2,500円
太田裕美の歌に「海に降る雪」というのがある。この歌の歌詞の中にこんな一説がある。 「帰りの電車代さえ、レコードに化けたから、2時間も波打ち際」きっとこの歌の登場人物は、どうしても欲しいと思えるレコードに出会ったがために、帰り道電車に乗ることを諦めて、2時間歩いてでも買いたいと思ったのだろう。私達の若い頃は、1枚2,500円ほどのレコードがなかなか買えなくて、何かと生活を切り詰めたりして、お金を工面したものだ。その「2,500円」がいつの間にか、物事の価値を計る判断基準になったりもした。何か大きな買い物をしようかどうか迷った時、「これがレコード○枚分か~」とよく考えた。この歌詞はそんな私の感覚に妙に通じるものがある。その後CDが登場し、新譜の一般的な単価は3,000円ほどになったが、その一方で「BOOK OFF」や「Amazon」を利用すれば、もっと安価で購入できる。それでもどういうわけか、私の頭の中でいまだに「2,500円」が幅を利かしているのは、もしかしたら“ノスタルジー”ということだけなのかもしれない。