ボージョレ・ヌーヴォー、や~めた!
毎年11月の第3木曜日に解禁となる「ボージョレ・ヌーヴォー」。一時のお祭り騒ぎはさすがに鳴りを潜めたものの、それでも解禁日近くになるとメディアで取り上げられる機会はそこそこある。それに反応するお客さんも一定数いるので、当店でも(数量は格段に減ったが)取り扱いを継続してきた。しかし今年は全面的に扱いを止めることにした。まず最も大きな理由が、当店でメインで取り扱っていた、某インポーターが輸入する某ワイナリーの商品が、今年は扱いが無くなってしまった、ということだ。長年継続して扱ってきて、そのクォリティには全幅の信頼を置いていただけに、その代わりを探すのは困難なのだ。そしてこれは皆さん先刻ご承知のことだが、ボージョレ・ヌーヴォーのみならずワインが全般的に値上がりしている、ということもある。その要因には蔵出し価格のアップ、為替変動、資材高騰などいろいろあるが、ことボージョレ・ヌーヴォーに限って言えば、ウクライナ戦争の影響も否定できない。輸入ワインのほとんどは船便なので関係はないが、基本的に航空便で来るボージョレ・ヌーヴォーの場合、フランスから日本への最短ルートがロシア領内なので、空路を変更せざるを得なくなり、それで余分に燃料費が掛かってしまうというわけだ(もちろんそれ以前に原油高も大きいが)。まあ理由はともあれ、あまりに高額になってしまったボージョレ・ヌーヴォーに何の意味があるのか、ということも改めて考えざるを得ない。私自身売ってる立場でこう言うのもなんだが、本当にボージョレ・ヌーヴォーの価値を重視して購入される方がどれくらいいるのか、正直疑問ではある。例えば当店で毎年購入されるある方は、毎年クリスマスやお正月に開けられるという。別にそれが悪いというわけではないが、本来の意味とは違うし、ハレの日のワインということであればもっと良いモノをご提案できる。要は日本特有のいびつな取り上げ方が今まで横行していて、それに業界もメディアも引っ掻き回されてきた歴史が続いてきたと思うのだ(偏見かもしれないが)。それにピリオドを打つ千才一隅のチャンスだと個人的には思った。そういうわけでウチの店では今年はボージョレ・ヌーヴォーの取り扱いは止めることにした。いや、「今年は」というか、「今後は」ということになる可能性が高いとは思うが...。