お店のお婆さんはとても驚いた顔をした後で笑いながら話しかけた。
「あらま、女の子やったと?男子の制服ば着とるったい」
男子校の制服を着た長身の女の子・葦原葵子(あしはらあおいこ)は
爽やかな笑顔を見せて片手を拝むようにした。
「お騒がせしてすみません。ちょっとした悪ふざけです」
「別に構わんとよ、うちのことは気にせんでよかけんね」
そこへ泡を食ったように蘭子は話しに割って入った。
「なんで男子の制服ば着とると?それどげんしたと?」
「うん、兄ちゃんに借りたとよ」
「へえー、すごい似合っとうね、好きんなってしまいそうごと
かっこよかね」
「それ、今までは好きやなかったって意味やん?」
「違うとよ、そげん意味やなかったと」
「わかっとう、わかっとう」
「もう!葵子は時々意地の悪かけん」
「すまん、すまん」
「お婆ちゃん、ソフトクリームば二つ下さい」
お店の奥から「はーい」と返事があった。
「蘭子さあ、もうすぐ夏休みばってん、そろそろよかとやろ?
お医者様はもう良かって言うてくれたと?陸上部には戻れると?
あたしは本当に責任ば感じるけん気になるとよ」
TO BE CONTINUED
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最終更新日
2015年06月19日 08時46分14秒
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