでトーナメント戦を行った。今では少々形態が異なっているものの、基本形はこの時生まれたと言っていいと思う。で、この形式がメジャーで定着し、ワイルドカードからの優勝チームも出たりした。そういうニュースが日本に流れると、日本人も感化されてしまう。「そうか、リーグ1位じゃなくてもシリーズに進出する可能性があってもいいんだ!」まずはパ・リーグが動いた。2004年に上位3チームによるトーナメント方式のプレーオフを始めたのだ。仕組みは基本的に現状と同じだが、アドバンテージなどがあったかどうかは忘れた。ただこの時はこのプレーオフで勝ち上がったチームがリーグチャンピオンとされており、その点は現状よりも悪い点で、ホークスなどはよく涙を飲んでいたと記憶している。パ・リーグのプレーオフがたまたま白熱した試合続きだったことで、それに感化されたセ・リーグでもついに導入することが決まった。そして2007年、セ・パ共通の「クライマックスシリーズ」が始まり、現在に至る。そう、だから所詮「アメリカの真似」でしかないのだ。そもそもMLBは30球団もあって、日本とは分母も違う。現状MLBは30チームあって、プレーオフ進出は10チーム。日本では12チーム中6チーム。カタチだけ真似るのはナンセンスでしかない。ただCSを良しとする人にも言い分はあるだろう。例えば「CSがあることで消化試合が減って見応えのあるゲームが増える」というもの。確かにそれはその通りかもしれない。ただ「日本シリーズ進出チームをを決する」ための試合の根拠がそれであるとしたら、それはあまりにも情けないのではないだろうか?「消化試合を減らす」ということで言えば、他にも方法はあるのではないか?具体的には今は浮かばないが、例えばシーズン順位に従って、何らかのインセンティブを付与するとか。また「興行面においても無視できない」、という意見もあるだろう。それに対しては、それ以前にレギュラーシーズンでもっと収益を上げる方法を考えたらいかがか、と言っておきたい。現状出来上がっているシステムを変えるのは難しいことだが、そういった意味でやっぱり私はCSには反対だ。