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テーマ:酒類業界の打ち明け話(24)
カテゴリ:業界ネタ
以前、高校に通うムスコから「タイピン、無い?」と聞かれた。
彼の高校の制服はブレザーだから、当然ネクタイもあるので、タイピンを求めても 不思議ではないのだが、ちょっと意外な気がした。 というのも私が毎日スーツに身を包んでいたサラリーマン時代は、タイピンなどするのは かえって「ダサイ」という風潮があったからだ(今はどうだか知らないが)。 そういう訳で、私自身はタイピンなど持ち合わせていない。 そこで私の父に聞いてみたら、あるよ、ということで応じてくれた。 ただいくつか出してきてくれたものを見て、私は思わず吹き出してしまった。 バランタインだの、ヘネシーだの、カティーサークだのと、ほとんど全部が 洋酒のマークがデカデカと入った、ノベルティグッズなのだ。 それを全部見せてやったところ、ムスコはいちばんロゴが小さくまとまった 「バランタイン」のものを持っていった。 実際にムスコがタイピンをするのを見てみると、上下ある下の方のタイに引っ掛けて、 外からは見えないようにしていた。ナルホドな。 それにしてもこれだけ一同にタイピンが揃った光景を目の当たりにすると、かつての輸入洋酒の代理店が、 いかに販促品にカネを使っていたか、ということを改めて実感させられる。 今でこそ考えられないが、昔の輸入酒代理店は、景品付きのキャンペーンがやたら多かった。 以前もウチの倉庫を整理した際に、これでもかこれでもか、というくらい、 昔の洋酒の景品類が出てきて、結構お客さんにもあげたりしたものだ。 キャンペーンの内容も様々で、消費者向けなら1本に1個付きのいわゆる「ベタ付き」キャンペーン、 酒販店向けには、一定期間中に仕入れるケース数に応じて何らかの景品がもらえるという、 販促キャンペーンがしょっちゅうあった。 それだけ昔は輸入洋酒の価格も高く、その分代理店のマージンもかなり取れていたということなのだろう。 それが酒税法の改正やディスカウントの台頭との影響で、輸入洋酒も値崩れを起こした。 それからは景品付きキャンペーンなんかも、どんどんなくなっていったように思う。 もっとも今は景品に釣られて高い洋酒を買う人なんて、まずごくわずかしかいないと思うし、 我々だって景品に釣られて無駄な仕入をすることも無くなったから、無いなら無いで一向に構わないのだが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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