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カテゴリ:業界ネタ
ここでは卸店経由で流通する商品について書くが、先日の投稿にも書いたように、この業界では何かしら「品薄なモノ」が発生することが多い。「リターナブル瓶飲料」の他では、最近なら「国産ウィスキー」がその筆頭に上がるだろうが、時と場合によってそのほかにもいろいろある。
我々がそういうものを卸店に発注すると、「当該商品は現在品切れ中です」という返事が返ってくる(ほとんどはFAX)。で、結果的にいつまで経ってもなかなか入ってこない。直に担当者にコンタクトを取って問い詰めても、メーカーからいつ入ってくるか分からない、入ってきてもごく少量なので上手く行き渡らせられるかどうかわからない、ということになる。 つまりはこういうことだ。ある「A」という商品が何らかの事情で供給不足になったとする。そうするとその「A」を生産しているメーカーは、需給バランスの崩れてしまった中で、何らかのさじ加減が求められることとなる。 例えば「100」の出荷能力に対して、問屋から合計「500」の注文が舞い込んだとしよう。仮にそれが5軒の問屋からの注文だとしたら、果たして均等に「100」ずつ分けて出荷するだろうか? もちろん答えは「否」。5軒の問屋というのはメーカーから見て決してイーブンではなく、過去の実績や貢献度によって序列化されているからだ。この際によく用いられるのが「実績比」。つまり出荷可能な「100」を5軒の問屋の過去の実績比で按分して出荷する、というのがまあスタンダードだと思われる。 そしてその問屋の次には小売店がある。問屋から小売店への流通に際しても同じ論理が適用される。つまりほとんどが「実績比」で出荷量が按分されるということだ。その結果、ある商品が品薄状態にあっても、各小売店が仕入れられる量は平等ではないという現実が起こってくる。 やっかいなのは例えばウチの卸先の飲食店に、他に複数の酒販店が入り込んでいる場合だ。ウチが「全く入ってこないんです」と言っている商品が別の店にはある、ということが往々にして起こる。そうなると飲食店は上記の流通事情などあずかり知らないから、ウチの店の態度に疑念を抱くか、ウチの店よりも他の店を優位に見る、ということが起こってくる。そして最悪の場合は、メイン納入がひっくり返ってしまうということも皆無ではない。 そういう状況に際して、酒販店ももっと多くの問屋にオファーを掛ければいいのではないか、というご意見もある。ごもっともなことではあるが、そんなことはみんなとうにやっていて、問屋としても今まで「A」という商品の販売実績が無かった小売店から注文があっても、まず「実績なし」ということで無視されてしまう。 そういうわけで、こと「〇〇が品薄だ!」ということが起こると、そのたびに胃の痛い想いをすることになるのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年07月03日 23時35分01秒
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