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カテゴリ:海外文庫
真の聖女か希代の悪女か?死刑囚の素顔を知るタイムリミットはあと10日! 「あたくしは人の命を奪いました」死刑執行まであと10日に迫ったロナ=リーは、マスコミのインタビューに聖女の微笑みを浮かべて答えていた。17年前「斧があの女をぶった切るたびに、はじけちゃった」と笑いながら人を殺した女性とはとても思えない。彼女はほんとうにそのような凄惨な殺人をやってのけたのだろうか? どこか不自然なところを感じたFBIの女性捜査官ポピーは、現地テキサスへと飛び、事件の再調査を開始する。鋭い推理とタフな捜査で知られるポピーだが、限られた時間のなかで、真実を探り出せるのか? 緊迫感に満ちた本格サスペンス。 メアリ=アン・T. スミスは、実話の事件を元に小説を書いてるらしいのですが、本作もカーラ・フェイ・タッカーという女性死刑囚の話が元ネタになってるみたいです。 カーラ・フェイ・タッカーは助命嘆願の多かった女性死刑囚として有名で、キリスト教徒として自らの罪を悔い改め世の中の人々に役立つ行いをしていきたいとい語ったことから、全米から助命嘆願が寄せられた上、当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世まで助命嘆願をしました。 でも結局は当時のテキサス州知事ジョージ・W・ブッシュが恩恵を拒否したために死刑は執行されました。 この小説での死刑囚ロナ=リーもタッカーと同じく死刑判決を受けてからキリスト教徒として悔い改めそれをテレビで語ったので助命嘆願が寄せられます。 彼女の出演したテレビ番組を観たFBI特別捜査官ペネロピは、彼女の華奢な体を見て当時衰弱してた彼女が本当に斧で人を殺せたのか疑問に思います。 この事件に不自然なところがあると感じたペネロピはテキサスに飛んで事件を再捜査しようとするのですが・・・。 死刑制度に対しての考え方は人それぞれやと思うのですが、死刑囚がテレビに出演して自分の罪を悔い改めたと告白するところはアメリカらしいですね。 そこにキリスト教を絡めてきて、全ての出来事を神のお告げとして解決しようとしてるところがキリスト教徒でもない人には理解出来ない部分です。 ロナ=リーが本当に殺してないとしたら事件が再捜査されるのは当然やけど、それを嫌がら知事や関係者とペネロピーの対立は読んでいて面白かったです。 テキサスの人はテキサスの事を州とは思っていなくて国と思ってるので、テキサスならではの考え方があるので捜査が進展しないのが少し歯痒いけど、それを巧くいかした展開は見事です。 前半と後半では全く違った展開になるのですが、前半に散りばめてた布石が後半に生きてくるのがいいですよ。 読み終わって死刑制度について考えてみようと思えるような作品ではないけど、娯楽作としては出来は良いと思いました。 評価(4.0) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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