風刺小説「月が降る夜は(後編)」by 村井亮介
・・・・この人類の終焉は、人類が地球に干渉したために、
引き起こされたのです。
それだというのに、人類が助かるエゴのために、再び自然律に
干渉していいのでしょうか。
そんなことはありません。
宇宙へ出ることは、再び星を滅ぼす歴史をくり返すことなのです。
美しく人類の罪を償おうではありませんか・・・・
そう国連大統領はヒステリックに演説しました。
情緒の洗練された世紀に住む私たちは、これを聞いてシュンと
なってしまいました。
おそらく、この世紀末の憂鬱は今まで経験したどの世紀末の
退廃よりも哀しいものでしょう。
だって、過去の末法思想、終末思想とは異なって、このたびは、
本当におしまいなのですから。
「あれが今の月の姿なの。綺麗なほうき星なのね。」
彼女が誰に語るともなく言いました。
・・・・人類を消し去る月だと言うのに、感傷的だね・・・・
とても私にはそれは言えないんですよ。
だって彼女のその言葉は時代の言葉そのものなのですから。
ああ、もし人々が、環境について、鈍感でなく、
感傷的すぎなかったら・・・。
いえ、つい口が滑りました。古代史で21世紀を学ぶ変人の
言うことです。どうか、気にしないで下さい。
徐々に大気圏に侵入しつつある月は、青く光る炎となって、
私の目にも美しく映っています。
月の降る夜は彼女と私はどうしているのでしょう。
「きっと、ここでこうして月の最後の輝きにみとれていると
思うの、あたし。」
そうして人類は一部の人々への制裁を自らに科して、永い歴史に
幕をとじるのでしょう。
完
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