あおり運転の向こう側
先日久しぶりに高速道路で運転した。一昨年だったかに、いわゆる「煽り運転」が引き金となった悲惨な事故があったが、その余波もあるのか、以前はしょっちゅう見かけられた「煽る」横着なクルマが、まったく見られなかった。追い越し車線を延々と走るクルマも減り、追い越したらすぐに走行車線に戻るクルマが増えたように思う。死亡事故という代償はあったにせよ、こうやって何かを契機にマナーが向上するのはいいことだ。ただその一方で、「煽られる」クルマに対する接し方も問題になるかもしれない。あおり運転の原因のひとつに、追い越し車線を低速で走るクルマの存在があるということは、これまでいろんなところで言われてきた。今回のドライブでも、そういうクルマを何台か見かけた。以前だったら格好の“煽り”の対象となるところだろうが、このご時世、さすがに煽ろうとするクルマも無い。そういう低速走行のクルマの後をもどかしくついて行くしかない。ただこれはこれで良いことではない、というのは自明の理。何らかの方法で注意を促すことは必要と考える。ただここでパッシングなどしようものなら、煽り運転のそしりを免れまい。でも例えば、交差点で信号が青に変わってもなかなか動き出さないクルマに対して、後続車がクラクションを鳴らすことが、許容範囲内のことだと考えるのと全く同じ感覚で、走行車線を低速で走るクルマに後ろからパッシングすることは、同じように許容範囲内だと考えられてもいいのではないだろうか。このあたりの感覚は受け手がどう感じるかにもよるだろうが、「煽り運転」というワードで感覚ががんじがらめになってしまわないように願いたい。