MURDEROUS PLOT
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こんにちは。お久しぶりです。とはいえ、このページを見てくれる知人はもういないのかもしれませんね…。 長い間、ここの更新を留めていて申し訳ありません。近況報告に参りました。私は今、7月にある教員採用試験に向けて取り組んでいます。…と言いたいのですが、まだきちんと取り組めていませんorz学校の先生になります。資質があるかどうか、なんて全然分かりません。寧ろないんじゃないかって思うくらい。でも、なりたいと思います。そう思って、一生懸命がんばります。昔から、なりたいものは、そりゃあもちろん、数え切れないくらいありました。でも、今は自分の選んだ選択肢に責任をもって、その方向に進んでいこうと思います。これから、自分がどんな風になるかはまだ分かりません。未来はきっと、未来の自分にしか分からないだろうから。でも、今はとにかく、この道を進もうと思います。それが自分を成長させると信じて。
2011.01.11
一連の硫化水素自殺の報道のせいで、自殺と検索をしても自殺の仕方がひっかからなくなりました。「自殺するのがいかに大変なことか」や、「自殺を防ぐ方法」というサイトはすぐ出て来るんですけど、前まで簡単に見つけられた死ぬ方法を載せているサイトさんに中々たどり着けません。死ねる訳なんてないって、自分でも分かってます。死ぬつもりに…命を捨てる気になれたなら、その命を上手く使っていけばいいって。分かってるけど、調べたいんです。調べておきたい。祖母は曾祖母が亡くなる前後から睡眠安定剤のようなものを飲んでいるようで、もし祖母の持っているものをくすねたら・・・とか、特に精神状態が不安定だった3月頃に考えました。毎日眠れなくて、ベッドに就いても胸がばくばくして、吐き気がして、朝が来るのが怖くて、どうしようもなかった時、祖母に眠れないのだと話したら、その一錠を分けてくれました。でも、薬に頼るのはよくないことだと、なんとか押し留まってまだ飲んでいないので、その一錠分は手元にあります。祖母が睡眠安定剤を何処に仕舞っているのかは教えてもらえていないので、見つけることはとても難しそうですけど…。友達に励ましてもらえている。自分で選んだことだって分かっていて、でもどうしようもなく吐き気がする現実。自分が無計画に生きてきたから、こうなっちゃったんだ。選んだのは自分、振り回したのも自分。なんでこうしちゃったのか、こうなっちゃったのか分からない。さからっちゃいけない、ないがしろにしないでほしい、みとめてほしい、だれからもみとめてもらえないわたしがこのさきはたらけるはずがない。一杯、2月から3月、はてもや4月までこうして考えていました。今の自分は、なりたくない自分です。一番この世でいなくなってほしい人間は、自分です。今すぐ生まれ変わりたい。そして、私の好きなある友達のように、なりたい。
2008.05.03
HTMLと格闘しつつ、FFFTPとも格闘しつつ、タグ打ち頑張ってます。とりあえずテンプレサイトさんからテンプレ拝借して、型だけは完成した形で、あとは色々勝手にいじくるだけって感じです。この日記には書いたことが無いかも分かりませんが、現在私は、『遙かなる時空の中で3』にハマっています。それ故、このジャンル…と、逆転裁判や、その他私の書きたいもので好き勝手に、小説サイトを作ろうかなぁともくろんでいます。でも、いちいち改行にもタグで<br>と打たなきゃいけないし、小説が出来た後改行やら形を整えてやらしてアップしていくのは相当に骨が折れそうです;ハマると一直線なのですが、ハマれないとすぐに飽きちゃうタイプなので、制作が完了しても更新が出来るかどうかが目下の悩みですorz好きなジャンルもしょっちゅう変わるタイプなので、よろずサイトになりそうな予感が高いです。でも、ジャンルが変わっても、前に好きだったジャンルはいつまでも大好きなことには変わりないのですが。あと、それから。大学を再受験して、合格しました。そのことで今更鬱になってしまったりして、どうしたら良いのやらといった感じです。幼児教育なんて、私には向いてないとも思うし、モンスターペアレントの要求に耐えられるほど寛大な奴ではないですし、家庭の事情で定職につけないとまずいからという理由でこの職を選ぼうとしている自分ってどうなのかな?とか…。中学時代に体験して、楽しかったからという短絡的な理由で決めちゃうのは浅慮な気もするし、今の大学で出来た友達ともすごく親しくなれたし、小説を学ぶのはやっぱり好きだし、職に対する不安さえなければこのまま文芸学んだほうがいいんじゃないかとか…。どうすればいいのかな。友達や先生に相談してみたら、幼児教育頑張ってみたら、と声をかけてくれる方が多数でした。自分もそのつもりで受験したんだけどなぁ。でも、受験勉強、前日までの一週間そこらしかしてなくて、それまではずっとイベントいったり友達からゲーム借りて遊んでたりして、「受からなくてもいいや…むしろ、受かりたくない」と思っていた節がありそうです。自分の気持ちがどこにあるか分からない。自分はまっとうに働けない気がして、特技も何もないのろ間な私が唯一出来たピアノや読み聞かせを活かせる仕事といったら幼児教育だなんて思ったのも事実だし、精神的に荒んだ時に子どもを見て癒され、辛い時に癒してくれた子どもに接したいと思ったのも事実。ぐるぐるする。今の大学、辞めたくないという気持ちもある。新しい大学の子たちとは、話題が合わなさそうなこともあったりして。ああ卑怯だ…自分。身辺環境が忙しいと前の日記で書きましたが、この再受験のことだったんです。
2008.02.25
プロフィール欄を多少変更し、アダルト系のカキコやトラバを削除し、今まで書き込んでくださった皆さんへのお返事をしました。プロフィール欄の変更はずっとやりたかったんですけど、やり方をド忘れしていて全く直せず放置してました。花の高校生はとっくに終わったってのにいつまでも高校生表示なのに凹んでいたのですが、きちんと訂正の仕方を思い出せて今日やっと変更出来ました。身辺が色々忙しいので、また落ち着いたら状況報告に参りたいと思います。
2008.01.28
嫌な予感。編集する 2008年01月18日21:02 父方の母の家庭の面々が、死に行こうとしています。気のせいだと思いたい。出来れば気のせいであって欲しい。 曾祖母は御年100歳の喜寿も米寿も超えた長寿人。しかし数年前に足を挫いてからは、歩き回ることの叶わぬ身に。和室の一室から外へ出ることが無くなって以降、段々と耳も遠くなり、話が通じなくなりつつありました。 祖父は甘い物好きで私が物心つく前から糖尿病を患っており、昨年度はその病のせいで視力が極端に悪化し手術をし、なんとか元の視力に回復はしていました。 祖母は健勝そのものでした。 だけど、祖父の糖尿病が昨年度末から悪化して、それに伴って祖父の家庭の面子は皆一様に死に向かい行くかのように沈みがちになっていきました。 祖母は入院した祖父と家にいる曾祖母との介護に追われてどちらにも対応するのが大変になってきたので、曾祖母を老人介護施設に預けることにしました。 しかしそうしてみて一日二日経ってすぐに、曾祖母は体調を崩し病院へと運ばれました。今も全くこちらの呼びかけに答えず、ご飯も食べず、酸素吸入をしているようです。 そして祖母は、段々と痴呆の気が出てきました。こちらの呼びかけや問いかけと異なる回答を寄越すため、私の母などは相当に焦れています。周囲の人間にも沢山の迷惑をかけている様子。そしてこの病の悪いのは、本人に悪気が無いところ。母など怒り心頭で日々祖母の愚痴を零してきます。母も身内の介護に追われているのでただでさえストレスが溜まっているので、帰宅してきた私や父に愚痴でも零さねば気が収まらないようです。分かっていても、愚痴ばかり耳にすると溜息が漏れ、自然と鬱々とした気持ちになってしまいます。これぞまさしく悪循環。 人はいつか死に行く定めにあって、生まれた時から既に「死ぬために生きる」という矛盾のような使命を抱えています。 元々昔から思っていたのですが、周囲の人間に迷惑をかける位なら、そうなる前に私はこの世を去りたいなぁと改めて感じています。普段人にかなり迷惑をかけて生きているので、せめて最期くらいは『立つ鳥跡を濁さず』でありたいものだなぁ、と。 祖母の現在の姿や、曾祖母の今後、祖父のこれからを考えると哀れみと呼べば良いのか、何と言えば良いのか、複雑な気持ちになります。 時折、全てを終わらせてあげたいとさえ、思ってしまいます。勿論、そのようなことはどうしたって自分には出来ないって分かっているんですけれど。 今側で、母や父が曾祖母の葬式が近いとしたら私の礼服を買わねばならないという話をしています。 悲しいなぁ…。 この前、老人介護施設に行く直前、母と一緒に曾祖母に会いに行ったのですが、親戚も居合わせたために碌に話もしなかったのが悔やまれます。家に帰ってから、「写真を撮っておけばよかった」と思いましたが、「大丈夫、きっと元気に帰ってきてくれる」と思うことにし、諦めました。これも悔やまれます。 去年、母方の祖母の家で飼っている犬が痴呆になり、何度も家から脱走を試みたことがありました。私が行った時には、何とか連れ戻すことが出来たようで再会出来たのですが、「次に来た時には会えないかもしれない」と思い、写真を撮っておきました。そうしたら、新年の挨拶に祖母の家へ訪れたところ、やはり私が会いに行った数日後に頑丈な檻を破って失踪し、それ以降家に帰っていないのだそうです。 曾祖母もそうなってしまうんでしょうか。 祖父は、いずれそうなってしまうのでしょう。 …複雑な気持ちになります。人の死は、どうしても胸に痛みを残すものです。
2008.01.18
佐藤先生が課題として問わなければ、改めてその理由を考えることなど無かったかもしれない。私が文芸学科にいる理由など。 一番の理由は、小説を書きたいと思ったことだろうか。しかしこの学校の多くの先生が言うように、小説は文芸学科にいなければ書けないというものでもない。小説とは全く関係の無い学部にいながらにして現役作家である方もいるのだから。「ならば私は何のために此処に来たのだろう」といざ考えてみても、答えとなる良い考えが浮かばない。 何とか捻り出した次の理由は、同じように小説を書く仲間と切磋琢磨したいと思っていたことだろうか。しかし、そう思っていたというのに、この大学に入ってから友人と小説を見せ合ったりしたことなぞほとんど無い。なんせ相手が見せてくれないのだ。佐藤先生は、「自分の話を読んで貰ったなら相手の話も読みましょう」と教えて下さったけれど、相手が見せてくれないのでは私の作品を押し付ける訳にもいかないのが現状だ。 こうして考えてみると、私は文芸学科にいる必要も、理由も無いように思えてくる。何故自分は文芸学科にいるのか。自分でもよく分からないというのがひょっとしたら一番の答えなのかもしれない。 ……いや、いや。そんな風にごまかして自分に折り合いをつけてはいけない。もっとよく考えて、以下に理由を列挙しよう。 私が文芸学科に来たのは、小説を書くことが学べると思ったから。自分の書く小説に足りないものが何なのかを見極めることが出来る場所だと思ったから。自分よりも上手い話を作る人に触れることで、自らの作品に対する姿勢を向上させたかったから。そして、大好きな小説の授業を沢山受けたかったから。 これが、私が此処に来た理由で、此処に今いる理由だ。例えこの後何があっても、小説は一生大好きでいるし、小説の勉強は一生したいと思っている。此処にいようと、いまいと。文芸学科に通ったことが、意味あることとなるように。
2008.01.15
もしもリライトするならば 私がリライトしたい作品は、飯田雪子の『夏空に、きみと見た夢』だ。この話のあらすじは以下の通りである。 男の子から告白されることなど日常茶飯事の、気の強い女子高生・悠里。彼女の元に、ある日見知らぬ男子高校生・岸川が現れる。また告白かと思いきや、悠里に片思いしていた広瀬天也という男子の葬式に参列して欲しいと彼が頼み込んできたからさぁ大変。悠里は岸川を疎ましく思い、諦めて貰えるように「半日で一万円。バイトなら行ってやってもいいわよ」とつっけんどんに言う。すると男は財布から前金として五千円を悠里に手渡したのだ。これでは今更断る訳にもいかない。 しぶしぶ知り合いの一人もいない葬式に参列し退屈しながら、会ったこともない「天也」を見送ることに……。 祭壇の遺影を見ても何の感傷も持てない悠里は、「天也」の母親から渡された、悠里への想いが綴られた大切な日記も「気持ち悪い」と燃やしてしまい、葬式に出て欲しいと頼んだ岸川からも「お前なんかのどこが良くて…」と軽蔑される始末。そして葬式の後、間もなく始まった携帯への無言電話や、誰かにじっと見つめられている気味の悪い視線を「天也」のものと思い込み、いるはずのない相手に向かって悪態をつく悠里。しかしその、実体を伴わない「天也」に彼女は危機を救われることに。 いつしか、誰にも心を許せず泣くことの出来なかった悠里が「天也」にだけ心の内を見せられるようになっていく。このままこの時がずっと続くかに思われたが、何の前触れもなく、現れた時と同じように別れを告げられ、悠里は彼を喪った。何度でも生まれ変わって悠里の側にいるという彼の言葉を信じ、温かな思いを胸に日々を生きていく。 この作品は、主人公と恋愛する男子生徒を故人としてしまった時点で、結ばれない恋の話になることがほぼ確定している。こうした、覆せぬ程大きな恋の障害がある小説にありがちな「もし」という仮定が、作中にも登場した。それは「もし天也が生きている内に悠里に告白していたら、二人はどうなっただろうか」というものだ。付き合っていたのだろうか。そして、天也は死を免れたのだろうか。しかし二人が話して得た結論は、きっと現状と変わらなかっただろう、というシンプルなものだった。何せ天也は平々凡々の外見をしている。悠里はとにかく気位が高く、「自分の外見に釣り合う男子でないと付き合わない」などと、男性判断基準に中々に厳しい条件を幾つも設けていたのだ。これでは二人が付き合えるようになるのは、生きている頃では有り得なかったということになる。それこそ……、死後にコンタクトを取る位しか、二人が惹かれ合うまでの過程は存在しない。 しかし私は、だからこそ敢えて生きている頃に彼らの間で幾度となく接触が取られる話が書きたいと思う。リライトするにあたり、オリジナルと変えたい部分は「天也の死」と、「天也と悠里の(生きている時の)交流」だ。私の書き直す世界では、天也が悠里に告白をするところから始まる。そうして手酷く振られてしまうのだ。しかしそれでも天也は悠里を思い続ける。諦めずに何度も彼女に顔を見せる天也。悠里は彼を疎ましい存在に思うが、しかしそれでも天也は彼女を追い続ける。顔を合わせる回数が増えていき、悠里は天也に絆されていく自分に気づく。そして悠里からももう少し歩み寄りをしようかというところに……突然の天也の死。悠里はただ天也を思い慟哭するばかり。ありがちなストーリーと言われてしまえばそれまでなのだけれど、それでも私はこの二人のこうした出会い方で始まる話も読んでみたいと思うのだ。何故なら、こうなった時には悠里は他人面して葬儀場に立つことなど不可能だからだ。彼女は、天也を焼き尽くした煙を吐く細長い煙突を眺めながら、果たして何を思うのだろう。まだこの話を書き始めてすらいないのに、既に話の結末に思いを馳せてしまう私がいる。
2007.11.16
差出人のいない手紙 自分で自分に課している、一年に一度の大掃除の日。それが今日だ。名称とは裏腹に、この大掃除は部屋を綺麗にしたいとか、そういう殊勝な気持ちで行われる儀式ではない。単に私が昔の思い出の品を掘り当てたいと思って、その発掘作業に「大掃除」と名付けただけなのだ。 朝から部屋のあちこちを突っつくと、思い出の品が出るわ出るわの大騒ぎ。好きだったアニメのキャラクターの人形やら、誕生日に父から買って貰った玩具やら、転校した友達との間でやり取りされた手紙やら。どれも眺めるだけでホワホワと心が温まる代物だ。当時の自分がそこから透けて見えるのが気恥ずかしくもあり、また同時に嬉しくもあった。 箪笥の奥から茶封筒が一つ出てきた時には、これもきっと昔を私に思い出させてくれるに違いないと踏んだ。特にそう思うに足る理由がその封筒の外見にあった訳では無い。直感のようなものと呼べば良いのだろうか。 誰もいない部屋の中で、誰に急かされることもなくゆっくり封を開ける。するとそこには三つ折になった真っ白い便箋がたったの一枚だけ入っていた。のんびりとした手つきでそれを開くと、そこにはミミズののたくったような文字でこう書かれていた。『二十才のかおる姉ちゃんへ。 ぼくのこと、覚えてますか。おとなりに住んでいる、ゆずるです。 ぼくは未来のかおる姉ちゃんに、かおる姉ちゃんは未来のぼくにお手紙を書こうって約束したこと、覚えてますか。 今ぼくのとなりで、かおる姉ちゃんもぼくへのお手紙をがんばって書いているみたいです。 姉ちゃんは「こういうしゃちこばった文章ってきらいなのに」とぼやいています。ぼくには姉ちゃんの言葉がよく分かりません。でも、お手紙を書くのが苦手なのは側にいてよく分かりました。おしゃべりは上手なんだから、そのまま紙に書けばいいのにとぼくは思います。 そうそう。未来のぼくとかおる姉ちゃんは、仲良くしてますか。未来のぼくは、背が伸びましたか。かけっこで一等賞を取れるようになりましたか。お姉ちゃんは、どんな人になってますか。今のぼくには何も分かりません。でもきっと未来のぼくらは、虹みたいにきれいな世界で、花みたいにニコニコ笑っているんだろうなと思います。』 思い出の品を掘り当てる時はいつも楽しい気持ちになれた。懐かしいと思いを馳せた。 でもこの手紙だけは違った。 私も彼に手紙を書いて渡したけれど、結局彼はそれを読むことが許される年齢を待たずにこの世から去っていった。 彼に読まれなかったあの手紙は、今はどうなっているのだろうか。
2007.11.14
テーマ「二十歳の地図」 自分で自分に課している、一年に一度の大掃除の日。それが今日だ。名称とは裏腹に、この大掃除は部屋を綺麗にしたいとか、そういう殊勝な気持ちで行われる儀式ではない。単に私が昔の思い出の品を掘り当てたいと思って、その発掘作業に「大掃除」と名付けただけなのだから。 朝から部屋のあちこちを突っつくと、思い出の品が出るわ出るわの大騒ぎ。好きだったアニメのキャラクターの人形やら、小学生の頃に好きだった男の子から貰ったどんぐりやら、転校した友達との間でやり取りされた手紙やら。どれも眺めるだけでホワホワと心が温まる代物だ。当時の自分がそこから透けて見えるのが気恥ずかしくもあり、また同時に嬉しくもあった。 箪笥の奥から茶封筒が一つ出てきた時には、これもきっと昔を私に思い出させてくれるに違いないと踏んだ。特にそう思うに足る理由がその封筒の外見にあった訳では無い。直感のようなものと呼べば良いのだろうか。 誰もいない部屋の中で、誰に急かされることもなくゆっくり封を開ける。するとそこには三つ折になった真っ白い便箋がたったの一枚入っていただけだった。
2007.11.13
近づきたいけれど、そのものにはなりたくない どう考えても私は天才では無い。だから、天才の書く小説に少しでも自分の作品を近づけたくて日本大学芸術学部の文芸学科に入学した。 先生の書かれた本『賢治文学「呪い」の構造』には、天才と名高い宮澤賢治に秘められた数々の不思議が散りばめられていた。ゼミの課題で私は沢山の賢治の本を読んだというのに、初めて知る話が幾つもあったのだから驚きだ。創作スタイルが夜の森を歩きながらだったということや、彼がゲイかもしれないこと、その生誕と死に際して天変地異が起こったこと。これだけではなく、他にも初めて知る事実はたっぷりあった。 その中で私の興味を引いた話は果たして幾つあっただろう。本に載っているどの話も突飛で型破りで、彼の人生そのものが途轍もなく興味深く感じられた程だったのだから、数えてみるときっと相当な数になるだろう。 一番面白いと思ったのは、石原莞爾と賢治の間に共通点があることだ。満州国建国のために酷薄な行いをした石原と、老若男女を不思議な世界へ誘う賢治に一致することなど何も無いように感じられたため、先生の綴る文章を急ぐように読み進めてしまった程だ。先生のお蔭で、日本史の教科書だけでは分からない戦争の裏側が分かってとても楽しかった。かの東条英機も家庭に戻れば子煩悩な一人の父親だったという。憮然とした表情の写真が残る石原も、妻の前では「莞爾」の名に相応しい、無邪気な笑みを浮かべたのだろうかと思いを馳せて、にっこり笑わずにはいられなかった。 「永遠の未完成、これ完成である」という言葉。「自分の作品には分からない部分もあるかもしれないが、それは私にも分からないことなのだ」という旨のとんでもない発言。そのどれもが彼の特異性を浮かび上がらせた。彼に纏わるエピソードの全てが、彼が天才であることを如実に示している。先生の言うように、彼はきっと殻であったに違いない。そこに何ものかが降りてきて彼を突き動かしたのだ。そうでなければ先の発言は出てこまい。 天才と秀才は違う。前者は先天的に恵まれており、後者は自分で自分の才能を磨いたが故に才を得た。その二つの歴然とした差を、先生の本を読んでいて改めて感じた。天才とは一種の業を背負って生きねばならない、呪われた可哀想な人なのかもしれない。 私は殻では無い。作品を書く際には無い知恵をきりきりと搾り出さなくてはならないので、これでは人を惹き付ける話などまだまだ当分書けそうにない。天才では無いのだから、努力をするしか無い。そう思うとげんなりしてしまう。けれど賢治のように誰かも分からないものに自分を操られることは真っ平ご免なので、今日も地道に小説のネタを考えることにする。
2007.10.26
「やぁやぁ今日もいいおデコだねーデコっぱち!」「何なんですかその呼び名!」「えー君の額に敬意を表したあだ名じゃないか」「んなもんに敬意を表さんでいい!」「でもホントにいいおデコしてるよ?」「だから額から離れた話をしてくださいよ」「じゃあねじゃあね、ぼくが君のことが大好きだっていう話なんかどう?」「却下します」「えーなんで!?おデコの話じゃないよ?」「あんたねぇ‥」「あっ!ひょっとしてぼくの愛が信じられないのかな」「信じるも何も、男の俺に男のあんたが愛とか‥有り得ないでしょうが」「あ、いけないなぁデコっぱちは!そういう偏見に満ちた考えはしちゃいけないよ! 男が男を愛すのも、女が女を愛すのも、それは個人の自由じゃないか」「自由は自由かもしれませんが、とにかく俺には有り得ないことなんです」「じゃあ有り得ることにしようよ」「どうやって?」「先ずは君にはぼくの愛を全身で受け止めてもらう」「具体的には何をするんですか?」「何って、ナニだよ」「?」「分からないのかい?初なデコっぱちも可愛いけど、ここは双方の合意の元に行いたいから説明しなくちゃいけないね」「なんかすんごく嫌な予感がするんですけど」「いい予感の間違いじゃないかな」「いや絶対に嫌な予感です。アンタが関わることでろくな目にあった試しが無いし」「それは随分な言い方じゃないかい?まぁまぁ聞いておくれよ」「変なこと言い出さないで下さいよ?」「変じゃないよ~!あのね、ぼくとえっちしよう」「‥‥‥は」「だからね、ぼくとえっちしよう」「‥あの」「もう一回聞きたい?しょうがないなぁデコっぱちは。いいかい?ぼくとえっ」「いやいやいやいや、とりあえず落ち着いて話し合いましょう」「ぼくはいつでも冷静沈着さ」「いつでも脳内が沸いてる癖に」「何か言ったかい?」「イエベツニ」「とにかくね、ぼくの愛をいい加減体で伝えたくなってきたんだよね」「却下します」「なんでさ!ボディートークは恋人同士の基本じゃないか」「ああもう何にツッコめばいいやら!とりあえず言っておきますけど、アンタと俺は全く恋人同士などではありませんから」「うん、だからこれから付き合いを深めようかと」「寝言は寝て言え」「寝言じゃないから起きて言うよ」「揚げ足取るなよウザいなぁ」「そんなことはどうでもいいけどさ。デコっぱち、僕にタメ口聞くとはいい度胸じゃないか。さっきからしょっちゅうタメ口使ってさ。先輩を敬おうとかそういう殊勝な気持ちは君には無い訳?」「アンタ相手にンなモンある訳ないでしょうが」「それって僕が君の特別な存在って自惚れてもいいのかな?」「何処をどうしたらそう思えるんですか。アンタどんだけ前向きなMなんだよ」「失礼だな。ぼくはLサイズを良く着るんだよ」「服の話じゃねえよ!」「あ~ホラまたタメ口だー」「アンタが言わせてるんでしょうが!」「じゃあ分かった、こうしよう!」「人の話聞いてないなこの人」「またぼくにタメ口を聞いたら、罰ゲームとして君の体にキスを一つプレゼントしよう」「は!?」「ホントなら罰ゲームとかじゃなく自然な成り行きに任せたいんだけど、それだと君がいつになったら心と体を許してくれるか分かったもんじゃないし」「安心して下さい。そんな日は一生来ませんから」「ほら、これだからね。やれやれ、身持ちが固いとお嫁に行きはぐれるよ」「待った!またツッコミ所のあるコメントですね‥」「何処にどう突っ込むつもりかな」「いやだから、俺は女じゃないですから」「小さいことにこだわるおデコ‥見苦しいね」「何が!小さいことじゃないでしょーが」「小さい小さい。狭量な男はモテないよ」「いやあの、アンタ俺を女扱いしたいんですか男扱いしたいんですか」「うーん難しい質問だね。ベッドの中では女の子扱いするつもりだけど」「待て待て待てまて。アンタ今なんつった」「うん、ベッドの中ではって言ったよ。あーちなみにデコっぱち、君今タメ口聞いたから罰ゲームね」「はぁ?!」「はーいじゃあデコっぱち、こっちにおいでー。怖いことは何もしないから」「アンタのその常軌を逸した目付きが既に怖いんですが」「嫌だなぁ、欲望に塗れた目付きって言ってくれよ」「嫌な訂正だなおい!」「あーまたタメ口だ。そんなにぼくの愛を試したいのかなこのデコっぱちは」「そんなもん熨斗付けて返してやるよ」「わーまたタメ口だ!素直にキスしてって言ってくれればわざわざこんな回りくどいことしなくて良いんだよ?」「アンタのそのおめでたい脳内が羨ましいですよ全く」「ぼくの脳内にはデコっぱちへの熱い思いしか詰まってないんだよ!その脳内が羨ましいだなんて‥ふふ、君はどれだけツンデレ属性なんだろうね」「とりあえずアンタに対してはツンしか無い方向で」「またまた~そんなこと言っちゃって!ぼくには君の本音は全てお見通しなんだから」「俺の本音を捏造しないで下さい」「“嫌よ嫌よも好きの内”って諺、知ってる?」「知ってますけど俺は本気でアンタが嫌いなのでご心配なく」「嫌い?本気でそんなこと言ってるの?」「ええええ本気ですよ」「君は嫌いな奴とこんなに会話のキャッチボールを楽しむの?」「は」「君が仮にぼくを嫌いなんだとしよう。そしたら君は好きな相手には何処までの接触を許すの?」「あの」「ぼくは君が大好きで大好きで大好きでたまらないんだ。だから君が僕以外の奴にどんな風に接しているのかを考えるだけで心の中にどす黒い気持ちが溜まっていく」「‥‥あ」「好きな相手にはキスさせるんじゃないか。体を許すんじゃないか。色々考えてしまうよ。君が他の男に組み敷かれてしまうのなんてぼくには耐えられない」「ちょっと‥発想が飛躍しすぎですよ」「君を一番好きなのは他の誰でも無い、このぼくだ!君は誰にも渡さない!ぼくだけのデコっぱちなんだ!」「あの、ちょっと」「異議は受け付けないよ」「俺の気持ちは無視ですか?」「ぼくのことが好きっていう気持ちなら尊重してあげるよ」「なら無視ってことじゃないですか」「君だっていつもぼくの愛を無視する癖によく言うよ」「論点をすり替えないで下さい」(強制終了という名の打ち切り)
2007.10.24
雪融けに消えたのは 「うーん」 唸り声を上げて目を覚ます僕に、枕元の時計が「寝坊だ」と囁いた。 今日は一限から授業があった。例え遅刻になるとしても大学へ行くべきなのは分かっているけれど、昼を跨ごうとしている今の時間を教えられて急速に行く気が失せてしまった。だから「いつも真面目に通っているんだし、たまには良いや」と、妙な理屈を捏ねて学校をサボることにした。 のっそりとベッドから降り、肩を落としたまま、朝食を作りに台所へ向かう。途中で居間を横切る時、その隅に縮こまるテレビの電源を点けた。ニュースキャスターが芸能人のゴシップを面白おかしく喋り立てている。それを視認する頃には、居間に隣接した台所に到着していた。冷蔵庫を開けると、冷たい風が僕の頬を撫でていく。目を皿のようにしてその中を覗き込んだが、食材は全くと言って良い程無かった。仕方ないので、夕べコンビニで買った物の残りを電子レンジに放り投げた。 一ヶ月前の僕は、こんな風に放浪者のような無気力な生活を送ってはいなかった。理由は分かっている。その頃の僕には彼女が居たからだ。とても真面目で気立ての良い、葵が。オレンジ色の光に満ち満ちた電子レンジの中で、残り物がグルグルと回る。それをじっと見つめながら、「もし彼女がこんな僕を見たら、慌ててフライパンを取り出して目玉焼きを作るんだろうな」と、ぼんやり思った。 だけど彼女は何処にも居ない。居ないんだ、何処にも。 渇いた部屋に、電子レンジの「チーン」という音だけが響き渡った。レンジの取っ手を引っ張って中にそろりと手を伸ばすと、人工的な温かさを持った器が冷え切った僕の手に触れた。物理的な温かさが僕の手を温めてくれる。 だけど、器が僕を温めれば温める程、葵のくれる、心にまで染み渡るようなあの温もりには絶対に敵わないことを思い知らされた。それはとても悲しく、寂しく、遣る瀬の無いことだった。 夏の終わりに出会った葵は、雪の降る季節にこの世を去った。「春になったら結婚しよう」と誓い合った翌日に、ダンプカーに踏み潰されたのだ。コンロの隣にある窓から外を眺める。陽光を受けた雪がキラキラと光り輝いていた。あれは僕と葵が迎える筈だった未来の色だ。 雪融けの季節が来れば、あの雪の輝きは幻と化すだろう。まるで、僕達が愛し合っていた事実なんて初めから無かったとでも言うかのように。
2007.10.09
一度触れたら、もう駄目だ。君がどんどん欲しくなる。必死になってアタックを重ねた結果、僕は彼の恋人になることが出来た。互いの休日が合えばのんびりデートをし、平日にもマメに連絡を取る。至って順風満帆なお付き合いをさせて頂いていて、僕としても幸せな限りなのだ。幸せ、なのだが――…。思い人はどうにもシャイで初心だから、必然的といって良い位に彼は接触を嫌がる傾向にあった。そろりと頬に手を伸ばすだけでびくりと体を震わせて、恐る恐るこちらを覗き見てくるから、それ以上先の行為に進めた試しがない。正直を言うと、結構辛い。僕は健全な男だから、好きな子とはキスだってしたいし、それ以上にもっともっと互いの愛を確かめ合えることもしたいと思っている。彼にも人並みにそういう欲求はある筈なのだが、ひょっとしたら今までに誰かと付き合ったりしたことがないのかもしれない。だからその欲求にも気付けずにのほほんと笑えるのだ。今日だって、折角僕の家に君が来てくれたというのに何も手を出せず、二人で仲良くシアタールームで映画鑑賞と洒落込んでいる。彼が「この映画、面白いですね」と嬉しそうに笑っているのは見ていて嬉しい。嬉しいんだけれども。願わくば、もうちょっと恋人らしいことがしたいなぁ、なんて。「ホラー系の映画でも観ていれば、あまりの恐怖に僕に密着してくれたりなんかして」と下世話な妄想をして早速実行に移してみたのに、彼は全く動じない。寧ろ僕の方が怖くなってきて、彼に夢中で抱きつく。「うひゃあ!」ちょっと、いやかなり情けない声を上げる僕の頭を、彼は小さな手でそっと撫で上げた。「大丈夫ですか、検事」「…」なんとなく気恥ずかしくて答えにくい。「検事にも怖いものがあるんですね」可愛らしくはにかんで、彼がへへっと言う。「こ、怖くなんかあるもんか! どうせこれは作り物なんだから」虚勢を張ってみたけれど、声がみっともなく震えているのが分かる。「大丈夫ですよ。怖いなら怖いって、言っていいんです」まるで神様のように慈愛に満ちた微笑をし、彼は告げた。「俺は貴方を笑ったりしませんから」そう言って憚らない彼の腰に、おずおずと腕を回す。その小さな胸に耳を当て、彼の刻むビートをこの心に刻む。そうすると不思議と穏やかな気持ちになって、さっき観ていたホラー映画の内容なんて少しずつ気にならなくなっていった。「ありがとう」そうひっそり呟くと、耳ざとく聞き取って「どういたしまして」と歌うように返ってきた。その優しさに一度触れたらもう駄目だ。君がどんどん欲しくなる。どんどん君を手放せなくなる。***********エロ表現で行くぞと思って最初の二行書いたんだけど、書いてる途中で何故かヘタレな響也さんになっていたという罠。そして最後はエロとはかけ離れた文章へと帰結。エロは書けないなぁ…。いつも痛感します。
2007.10.07
母さんを殺そうと思った。それは前々から考えていたことで、今になって突発的に考え付いたことなどではなかった。母さんに支配されて蹂躙される生活が苦痛だった。「お前はなんて馬鹿な子なの」「母さんがいなければお前は何にも出来ないクズだわ」自分が上だと、全てを搾取する側の人間なのだと常に口調や態度で示し、僕が何を頑張ろうと全く見ちゃいなかった。僕は彼女の中では常に低俗で野蛮で粗野な人間として認定されているらしかった。このまま彼女の支配下に居てはいずれ息も出来なくなる。僕にはそういう確信めいた思いがあった。台所に誰も居なくなる隙を見ては、僕はまな板の側に添えられた包丁を手に取って振るった。突きの動作をし、目の前に架空の人間を配置して刺し込む練習もした。しかしやはりそれはただのシュミレーションでしかなく、実際に刺す人間がいなければただの料理の練習にしか見えない。誰もいない静寂の中、僕はただひたすらに憎悪の気持ちをその刃に送った。刃の鈍色の輝きが、彼が今にも血を欲しているのだと教えてくれる。いずれくれてやるよ。飽きる程の鮮血を。僕が小さく呟くと、包丁は嬉しそうに手の中で踊った。*********彼も私もチキンなので、実際に殺しはしないです。ただ包丁を手に取ってみるだけ。それ以上でもそれ以下でもなく。包丁を手にとってじーっと眺めてる度に「本当にこれで人を殺せるんだぁー」と、妙な感慨が沸いてきます。大根や人参や林檎を剥いたことのあるその刃物が、人の命を絶てるのか、と。感動というより、感嘆って感じです。へぇ、って感じ。
02. そういうトコも好きなんだけど誰が言ったのだか知らないけれど、確かにその通りだ。「恋は好きになった方が負け」。あばたもえくぼという言葉がある。好きな人のことなら、欠点までもが良く見える。いや、欠点を含めて更に相手を愛しく思えてくる、という意味の諺である。実は今、僕はまさにそれを実感しているところだ。目の前で僕を心配そうに覗き込む年下の男の子に、軽く微笑みを返す。彼は異様と言ってもいい位に他者を見抜く力がある。それを知ったのは法廷で彼と幾度となく対峙したお蔭だ。彼はその特性を如何なく発揮し、証人を動揺させて真実への突破口を開いてきたのだった。法廷上では役に立つ力だが、それは生きていく上では彼にとっては損になるのだろうとずっとずっと思っていた。だってそうだろう? 目の前の人間が嘘を吐けばそれを一発で看破してしまうのだ。他者が何か秘密を抱えていることを実感しながらも、迂闊にそれを問うことも出来ない。精神的に疲労が溜まるだけの損な特性じゃあないか。彼が損な役回りを引き受けなくてはいけないなんて、僕にとっても悲しい。だって僕は彼が大好きだからだ。好きな人が余計なことに気を取られて疲れ果ててしまう姿を見るのは、絶賛片思い中の僕であっても堪らなく辛い。だからいつも彼と会う時には嘘や疚しい気持ちを持ち込まないようにと尽力していたのだ。……勿論、好意を寄せる相手の前で疚しい気持ちを持たないでいられる程、僕は紳士的な男では無かった。だけどそれでもそれなりに一生懸命頑張って向かい合ってきたつもりだ。今までの彼との対話で疚しい感情を探られたことも無かったし、僕も出来るだけそのような話題を避けて互いの仕事の話などを引き合いに出していたから、恐らく彼の迷惑になるようなことはしていないだろうと思った。いつもいつも彼の前ではそうして頑張っていたけれど、そりゃあ僕だって人間だ。嘘だって吐くし不満だって沢山ある。愚痴をこぼしたくても誰も聞いてくれなくて、それで鬱憤が溜まってしまうことだってある。仕事は滞りなく進めてきたつもりだった。何もかもとは言わないが、それなりに順調に物事をこなせている自信はあった。それでもやっぱり、時折どうしようもない焦燥に駆られてしまう。僕なんかがこの仕事を続けていて良いのだろうか。過去に一人の無実の人間を法曹界から追放したこの僕なんかが真実を追い求めるだなんて、とんだお笑い種だ。過去の話だと言ってしまえばそれまでだが、しかし僕にとってはいつまで経っても昨日のことのように思るのだ。仕事が一段落着いてしまった休憩時間なんかにふとそれが蘇っては僕を苦しめる。彼が声をかけてきたのは、まさにそうして落ち込んでいる瞬間だった。「どうしたんですか?」裁判所の奥まった所にある休憩所で、コーヒーの缶を握り締めて椅子に座っている僕の側に誰かが座った。誰かと思って横を向いたら「おデコくん…」愛しの君が不安げな顔を見せてくれたという寸法だ。はっきり言って、この状況はかなりまずい。なんせ今の僕は、はっきり言って相当に悩んでいるし、それを彼に問われるのは時間の問題だ。そうなったとして黙秘を決め込もうとしても、彼には僕が秘密を抱えていることなんて直ぐに伝わってしまうのだろう。…彼がそれを暴こうとするかしないかは置いておくとして。「そのコーヒー、飲み終わったんですか? なんかずっと持ってるみたいですけど」「おデコくん、いつから僕のことを見ていたんだい?」ずっと、などと形容されてどきりと心臓が音を立てた。益々自分がまずい状況に追い込まれつつあることを知る。彼に迷惑はかけたくないし、かけられない。「そんなでもないですよ。5分前位でしょうか」腕時計を持たない彼は、休憩所の壁掛け時計に目を向けてそう呟く。「そんなにずっと見られていただなんて知らずに、僕は情けない姿をさらしてたって訳か」せめてコーヒーの缶位は処理しておけばよかった。5分以上も缶を握って飲みもせずにいる男の姿なんて、情けなさ以外に感じられるものは何もないだろう。今更片したところで彼が見た光景は消えないだろうけれど、やっぱり好きな子の前でいつまでもみっともない姿を見せていられないと思った僕は俄かに立ち上がり、自動販売機横に設置されたゴミ箱へと近寄り、その中にぽとりと缶を落とした。元居た席へ戻って座り直せば隣の彼が僕を見上げる。「最初にも聞きましたけど、何かあったんですか?」「う」う、ってなんだよ僕は! そんな風に言葉に詰まったら何かあったのが丸分かりじゃあないか。自分に心底呆れ果てる。こんな後で「いや、何でもないんだよ」なんて言ったら、彼は僕の心に踏み込むべきか否かで心をいためるだろう。他人のために心を砕くことを一切厭わないのがおデコくんの良いところだ。だったらいっそのこと、素直に白状した方が彼の精神衛生上にも良い。「僕なんかがこの仕事を続けていていいのかなって思ってさ」「……また随分塩らしいことを考えてますね」大好きな彼にそんなことを言われてはぐうの音も出ない。「俺もしょっちゅう悩みますよ。この仕事に自分は相応しくないって。でもこの仕事が相応しい自分になりたいとも思うので、いつも最終的には“もうちょっと頑張ろう”って結論に落ち着くんです」「もうちょっと、頑張ろう?」「そう。もうちょっと。……今はまだ自分に自信は持てないけれど、いつかこの向日葵のバッジに恥じない弁護士になれるようにって」うわーこれ大学で今書いてるけど帰宅時間になったから強制終了!!後で推敲しなおすぜーー!!
2007.10.05
耳をも劈く大音声をもって異議を唱える新人弁護士。細かい矛盾を突付いて証人の動揺を誘う、あまりにも旧式の手。僕と二歳しか年が変わらないとは到底思えない、愛くるしい顔。その気持ちを何よりも正直に表す、君の頭の二つの触覚。時折覗かせる、何もかもを見透かすかのような真紅の瞳。情熱的な性格を連想させる腕まくりをしていながら、意外にも冷静な考え方をする。特徴を挙げればキリが無い。だけどこれは、誰もが知っている君だ。君が他人に見せようとしている、かりそめの特徴。でも、僕はね。知っているんだ。本当の君を。こんなことを言ったら、君は自慢の大声で笑い飛ばそうとするかもしれないけれど。僕だけは、君の本当の姿を知っているんだよ。僕は検事という職業柄、人の発言にはとっても敏感なんだ。法廷に立ち証人を追い詰める時、どんな些細な発言も聞き逃さない技術が必要だから。そういう訳で、おデコくんがひっそり漏らした本音も、ばっちり覚えているんだ。あれは何時だったかな。僕とおデコくんが一緒に夜道を歩くなんて滅多にある機会じゃない。思い出した。北木滝太被告人の無罪が確定したあの日だ。あの日は僕のお気に入りのバイクは定期点検に出していて手元に無かったんだっけ。法曹界で働く人間は護衛が付いて車で送り迎えされるのが常識だが、そんなものに囚われないのがこの僕だ。だからいつも丁重に護衛をお断りして自分で自分を運んでいる。おデコくんは経済的に恵まれない職場で働いているから、勿論護衛なんて付けられる筈も無い。そんな彼とその可愛らしい助手は、裁判が終わる毎に裁判所の門を徒歩で通り抜け、そこから歩いて20分程もある事務所まで帰宅しているのだ。勝訴を手に入れ意気揚々とするちびっ子二人組の背中を裁判所のドアを出て見つけた時、この二人と帰宅するのも面白そうだと思ったんだ。「やぁおデコくん、お嬢さん」背後まで気配を消して忍び寄り、声をかけて二人に抱きつく。「わっ! 牙琉検事!」同時にそう言って、方や冷や汗を掻きつつ胸元に手を置き、方や嬉しさを体で表現するために、ぴょんぴょんとその場で飛び跳ねた。僕の勘も悪くない。この時点で二人に声をかけて正解だったと思えた。「良かったら途中まで一緒に帰ろうよ」ぎゅっと二人を抱く手に力を込めると、方や身を捩って逃げようとし、方や嬉しそうに胸に頬を摺り寄せてくる。「あれ、でもいつものバイクはどうしたんですか?」二人は同時に、僕の顎より下にある顔をくりんと空へ向ける格好で僕を逆さで覗き見る。「バイクは今、定期点検中なんだ。だから今日は歩いて帰るんだよ」だからご一緒させて欲しいなぁ、と。お嬢さんに向けて、世間で「王子様スマイル」と評される笑みを見せた。「そういうことなら大歓迎です! こういうのを、同じ穴のムジナって言うんですよね!」「待ってみぬきちゃん、何か勘違いして使ってるよ、その言葉」慌ててお嬢さんを止めに入るおデコくんだけど、彼女は中々に手強い。「いいじゃないですか!言葉は長く使われるにつれて誤用の意味が正しい意味に変わったりするんです! だから例えみぬきの言い方が今違っていても、いずれこの発言が歴史を変える架け橋になるんですよ!」物凄い滅茶苦茶な論理だけど、彼女が言うと許される気がするのは……その愛らしさ故なんだろう。「いや、それは無いから」盛大にツッコむ彼の額は焦りからか、かなり油でテカっている。本当にこの二人は眺めていて飽きない。そのやり取りにくすっと笑いを零すと、彼女は僕の声でその存在を思い出したらしい。「牙琉検事!折角同じ穴のムジナなのに、みぬき、そこの角を曲がってすぐのビビルバーでこれからお仕事があるんです!」まだ裁判所の長い駐車スペースを歩いているところだが、彼女は残念そうな声で門の目の前の道を指差した。「これから? 女の子の夜の一人歩きは危険だよ」心配になってそう声をかけると、彼女ではなく彼がその問いに答えた。「大丈夫です。仕事が終わったら俺が迎えに行く約束なので」「王泥喜さんはみぬきのボディーガードなんですよね!」ちょっとお嬢さんは誇らしげだ。「おデコくんがボディーガードとは…随分頼りないナイトだね」やれやれ、と肩を抱く両手を一旦外して体の上へとすいっと上げた。外国流の「やれやれ」のポーズだ。そしてすぐにまた二人の肩を抱く。「うるさいな…女の子を一人で歩かすよりマシでしょ」膨れ面で僕に抗議する彼に、「まぁまぁ」と彼女が仲裁に入る。「残念ですけどそういう訳なので、この後は牙琉検事と王泥喜さんで仲良く帰ってください」言い終えるや否や僕の腕の下からするりと逃げ、彼女は裁判所の前の角を左に曲がって視界から消えた。「ええと」ぽり、と腕輪を嵌めた方の手でこめかみを掻き、彼が言葉を紡ごうとした。「彼女が居ないのは残念だけど、折角だし途中まで一緒に帰ろうか」ね? と腰を屈めて耳元で話すと、「ぎゃっ」と妙な声を上げて彼が耳を押さえた。「耳元で喋らないで下さい!」くすぐったいじゃないですか、とぷりぷり怒りながら彼は僕の顔を見上げた。その表情のなんと可愛らしいこと。怒っていても可愛いとは、なんて罪な子だ。「どうしました、牙琉検事」「…オーケイ、以後気をつけるよ」耳が弱いのかな、なんて悶々と考えて返事もしない僕を不安に思ったのか、彼が首を傾げた。「因みにおデコくんは、これから何処へ向かうのかな?」「事務所に帰ります。牙琉検事は?」「自宅へ帰るよ。おデコくんはこの道はどっちに曲がる?」裁判所の門に差しかかり、左右に伸びる道路を認めて彼に問う。「左です」「僕と一緒だ。何処まで一緒に帰れるかな」何となくウキウキしてきた。門を出て直ぐに左に曲がる。目前にはお嬢さんが左へ曲がった交差点があった。何も聞かずに真っ直ぐ歩いても彼は何も言わないから、此処でお別れではないようだ。此処から先は直線の道が続くから、そう簡単には別れまい。「検事。肩を抱くの、そろそろ止めて貰えます? その…人目につきますし」言われてみて自分の左手の中に納まっている存在を確認する。そういえばお嬢さんと彼を抱き寄せてから(一度アメリカンジェスチャーをするために手を離したけど、それ以外は)ずっとこのままだった。「ダメって言ったら?」ぎゅっと、更に力を込めて胸元に引き寄せると、「何ふざけてんですか!」彼は物凄い轟音で叫んだ。さっきよりも本気で怒っている。彼をこれ以上怒らせるよりも此処は素直に従うべきだ。「ごめん」さっきの発言が冗句だったと思われるよう、底抜けに明るい声で喋り左手を離す。ぶつくさ文句を言いながら、彼は右手に抱えた鞄を抱え直した。どうやら冗句であると受け取って貰えたみたいだが、それでも彼はご機嫌斜めだ。何か話題を提供して、彼の怒りをうやむやにしよう。考えてあることを思い出し、それを話題にすることにした。「おデコくん」「何ですか?」言葉尻に棘がある。ううん、寧ろ言葉全体に棘がある。こんなんで話を進めて大丈夫だろうかと、一抹の不安が胸を過ぎった。「僕ね、今度新曲を出すんだ」横に並ぶ彼の方を向いてニコニコと笑んでみる。「ああ、あの“音が苦”バンドですか」僕の笑みなど効果が無いと言わんばかりの毒舌だ。「酷いな。ラミロアさんとの合作なら喜んで聞いただろ」「あれはバラードだからです。普段の曲は皆“音が苦”でしょ」彼はにべもない。僕は俄然焦り始めて、しどろもどろになる。「今度作る曲はバラードだよ」「へぇ」ちょっとだけ彼の声のトーンが上がる。興味を持ってくれたのかな。「それで、君にちょっと聞きたいことがあって」「俺に?」つぶらな瞳をきゅっと細めて僕の方を向く。「君だけにって訳じゃないよ。お嬢さんも此処に居たら、彼女にも聞いていた」なんでこんなに必死になっているんだろう。そう思い切なくなるが、それというのもひとえに彼に恋しているからなのだろう。「その曲は、欲しい物を手に入れようと策を講じる青年の歌になる予定なんだ」「もう歌詞は出来ているんですか?」「いや。最初に作った歌詞は、欲しい物は好きな女の子だったんだ。けどその歌詞をプロデューサーに出したら、前に作った曲にも似たのがあるってダメ出しされてね。僕らと言えば恋の歌って世間から見られているから、偶には方向転換してみろって言われて」それで、と僕は続けた。「教えて。君だったら、欲しい物は何?」勿論、彼の欲しい物をモチーフにして歌を作るとは限らない。ずっと自分一人で歌詞を考えてみても、どうやっても女の子イコール欲しい物という方程式しか頭の中には浮かび上がってこなかったから、誰かの意見を聞いて発想を広げたかった。じっと隣を見つめていると、思案顔のおデコくんがゆっくりと口を開いていく。眉間から手を下ろし、何処か遠い所を見ているような、そんな目をして。何もかもを諦めた、そんな顔をして。「 」ぽつり、と。誰にも聞こえないような小さな声で、彼は呟いた。迷子の幼子のような、今にも泣き出しそうな表情。まるで此処に僕が居ることなんて忘れているかのように俯いていた。どうしてだろう。ひどく彼を抱きしめたい衝動に駆られた。でもさっき嫌がられたばかりだからそれはせずにおく。僕は何も見なかった、聞かなかった。そういうふりをすることにした。「どうしたの?」たった一言、そう声をかける。すると突然彼は勢いよく顔を上げ、丸まりがちだった背筋をしゃんと伸ばした。さっきまで垂れ下がっていた二本の触覚を、ピンと伸ばした。目には鮮やかな光が灯り、迷い子の表情などまるで僕の見間違いだったかのようだ。「大丈夫です! やっぱり給料が欲しいです。うちの事務所、いつもカツカツなんで」……嘘だ。先の彼の言葉を聞き逃すような、僕はそんなヤワな男ではない。正面切って「嘘だ」と発言したかったが我慢する。あの表情からして、もしそんなことをしたら、彼の心の奥深くに潜んでいる膿んだ傷をぐりぐりと抉ることになるのはほぼ間違いない。残念ながらそんな狼藉を行って彼に許される程、まだ彼と親しい間柄では無かった。だから僕は、彼の嘘に騙されてあげた。「切実だね。でも欲しい物が“給料”っていうバラードも、ちょっとなぁ」「世知辛いバラードになりそうですね」サラリーマンなんかには、ひょっとしたらウケるかもしれませんよ。彼はそんな悪態を吐いて、鞄を抱える右手で左に立つ僕の胸を叩く。「どうしようか、コンサートに中年のおじさんが列を成していたら」そう言いながら、ちょっとだけその様子を想像してみる。「検事目当ての女の子達が茶色い悲鳴を上げそうですね」「はは、そうなった時にはおデコくんが責任もって何とかしてよね」「本当にそれで曲作るつもりなんですか!?」「さてね」急に慌てて「俺、嫌ですよ! 女の子達の前に出ておじさん達の弁護するのは」と話す彼が面白くて、僕はニマニマ笑ってはぐらかした。ほんの少しして、「あ、俺あそこの交差点を右に行きます、検事は?」と彼が尋ねてきた。ふっと前に視線を転じると、そこはまだ僕の曲がるべき交差点では無かった。別れの時なんてあっという間だ。きっかり十歩でさようならを迎えた。「じゃ、検事。くれぐれも俺の意見なんて参考にせず、女の子達が黄色い悲鳴を上げる歌詞を作って下さいね」「ふふ、どうなるかは新曲が出てからのお楽しみさ」それじゃ。どちらからともなくそう言って、相手に背を向けた。彼は右へ、僕は曲がらず真っ直ぐ先へ。道は分かたれた。僕はまだ彼のことを知らない。だからさっきの一言が、どれだけの意味合いを含んでいるのか分からない。けれど決めた。次の曲は彼の心情を歌おうと。一番欲しい物が「家族」だと呟いて、寂しげに笑う彼の心を歌おうと。
**********「…ええと」ぽり、と腕輪を嵌めた方の手でこめかみを掻き、まだ腕の中に納まっているおデコくんが言葉を紡ごうとしていた。「お嬢さんが居ないのは残念だけど、折角だし途中まで一緒に帰ろうか」ね? と腰を屈めて彼の耳元で話すと、「ぎゃっ」と妙な声を上げておデコくんが耳を押さえた。「耳元で喋らないで下さい!」くすぐったいじゃないですか、とぷりぷり怒りながら彼はその頭上にある僕の顔を見上げた。その表情のなんとまぁ可愛らしいこと。怒っていても可愛いとは、なんて罪な子なんだろうか。「? どうしました、牙琉検事」「…あ、ああ。オーケイ、以後気をつけるよ」もしかしたら耳が弱いのかな、なんて悶々と考えているせいで返事もしなかった僕を不安に思ったのか、おデコくんが細い首を傾げてみせる。そんな彼に慌てて生返事を送ると、僕は気を取り直してこれから行う彼との夜の散歩へ考えを巡らせた。「ちなみにおデコくんは、これから何処へ向かうのかな?」「あ、事務所に帰ります。荷物が置きっ放しなので。牙琉検事は?」「僕はこのまま自宅へ帰るよ」「検事の家って此処から近いんですか?」「うーん、あんまり近くは無いかな。徒歩30分位」「遠いですね!」「おデコくんの家までは此処からどれ位なの?」「家から此処まで歩いてきたことは無いので正確には分かりませんけど、少なくとも検事程時間はかからないと思います」「ふうん。あ、おデコくんはこの道はどっちに曲がる?」裁判所の門に差しかかり、目の前の左右に伸びる道路を認めて彼に問う。「左ですよ」「あ、じゃあ僕と一緒だ。何処まで一緒に帰れるかなぁ」何となくウキウキして、語尾がだらしなく伸びてゆく。門を出て直ぐに左に曲がる。すると目の前にはお嬢さんが左へ曲がった交差点があった。何も聞かずに真っ直ぐ歩いていてもおデコくんは何も言わないから、此処でお別れということもなさそうでほっとする。此処から先は暫く直線の道が続くから、そう簡単にさようならとはいかないだろう。「あの、検事」「? 何?」「肩を抱くの、そろそろ止めて貰えませんか? その…人目につきますし」言われてみて自分の左手の中にすっぽり納まっている存在を確認する。そういえばさっきお嬢さんとおデコくんを抱き寄せてから(一度アメリカンジェスチャーをするために手を離したけど、それ以外は)ずっとこのままだったんだ。「うーん、ダメって言ったら?」ぎゅーっと、更に力を込めて胸元に引き寄せると、「何ふざけてんですかアンタは!!」僕の耳の鼓膜を破ろうとしているのか、彼は物凄い轟音で叫んだ。さっきの可愛い怒り方よりも本気で怒っているらしい。折角のおいしい状況であったが、彼をこれ以上怒らせるよりも此処は素直に従っておくのが得策だろう。「ごめんごめん」出来るだけさっきの発言が冗句だったと思って貰えるように、底抜けに明るい声で喋って左手をパッと離す。「ったく…」ぶつくさ文句を言いながら、彼は右手に抱えた鞄を抱え直した。どうやら冗句であると受け取って貰えたみたいだけれど、それでも彼の機嫌は絶好調に斜めに傾いているようだ。何か話題を提供して、彼の怒りをうやむやにさせて貰おうっと。何が良いだろうかと、丁寧に考えてみる。「そうだ。ずっと誰かに聞いてみたかったことがあったんだ」と、あることを思い出した僕は、それを話題にしようと考え付いた。「おデコくんおデコくん」「…何ですか?」うわぁ。言葉尻に棘がある。ううん、寧ろ言葉全体に棘がある。こんなんで話を進めて大丈夫だろうかと、一抹の不安が胸を過ぎった。「僕ね、今度新曲を出すんだ」横に並んで歩く彼の方を向いてニコニコと笑んでみる。「…ああ、あの“音が苦”バンドですか」僕の笑みなど効果が無いと言わんばかりに毒舌が冴える。「ひ、酷いなぁ…。ラミロアさんとの合作なら喜んで聞いてくれていたじゃないか」「あれはバラードだからです。普段のガリューウエーブの曲はほぼ100パーセント“音が苦”じゃないですか」おデコくんはにべもなくそう言い切った。僕は俄然焦り始めて、しどろもどろに話を進める。「でもね、今度作る新曲っていうのはバラードなんだよ」「へぇ」ちょこっとだけ、彼の声のトーンが上がった。あ、ちょっとは興味を持ってくれているのかな。「それでね、君にちょっと聞いてみたいことがあって」「……俺に、ですか?」怪訝そうな顔をして、つぶらな瞳をきゅっと細めて僕の方を向く。「ああいや、君だけにっていう訳じゃないよ。もしお嬢さんも此処に居たら、お嬢さんにも聞いていたんだけど」なんでこんなに必死になっているんだろう、僕。ちょっぴり切なくなってしまうけれど、それというのもきっとひとえに彼に恋しているが故なのだろう。「その新曲は、欲しい物を手に入れようとあれこれ策を講じる男の子の歌になる予定なんだ」「もう歌詞は出来ているんですか?」「いや、それがね。最初に僕が作った歌詞だと、欲しい物っていうのが好きな女の子だったんだ」「最初?」「うん、その歌詞をプロデューサーに提出してみたら、今までに作った歌にも似たような雰囲気の曲があるからってダメ出しされちゃったんだ。ガリューウエーブと言えば恋の歌というのが定石って世間では見られているから、たまには方向転換した曲を作ってみたらどうだって言われてさ」それで、と僕は続けた。「教えて欲しい。君だったら、今欲しい物は何かな?」勿論、彼の欲しい物をモチーフにして歌を作るとは限らない。ずっと自分一人で歌詞を考えてみても、どうやっても女の子イコール欲しい物という方程式しか頭の中には浮かび上がってこなかったから、ちょっとだけ誰かの意見を聞いて発想を広げようと思ったのだ。じっと隣を見つめていると、左手の人差し指を皺の寄った眉間に突きつけて思案顔のおデコくんがゆっくりと固い口を開いていく。眉間から手を下ろし、何処か遠い所を見ているような、そんな目をして。何もかもを諦めた、そんな感じの顔をして。「 」ぽつり、と。誰にも聞こえないような小さな声で、おデコくんは呟いた。きっと誰にも聞かせるつもりなんて無かったのだろう。迷子の幼子のような、今にも泣き出しそうな表情。それを惜しげも無くさらしていた。まるで此処に僕が居ることなんて忘れているかのように、ただ独りで此処を歩いているかのように、俯いている。どうしてだろう。ひどく彼を抱きしめたい衝動に駆られた。でもさっき嫌がられたばかりだからそれはせずにおいて、ただ彼の動向を側で見守ることに決める。僕は何も見なかった、聞かなかった。そういうふりをすることにした。「おデコくん、どうしたの?」たった一言、そう声をかける。すると突然彼は勢いよく顔を上げ、丸まりがちだった背筋をしゃんと伸ばした。口元にはいつもの人好きする笑みを浮かべて、さっきまで垂れ下がっていた二本の触覚を、ピンと伸ばした。目には鮮やかな光が灯り、迷える幼子の表情などまるで僕の見間違いだったかのような錯覚を植えつけられそうになった。「あ、大丈夫です! 欲しい物って言ったら……やっぱり給料ですね。うちの事務所、いつでもカツカツなんで」えへへ、と頬を掻いていつもの張りのある大声を響かせる。……嘘だ。そう思って、彼の曖昧な微笑みを見据える。先の彼の言葉を聞き逃すような、僕はそんなヤワな男ではない。正面切って「嘘だ」と発言したいところだったが、彼が隠したがっているものを無理に突付く権利なんか僕には無かった。さっきの表情からして、もしそんなことをしたら、彼の心の奥深くに潜んでいる膿んだ傷を、ぐりぐりと抉ることになるのはほぼ間違いない。残念ながら、そんな狼藉を行って彼に許される程、僕はまだ彼と親しい間柄では無かった。だから僕は、彼の嘘に騙されてあげることにした。「おやおや、それは困りものだね。でも欲しい物が“給料”っていうバラードも、ちょっとなぁ」「ちょっと世知辛いバラードになりそうですね」サラリーマンなんかには、ひょっとしたらウケるかもしれませんよ。そんな風に悪態を吐いて、ニヤニヤと意地の悪い笑みを湛える彼が、鞄を抱える右手で左に立つ僕の胸を叩く。「どうしようか、コンサートに中年のおじさんが列を成していたら」そう言いながら、ちょっとだけその様子を想像してみることにした。「検事目当ての女の子達が茶色い悲鳴を上げそうですね」……確かに。「はは、そうなった時にはおデコくんが責任もって何とかしてよね」「え、本当にそれで曲作るつもりなんですか!?」「さぁてね」急に慌てて「俺、嫌ですよ! 女の子達の前に出ておじさん達の弁護するのなんて」と僕を説得しようと試みる彼が面白くて、僕はニマニマ笑ってはぐらかした。ほんの少しして、「あ、俺あそこの交差点を右に行きます、検事は?」と彼が尋ねてきた。ふっと前に視線を転じると、そこはまだ僕の曲がるべき交差点では無かった。別れの時なんてあっという間に来てしまう。あと何歩一緒に歩けるのだろう。一歩、二歩、三歩、四歩、五歩、六歩、七歩、八歩、九歩、十歩。きっかり十歩でさようならを迎えた。「じゃ、検事。くれぐれも俺の意見なんて参考にせず、女の子達が黄色い悲鳴を上げるような歌詞を作って下さいね」「ふふ、どうなるかは新曲が出てからのお楽しみってところさ、おデコくん」それじゃ。どちらからともなくそう言って、どちらからともなく相手に背を向けて。彼は右へ、僕は曲がらず真っ直ぐ先へ。道は分かたれた。僕はまだ彼のことを知らない。だからさっきの一言が、どれだけの意味合いを含んでいるのか到底理解も及ばない。けれど、決めた。次の曲は、彼の心情を歌おうと。一番欲しい物が「家族」だと呟いて、寂しげに笑う彼の心を歌おうと。僕は彼に干渉する権利を持たない。誰も彼に干渉することは出来ない。だけど、彼を知ることは僕にも許される筈だ。彼の心を推し量ることは、誰にでも許され得る筈だ。そのためには、僕のあまり会いたくないあの人に会うことも辞さない。近い未来、彼のことを誰よりも知っているあの人に、必ず会いに行く。そしてパズルのピースを受け取って、彼のために歌を作るんだ。それはきっと、胸を震わす飛び切りのバラードになるだろう。完成した曲をもし彼が聴いたら、どんな反応を返してくるかな。もしかしたら彼の呟きを聞いていたことに気付かれ、大声で怒鳴られてしまうかもしれない。或いは、自らの感情と近しいその歌を聴いて、手に入らない物を思って涙を流すかもしれない。そんなことを思いながら、僕は一人家路に着いた。END続編とかもそもそ考えてたり。続編というか、オマケみたいな感じ。ちなみに。牙琉検事が会いたくないけど会いに行こうとしてる相手は、王泥喜君の事務所に在籍する、ピアノの弾けないピアニストさんのことです。
2007.10.04
「恋したくなるお題」というお題サイトさんにて、素敵お題を発見しました。その名も「意地っ張りに恋したお題」。01. 君の「ほんと」を知ってるよ02. そういうトコも好きなんだけど03. 押しても駄目なら引いてみる04. その沈黙の意味は「Yes」?05. 今日は離れてやらない06. 言葉にしないけど分かってよ07. ただ声が聞きたいだけ08. 泣く一歩手前の顔をしてるのに09. 何度でもこうして、ほら10. ラスト・チャンス…。でもごめんなさい。オリジナル小説ではなくて逆転裁判小説を書く際に使いそうです。早速むくむく創作意欲が。…しかもBLカプです…。ほんとに申し訳ない。響也×王泥喜。折角なのでちょっと書いてみます。+++++++++++++++++++++++++++++01. 君の「ほんと」を知ってるよ耳をも劈く大音声をもって異議を唱える新人弁護士。それが僕の大好きなおデコくんだ。細かい矛盾を突付いて証人の動揺を誘う、あまりにも旧式の手。ことあるごとに発される「大丈夫です」という言葉。僕と二歳しか年が変わらないとは到底思えない、愛くるしい顔。その気持ちを何よりも正直に表す、君の頭の二つの触覚。時折覗かせる、何もかもを見透かすかのような真紅の瞳。情熱的な性格を連想させる腕まくりをしていながら、意外にも冷静な考え方をする。特徴を挙げればキリが無い。だけどこれは、誰もが知っている君だ。君が他人に見せようとしている、かりそめの特徴。でも、僕はね。知っているんだ。本当の君を。こんなことを言ったら、君は一笑に付すかもしれないけれど。その自慢の大声で笑い飛ばそうとするかもしれないけれど。それでも僕は、僕だけは。君の本当の姿を知っているんだよ。僕は検事という職業柄、人の発言にはとっても敏感なんだ。取調べ中にうっかり被疑者が漏らしてくれた発言の揚げ足を取るような時にも、勿論法廷に立った時に証人を追い詰める時にも、どんな些細な発言も聞き逃さない技術が必要だから。そういう訳で、おデコくんがほんの一度だけ漏らした本音も、しっかりばっちり覚えているんだ。あれは何時だったかな。僕とおデコくんが一緒に夜道を歩くなんて滅多にある機会じゃない。思い出した。北木滝太被告人の無罪が確定したあの日だ。あの日は僕のお気に入りのバイクは定期点検に出していて手元に無かったんだっけ。法曹界で働く人間は護衛が付いて車で送り迎えがされるのが常識だけれど、常識や既成概念に囚われないのがこの僕のポリシーだ。だからいつも丁重に護衛をお断りして自分で自分を運んでいる。おデコくんは経済的に恵まれない職場で働いているから、勿論護衛なんて付けられる筈も無い。そんな彼とその可愛らしい助手は、裁判が終わる毎に東京地方裁判所の門を徒歩で通り抜け、そしてそこから歩いて20分程もある事務所まで帰宅しているのだ。勝訴を手に入れ意気揚々とするちびっ子二人組の背中を裁判所のドアを出て見つけた時、僕は凄く楽しい気持ちになったのを覚えている。あの二人と帰宅するのも中々面白そうだと思ったんだ。「やぁおデコくん、お嬢さん」背後まで気配を消して忍び寄り、声をかけたらすかさず二人の肩をがばっと抱くようにして飛びかかった。「わっ! 牙琉検事じゃないですか」「びっくりしました!!」二人が殆ど同時にそう言って、方や冷や汗を掻きつつ胸元に手を置いていて、方や嬉しさを体で表現しているらしく、ぴょんぴょんとその場で飛び跳ねている。僕の勘も中々悪くない。この時点で二人に声をかけて正解だったと思える位、僕には二人の一挙一動が楽しくて楽しくて仕方が無かった。「良かったら途中まで一緒に帰ろうよ」ぎゅっと二人を抱く手に力を込めると、方や身を捩ってこの手から逃げようとし、方や嬉しそうに胸に頬を摺り寄せてくる。「あれ、でも牙琉検事…」「いつものバイクはどうしたんですか?」二人は同時に、僕の顎より下にある顔をくりんと空へ向ける格好になって僕を逆さで覗き見る。まるで兄妹みたいだ。「あはは、二人とも息がピッタリだね。僕のバイクは今、定期点検中なんだ。だから今日は歩いて帰るんだよ」そういう訳でご一緒させてくれたら嬉しいなぁ、と。僕はお嬢さんに向けて、世間で「王子様スマイル」と評される笑みを浮かべてウインクをして見せた。「そういうことなら、もうみぬき、大歓迎です!!こういうのを、同じ穴のムジナって言うんですよね!!」「待って待ってみぬきちゃん、何か勘違いして使ってるよ、その言葉」慌ててお嬢さんを止めに入るおデコくんだけど、お嬢さんは中々に手強い子だ。「いいじゃないですか王泥喜さん!!言葉というのは長く使われるにつれて誤用の意味の方が正しい意味に成り代わることだってあるんですから!だから今例えみぬきの言い方が間違っているとしても、いずれこの発言が歴史を変える架け橋になるんですよ!」物凄い滅茶苦茶な論理だけど、お嬢さんが言うと許されるような気がしてしまうのは……きっとその愛らしさ故なんだろうな。「いやいやいやいや、それは無いから」盛大にツッコむおデコくんの額は、焦りからか驚きからか、かなり油でテカっている。本当にこの二人は眺めていて飽きない。二人のやり取りにくすっと笑いを零すと、お嬢さんは僕の出したその音を聞いて僕の存在を思い出したらしい。「あ、牙琉検事!折角同じ穴のムジナなのに、みぬき、そこの角を曲がってすぐのビビルバーでこれからお仕事があるんです!!」まだ裁判所の長い駐車スペースを歩いているところだが、みぬきは残念そうな声で門の目の前の道を指差した。「これからお仕事なのかい?女の子の夜の一人歩きは危険だよ」僕は心配になってそう声をかける。すると彼女ではなくおデコくんがその問いに答えた。「大丈夫ですよ、牙琉検事。仕事が終わる時間になったら俺が迎えに行く約束になってるんです」へぇ、と言いつつ、僕はおデコくんのおデコを食い入るように見つめる。「王泥喜さんはみぬきのボディーガードなんですよね!」ちょっと誇らしげに、成歩堂なんでも事務所で一番の稼ぎ頭がおデコくんを見つめる。「おデコくんがボディーガードとは…随分頼りないナイトだね」やれやれ、と肩を抱く両手を一旦外して体の上へとすいっと上げた。外国流の「やれやれ」のポーズだ。そしてすぐにまた二人の肩をかき抱く。「う、うるさいなぁ…女の子を一人で歩かすよりはマシでしょう」むすりと膨れ面で僕に抗議するおデコくんに、「まぁまぁ」とお嬢さんが仲裁に入る。「とにかく、残念ですけどそういう訳なので、この後は牙琉検事と王泥喜さんで仲良く帰ってくださいね」言い終えるや否や、僕の腕の下からするりと逃げ出して、お嬢さんは裁判所の前の角を左に曲がって、そして視界から消えた。**********…もう寝ろと脅されてるので寝ます…。続き早く書きたい。
2007.10.03
人を好きになるとは?4「葵兄」 玄関で紫苑を歓迎すると、少し緊張した顔色の彼が私を呼んだ。そうだ。私は男なんだ。気を引き締めてかからなければなるまい。半年前までに彼に会った時の言葉遣いを思い返しながら、慎重に話を進める。「久しぶりだな、紫苑。元気にしていたか?」「うん。葵兄こそどうだった?」「見ての通りさ」 鷹揚に構え、ゆっくりと両手を広げる仕草をして見せる。「なるほど、元気そうだね」 ほっとしたような声を出して、漸くぎこちない笑顔を崩した。 ちらりと紫苑の体に目を遣り、背丈を目測する。「暫く見ない内にまた背が高くなったんじゃないか?」「だろ? 葵兄の背を超える日も近いよ」 漸く浮かぶ屈託無い笑みを見て、こちらもほっと胸を撫で下ろした。 紫苑には笑顔が似合っている。一分一秒でも長く、彼には笑っていて欲しい。「抜かせ。俺がそう易々とお前に見下ろされてやるものか」 紫苑の柔らかい前髪を押し上げて、その下に隠された傷一つない額をデコピンで小突いてやると「いてっ」と情けない声で彼が呻いた。そんな彼を見てくくっと笑い、「ようこそ、歓迎するよ」と述べつつ右手で手招きをし、家へと上がらせた。「葵兄、聞きたいことがあるんだ」 互いに背を向けたまま布団にくるまっているからとっくに寝ているのだと思っていたが、紫苑はまだ眠れずにいたようだ。かく言う私も、布団にくるまって直ぐに眠れるタイプではないので今まで起きていたのだけれど。「なんだ? 俺で良ければ幾らでも話してみると良い」「ありがとう」 紫苑の方を向いて話をするべきだと思案し、くるりと寝返りを打とうと背後へ転がりかけるが、「そっちを向いたまま聞いて」と止められ、仕方なく元の位置へ向き直る。「葵兄は、人を好きになったことがある?」「む…それは、恋愛という意味での話か?それとも家族愛や、友愛のことか?」 「好き」の形は色々ある。彼が必ずしも恋愛について尋ねているとは限らないと思い、念のためそう確認してみた。 でも私は、彼が聞く「好き」の種類といったら恋愛しか有り得ないだろうと薄々予測はつけていた。女性が苦手な紫苑にとって、恋愛というのは永遠に気になってしまうテーマに違いないからだ。「恋愛でだよ」 案の定だ。内心でそう言い、軽く溜息を吐く。この手の話題は苦手だ。何故ならまだ誰をも恋の対象として好きになったことが無いからだ。しかし、他でもない可愛い従弟の問いかけを無視する訳にはいかない。しかも幾らでも話してみろとけしかけたのは他ならぬ自分なのだ。誠心誠意をもって対応しなければなるまい。「はっきり言って、そういう経験は全く無いな」「そっか」ちょっとがっかりしたように、声のトーンが下がる。もし向き合って会話をしているなら、きっと彼が肩を落とす姿を見られただろう。「でも、どうしたら人が人を好きになるのかとか、人を好きになるってどういうことなのか、とか知ってるんだよね?」 少し弱弱しい口調になった彼から、恐る恐る問いかけようとしている感じを受けた。「ああ……一応は」 渇いた唇をぺろりと一舐めして湿らせると、ふとあることに思い当たった。 そういえば昔、私は母に尋ねたことがある。「人を好きになるって、どういうこと?」 父が仕事で出払っていて二人きりの食卓で、まだまだ幼さが抜け切らない頃の私がそう問いかけると母が返した。「そうねぇ……。その人を幸せにしてあげたいって思えること、その人の側に居るだけで幸せだなって思えること、その人を見るだけでドキドキすること、その人のことを思うだけで胸が締め付けられるように痛むこと……。人によって様々ね。『これ!』っていう風には限定出来ないの」「そっか。それじゃあ誰かを好きになったことに気付かないで過ごす人も多いんじゃないかな」 私の言葉に、母は不思議そうに首を傾げた。「そうかしら。人によるかもしれないけれど、少なくとも私は貴方のお父さんを好きだなって自覚はしていたわよ」「あ、惚気たー」「……こほん」 指をさしてけたけた笑う私にわざとらしく咳払いをして、母は片笑んだ。「人を好きになるっていうのはね、言葉じゃ説明出来ないことも沢山あるの。上手く言えないけれど、自分だけが分かる、そんなことがね。その人の欠点を見ていて愛しく思うなんてこともあるし、逆に長所を気に入って、次第に好きになるっていうパターンもあるんだから」 私にはよく分からなかったけれど、「そっか」と返した。「いつか分かる日が来るわ」と、訳知り顔に母は言っていたけれど、結局高校生になった今でも「人を好きになる」ということを経験していない。それとも、ひょっとしたらもう誰かを好きになっているのに、鈍感だから自分の気持ちにすら気付けていないという可能性も否定出来ない。 過去に読み漁った少女漫画やら小説やらで、飽きる程そういった類の話は見てきた。友人にも男女の付き合いを深めている輩は大勢いる。だから多分、彼の問いかけにも人並みの返答を送れるのではないかと思う。「俺、どうしても女の人が信じられないんだ」「知っているさ」 彼のこれまでの経歴を知っている私にとって、当然それは既知の事柄だった。だからこそ、こうして男装をして紫苑と接しているのだ。「そうだよね。いつも飽きる位言ってるし覚えてるよね」 違うよ、紫苑。 声にはせずにそう言い返す。 紫苑が言ったからではなく、昔から彼の成長をずっと見て来たから覚えているのだ。「実はこの前、他所のクラスの女子が、俺のことを好きだって告白して来たんだ」「そう。それで?」「どう返せば良いのか分からなくて、ずっと黙っていた。暫く色々考えた後、どうして俺を好きになったのかを尋ねたんだ」 一息吐き出してから、紫苑はゆっくりと言葉を選んで語り続ける。「女子は答えた。誰にも興味が無いフリをしているところって」「……!」 驚く私をちらと見てから俯き様に下唇を噛み締めると、紫苑はまた顔を上げてこちらを見た。「その子は更に返してきた。本当は人を愛したいし愛されたいと願っているのに、それが出来ない俺が好きだって」 私は、何と返したら良いのか全く検討もつかなかった。ただただ黙って彼の話が終わるのを待つしかない。「俺は酷くうろたえてしまった。自分がそんな奴だと認識したことは未だかつて一度として無かったのに、彼女は全て知っていると言わんばかりに俺をじっと見つめてくるんだ」「……そうか。それでお前はどうしたんだ?」「それは君の勘違いだよって、言ってやった。」 人を見る目はあるつもりだったんですけれどね。 その時の紫苑の様子が、自然と目に浮かんだ。顔を真っ青にさせて俯く紫苑。唇をぶるぶると震わせて、今にも泣きそうな顔をして地面とにらめっこをする紫苑。そして彼から何の言葉も返らないことに不安を抱く女の子。「そうか。それは女の子に悪いことをしたな」「でも、俺はその子の存在なんて知らなかったんだよ。どう返せば良かったって言うの?」
2007.09.26
例えばさ、ぼくがロックスターではなかったとしたら、一体どうなってしまうのかな?検事、になるんじゃないですか。兼業ではなく、専業の。じゃあ、ぼくが検事でなくなったら?そうしたら、ただの牙琉響也さんになるんじゃないですか。何の肩書もない。いや、まだぼくには重い肩書が残っているよ。‥?牙琉霧人の弟、という肩書がね。!‥‥。ぼくには、どう頑張ってもアニキの弟であるという消せない事実がある。この肩書のせいで、何度となく腹立たしい思いをしてきた。そんな肩書、オレには関係ありませんね。‥どういうこと、だい?‥オレのにとっては、貴方はただの牙琉響也さんでしかないんですよ。‥‥!正直言ってオレは、響也さんと初めて会った時は先生とそっくりだと、「先生の弟なのだ」と強く感じていました。でも付き合いが深くなる内に、貴方という人そのものが見えてきて、そうしてオレなりに感じ取った響也さんが確かに居るんです。何の肩書も身分も取っ払った、ありのままの響也さん、貴方がね。‥‥。オレはありのままの貴方のこと、嫌いじゃないですよ。お高くとまった兼業検事だなんて思ったこともありますけど、素の貴方を見ればどんなに心根の優しい人かは分かりましたし。‥おデコくん‥。確かにチケットを半強制的に売り付けたり、破天荒な振る舞いが目立つという短所もありますが、あばたもえくぼという諺にもある通り、慣れてしまえばそれも貴方を彩るカラーとして見られますからね。‥それは、褒めてくれているのかな?(‥‥ちょっとけなしているかもしれないな)‥とにかく、貴方が気にするその肩書は、少なくとも今のオレの前では無意味ですよ。そもそも、これは結局例え話な訳ですからね。例えは例え。現実では決してありえないからこその仮定です。その肩書を負い目に感じていようがいまいが、結局貴方はロックスターで検事で、それで牙琉先生の弟であるという事実は揺るがないんですよ。‥それをそんなに気にすることはないんじゃありませんか?‥少なくとも、オレの前では。オレは貴方の人となりを知っています。まだ知らないことも沢山あるかもしれないけれど、もっと付き合いが深くなれば、益々貴方の肩書など気にならなくなるでしょう。肩書に押し潰されるのではなく、肩書を押し潰してしまえばいいんですよ。オレの知る響也さんにはその力がある。なんせ、オレの中の貴方のイメージを全く塗り替えてしまったんですからね。オレにとっては貴方の肩書など関係ない。響也さん、貴方は貴方です。他の誰も代わることの出来ない、牙琉響也その人なんですよ。(ひょっとしたらこの人は、オレに励まして欲しかったのかもしれないな)
2007.09.22
彼女達も帰ってきて、皆思い思いにぼーっとしてたら、先生がドアを開けてやってきました。お風呂後に皆でトランプをしようと話していたので、迎えに来てくれたのです(トランプは私の提供~) いざ男子部屋へ。 男子の部屋に入ると、海に行く前に食べ散らかしたお菓子の残りが机の上に鎮座してました。 そして更にお菓子を追加、と(たべっことか小枝とか)。 トランプ開始。 最初は大富豪。久々だからルールすっかり忘れてた。 ヤギリとかシバリとかイレブンバックとかスペサンとか、色々ありすぎてもう一杯一杯。平民とかで上がるのが関の山でした。 その後、神経衰弱。集団の心理戦とか、本当に姑息な手を使ったり、「そこは違うよ」とか声掛ける子がいて気が散ったり…!!静かにして!と思わず言っちゃいました。でもその後自分も声出してたり(ダメじゃん) 隣人の子がかなりゲーム中鬱陶しくて堪らなかったのですが(独り言が多いし声掛けばっかだし)、なんかそう思ってるのは私だけだったようです。「彼女を気にしてるのはシロちゃんだけだよ~」と言われました。そして「二人とも負けず嫌いだなぁ」とも言われました。う、確かにそうかも。 たまたま他人のおこぼれに預かった時、嬉しくてニマニマしながら「漁夫の利っ!!」と言ったら、皆がことごとくその言葉を連呼なさる…!!おこぼれに預かる度に、皆が「ぎょーふーのーりっvv」と甘く高い声で言う…!!ほんともう、私喋っちゃいけないのかもしれない。そう思って自粛して、ほとぼり冷めたなーと思って発言すると、またそれを皆が合唱する…!!やめて!!ほんと恥ずかしさで死ねる!! 神経衰弱の結果は3位でした。ほんとに神経が衰弱したよ。 その後もぶたのしっぽをやったり、7並べをやったりしました。最後はじじ抜きしました。誰のカードがじじか分からないので、緊張感ゼロで終始進みました。最終的に私と隣人が残りました。怖い!!たまたま引いたら上がれたのでよかったです。 んで、その後は色んな話をしました。 本の話とか、ニコニコ動画の話とか(逆転裁判4の動画『真っ赤な誓い』を知ってる友達がいた時には大声上げちゃいました/汗)、恋愛の話とか(早く切り上げようとすればする程突っ込まれて辛かった…)、とにかく色々。 なんか、此処でも当然の如く天然扱いされる自分。笑ってもらえるのはいいことなんですが、如何せん天然扱いは頂けない…!! 先生には、「そのままでいるためにはアレだね、恋人とかいっそ作らない方がいいね」とか言われました。 最初は「恋人出来たらどんな性格になるんだろうね」とか言ってたのにね、先生。その移り身の早さには舌を巻きます。 実際問題、恋とか愛とかよく分からんので、そういうのはしないと思うと答えました。あとそれから、中学時代の部活の顧問に「お前は昔から天然だったね」と発言されたから、今後も(もし私が天然であると仮定したら)誰と関わろうが天然であり続けそうです、とも答えました。 他にも、リアルに生々しいホラー話に花が咲いてたり。 私達の世代が生まれた1989年1月頃にあった、女子高生集団強姦殺人事件の話とか。 その記事は高校時代に図書館で読んでいたので、久々に聞いてあの生々しくグロテスクな話を思い出してしまいました。 皇居のすぐ傍にある、綾瀬で起こった話。 女子高生を男性が集団で監禁して、輪姦して、最終的にはコンクリ詰めにして殺害したという怖い話。 その話を始めたのはその子だというのに、最終的には怖くなってしまったらしく、「男子の部屋から絶対出ない」「皆寝ちゃダメ」「帰っちゃダメ」といわれました。 何やねんソレ…!!でも怖い気持ちは分かる。 おかげで男子部屋でGパンTシャツのままに寝ることに。私は2時30分頃まで粘りましたが眠いので早期脱落。他の子は4時まで粘ったそうです。 ゼミの子とは絶対間違いが起きようにないので(なんかそういうムードにならんからね)、そのホラーに怯えていた女子も安心していました。 色んな話して、お菓子食べて、ぐだぐだして。 翌朝、皆はかなりグロッキーしてました。だから私が時間管理しました。 AM9時30分のバスを逃すと、その次に来るのがPM5時だからね、最寄のバス停。幸手よりも田舎ですよそのバスの来具合では。 ご飯食べてちょっと部屋でぼーっとしたらすぐ出発。バス停に向かい乗車。そして館山駅まで。 しかし、館山駅に来る千葉までの直通電車は、あと8分で発車してしまう。 皆慌てて乗車券を購入。しかし寸でのところで間に合わず。 じゃあ次のに乗ろう、と思いきや…。 10時3分の次は、11時3分と来たもんだ。 …どんだけーーーーーー!?? その後は、適当に駅構内の椅子に腰掛けて皆でぼーっとしてました。授業の話したり。 んで電車乗ってからは、ドストエフスキーの本読んだり、持ってった小説読んだけど、つまらなくてぼーっとして。 で、友人の提案で『地名しりとり』を行うことに。ルールとして、しりとり参加者の内1名が少なくともその地名を知っていることが挙げられます。そして、その場所は実在する場所であること。 地名しりとり、面白いですよ。オススメです。 これ、かなり盛り上がりました。難しすぎる!!段々、言葉の終わりが「ま」や「わ」や「る」といた、次に続けにくいもので終わるようになります。 どうしても考え付かなくて、「ラピュタはダメ?」とか聞いちゃいました。「勿論ダメ!」…だそうです。 すんごいボキャブラリーが貧困だなぁと気付かされた、ある意味でいいゲームでした。 もっと地名に敏感になりたいなぁ。 そして、後は自宅に帰宅、と。
2007.09.11
昨日今日と、ゼミ合宿に行ってきました。 またしても館山まで行ってきた吾妻です。 しかし大学の保養施設のある場所は、海しか観光出来る場所がない。 …これはちょっとした苦痛ですよ。 ええと、今回はゼミでの合宿でした。 全部で11人のゼミ員達でしたが、今回の旅行出席者は6名ときた。 …Y先生は強制参加と言ったけど、結局5名は来なかった、よ…!! 協調性というか、統率感というか…著しくそういう気持ちの欠けたゼミな気がしました。まぁ、協調性ゼロっていうのは私にも当てはまるので、一概に彼らを責めることも出来ないのですが(笑) 昨日の10時30分に高田馬場に集合して、そこからトロトロと館山へ向かいました。 あっちに3時頃着きました。うーんのんびり。 着いたらちょっと皆でお菓子たべてまったりして、それから海へ出かけました。 つい最近四日間も行った場所なので、大体その場所についての知識は見に着いていた訳です。 他の皆にとっては初めて来る場所なので、出来るだけ色々小まめにあちこち説明してたら、 「シロちゃんは此処(大学の保養施設)の管理人になれるよ…」とか、「この土地に住んでるんじゃないの?」とか、挙句の果てには「長(おさ)」と呼ばれてしまいました。 …え、皆も四日間居たらあれ位の知識は身につくよ!! なんかその後、別に館山と関係ないことを説明する時でも、「長の言うことなら間違いないよ」とか「もう長が何を知っていても驚かないよ」とか言われました。 …そのあだ名が、今後も継続されるとしたら軽く凹みそうです。いや、うん。なんか長老になったみたいで、一気に老け込んだ気分になるあだ名です。 海に着いたら、皆で砂浜を歩きました。前回訪れた時よりも満潮になっていて、すっごく手前まで水がやってきました。普通の靴で踏み込んでいっていたら、思わぬタイミングで大量に海がこちらにやってきて、逃げ切れずに靴をびしょ濡れにされました。イジメ、カッコワルイ…!!!(何か違う) んで、皆で何をしたかって言ったら…。 貝拾い…!!!わーお、海に来たのに何故かインドア派な遊びだ!!(笑) 「めっちゃインドアな遊びですねー」とか先生と話しました。先生は女性で、しかも年が若い方なので(最近まで大学の助手だった方です)、先生と言うよりはお姉さんというかお母さんというか…そんな感じで、まぁめっちゃほのぼのしながら話しました。 先生が率先して貝探しに夢中になってたので、とりあえず自分も貝を探すべとあちこち散策。 何枚か気に入ったのをgetしたんですが…。今これ書いてて気付いた、先生に預かって貰ったままだ!!!(なんてこったい) 貝探しの時に、先生が不思議な貝(?)を持ってきてくれました。 平たい石みたいな表面に、花びらの絵が彫ってあるんです。 ひっくり返すと、大きな穴が開いていて、その脇に針で開けたような小さな穴が一つ。 自然の作った芸術だなぁと、花びらの絵を眺めていたんです。これ一個かと思いきや、探してみればあるわあるわのざっくざく。 本当に自然の恵みはスゴイ!! そうしみじみ思っている時、友達の一人が「さっきのソレの正体、わかったよ」と、花の絵の貝の正体を見せてくれました。 …クラゲの死骸。 マジかよ!?? と疑いのマナコでじーっとクラゲを見つめると、クラゲのふっくらとした表面に、なんとまぁ…花びらの絵。 そして、ひっくり返すと、大きな穴と、針で開けたような小さな穴が一つ。 …あの綺麗な貝と思ったものはクラゲだ。間違いない!!(某芸人口調) かなりショッキングで、元・貝を見つけてきた先生にクラゲを見せ、報告すると、「このクラゲを持って帰って最初の授業で皆に見せよう」という展開に。「クラゲについて授業しよう」とか…何この急展開。てか、それってそもそも授業じゃないよね…(爆) このぐだぐだ感が私の大学の特徴っぽそう。 そんな感じで、先生がビニール袋にクラゲを入れて、男子にそれを見せに行きました。 「これ今度の授業で使うから!」 先生がそう言って「袋の中のこれ、なんだと思う?」と男子生徒に差し出すと、彼は中に徐に手を突っ込み、クラゲをひっつかみ、外に出して… 「うわぁ!」 みたいな悲鳴をあげて、 ガシャッ!! と、その両手でクラゲを完全粉砕しました(笑) 何だ何だと思ったら、砂がクラゲの裏面から出てきたらしく(爆) 先生は「こんなの持って帰ってたら私の荷物が砂だらけになるところだった」と冷や汗掻いてました。 …なんかかなり楽しい(笑) ひとしきり海を堪能した後、「国民宿泊所」のような名前の建物が近くにあるので、そこへ皆で足を運んでみました。 宿泊客しか入れないかと思いきや、先生は堂々と中に入っていきました。いいのかなぁ…と思いながら中に皆でついていくと、先生が沢山お菓子を買ってくれていました。優しい…!! お酒は呑まない合宿なので、お菓子漬けにしようということ(なのかな?)みたい。たべっこ動物とか、小枝とか…。懐かしいお菓子の大集合。 その後、皆で先生にたかってみたら、琵琶アイスを奢ってくれました。ごめんね先生、財布持ってってなかったから…!!でも本当美味しかったです。 その後、セミナーハウス(保養施設)に帰って、ちょっと部屋で休憩。そして夕飯。 …セミナーハウスには、私達以外の団体は全くいなかったので、 だだっ広い食堂のど真ん中に、ポツンと鎮座する私達7人。 この7人のためだけに、セミナーハウスのおばちゃん達は料理してくれました。どうもです!!(ここで言っても伝わらないけども一応) 部活で此処を使った時には、仕切る人がいたのですが、B型5人とO型1人、AB型1人の空間には、仕切る人間が何処にも見当たらない…!!! 頂きますの声もまばらに、夕食開始。 …色んなとりとめもない話をしてたんですが、あまりにもとりとめがなさすぎてあまり記憶してません。 ただ、はっきりと言えるのは、中学の部活顧問の先生に飽き足らず、大学のゼミの皆までもが 私のことを「天然だ」と断言しました。 …違う。絶対違う。私は天然じゃないです!! と主張すると、「そう主張する人ほど本当に天然なんだよ」と左隣から冷ややかな声。 だったら畜生、こちらから宣言すれば天然らしくないってことだよな、と思って 「じゃあ私天然ってことで」と主張したら、逆に皆がツボに入ってしまったようでした。…自分から言う人はわざとらしいだろうと思って宣言したんですが、裏目に出たみたいです。 じゃあどう主張しようと結局変わらないのか、私への評価は…。 自分の中ではきちんとしているつもりなんですが、喋るごとに皆に大笑いされました。…いや、そんなに面白かったかなぁ…。 でも普段ゼミでは大人しくしてるから、結構皆そのギャップのせいでツボってたのかもしれません。 ご飯開始前、友人の声が聞こえなかったので「ごめん、耳が遠いんだよね」と言ったら、「何でそんな老人じみた言い方すんの!?」とかなり皆に笑われました。「普通、聞き間違えちゃった、じゃないの」とか笑われました。くっそー、私は耳が遠いんだよ!!と主張したけど皆生温かい目でコチラを見てくる…!!なんだろうこの集団リンチ。羞恥プレイにも程がある。 しかも、食事中にたまたま友人が言葉間違いしたのを確認してみたら、「寧ろ席が離れてるのにかなり聞こえてるじゃん!」とまたもや皆に笑われ…。え、もう何この集団。箸が転がってもあの時の皆は笑ったと思うよ。 あーそういや、なんか私は笑いながら喋っていると声が甘く、高くなってしまうらしいです。 右隣の女の子が、かなりそれを面白く思ったのか、出来るだけ耳で聞いたそのままに、私の声を真似してすぐに続けるんです。 …そ、そんな高い声出してるのか、自分!! と、新たな自分を発見しました。男子まで声マネしてきて、なんかやたらめったら恥ずかしかった。 やめてというと余計に繰り返してくる…。何この集団羞恥プレイ!!私、公開処刑されてる!!公開集団リンチだ!! 私の発言とかを聞いて先生が「1人で語録作れるよ」とか言ってきました。…ソレ、褒め言葉ですか…?(汗) なんか話が進むにつれ、「そのまま4年まで育って欲しい」とか先生に言われました。何を先生が私に求めているのかさっぱり分かりませんが、要するに天然でいてくれってことらしいです。 だから天然じゃないというに…!!天然というのは、やたらほわほわしてて、居るとなんかその場が和むような子のことを言うんじゃないんですか。私、どっちかというとトゲトゲですよ。ツンツンしてますから。天然っていうより、バカって言った方が的を射てそう。 刺身を食べてる時とか、先生に「これはマグロだよ?」と刺身を示されました。 それ位知ってます、先生!! 流石に魚嫌いでも、なんとなく見た目でマグロっぽいなって知ってましたから!!だからそんな、無知な子供に教えるみたいに優しく諭さないで下さい!! 皆私を虐めることに喜びを見出していやしないだろうか。 いや、絶対そうに違いない。 ご飯が終わったら、皆でミーティング。 本についてとか、夏休みについてとか、こまごまとしたことを話しました。 んで、4年後までに自分をどう成長させたいかを紙にメモさせられたりしました。先生がそれを読んで保存して、四年後に返すのだそうです。 なりたいものは、色々あるけど。 裏切りかもしれない展望も沢山あって。 その全てを書ききることは、どうしても私には出来そうもなかったです。 だから、曖昧な言葉に乗せて、裏切りの告白をしました。 多分、先生がそれに気付くことはないだろうけれど。 ミーティングが終わったら、お風呂に行きました。 …1人で行ったお風呂。離れに設置されたお風呂まで行くのに、周囲はもう真っ暗だし、お風呂場は誰もまだ行ってないから電気点いてなくて真っ暗で…怖くて怖くて仕方がなかったので、ニコニコ動画で見た曲『真っ赤な誓い』や、『エアーマンが倒せない』の替え歌を歌ったり、最近スカパーで見てる『Dr.スランプアラレちゃん』のOPを歌ったり、バンプ歌ったり、Cocco歌ったり、…。 とにかく、歌いまくって一人の風呂に耐えました。 すぐに誰か次の入浴者が来るかなと思って1人の空間に耐えてたんですが、どんだけ待っても誰も来ない!! バタ足したり、平泳ぎしたりして色々堪能してから湯船を出ました。 部屋に戻ったら、お風呂いってから40分経ってました。 家では平気で1時間入っているので、それでも早い方だったんですよ。 でも、後に2人の入浴者が控えていて、お風呂使用可能時間は残り30分弱ときた。 …本当に申し訳ありませんでした>< 私が出るのを待ってから入ろうと思っていたらしいです。 私は、すぐに彼女達も風呂にくるものとばかり思っていたので時間は気にしていませんでした。 意思の疎通が出来ないと、こんな時に思わぬトラブルを生みますね…。 でも、本当にお風呂が怖かったので、お風呂の中で歌ってたこととかは責めないで欲しい、です!! 湯船で泳ぐ練習したのも、待ってるのが暇だからしていて…(言い訳じみてきました) その後部屋でドライヤーをして、ぼんやりしてたら25分で二人が戻ってきました。早い!! 「早いね」と声をかけたら「いや遅いよ」と言われました。 皆って、どれ位の時間でお風呂済ませちゃうんだろう。 私の時間はかなり長い方だと自覚はあるのですが、こういう時、人の平均入浴時間ってどれ位なのかかなり気になります。 ★後編へ続く★
…あ、ダメだ。訳もなくそう思った次の瞬間、ぼくは背をかがめて彼に口付けていた。ふっくらとした、茜色の唇に。ゆっくりと顔を離し、にっこり微笑んでやる。最初はポカンと呆気にとられた表情だったおデコくんは、見る見る内にその表情を怒りに染め上げていく。顔はもう真っ赤っ赤で、茹でダコでさえかくも赤くはなるまいといった趣だ。「…っな、何ふざけて」「ふざけて同性にキスする程、ぼくは見境のない男じゃないつもりなんだけどね」さり気ない素振りで肩を竦めて、さっき開けた間合いをちょびっとだけ詰める。そうすると危機感を感じたのか、彼もさっと後ろへ退いた。ちぇ、何だか面白くない。「…じゃ、じゃあ、なんでキスなんか」遮るように口を挟んでみる。「好きだから…」ぎょっとした顔でこちらを眺める彼の額にキスの雨でも降らせてやろうかなどと画策しつつ、表面上は涼しい顔を保ちながらぼくはその続きを話す。「っていう理由じゃ、キミはお気に召さないかな?」右手の人差し指を唇にもっていき、しぃっと小さく息を吐く。「…召す訳が、ない…でしょう!!」腹の底からたぎるような大声を、ムリヤリ押さえつけているといった風情だ。こもった声が彼の怒りをかなり的確に表現している。「…でも、これは事実さ。ぼくはキミが好き。シンプルだろう?キミが好き、だからキスをした。オーケイ?」「全くもってオーケイじゃありません!」ぴぃぴぃと、小鳥のようにさえずる彼を間近で見ているのは結構楽しい。終始飽きずにいられる。それはまぁ有り難いのだけれど、しかし大声で喚きたてられては、ぼくの耳がバカになってしまうかもしれないしなぁ。…ちょっと黙ってもらおうかな。もう一回、さっきみたいに背をかがめる。目線を若干彼に近づけ、そっと体も近寄せる。ゆるぅりと。王泥喜法介を、味わって。その体を己から引き離してやる。☆眠いので強制END☆
2007.09.02
死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。部活のみんなが他人をどう思っているのか、どう見据えているのか、色々合宿中に話を聞いて更に人間が怖くなった。皆あんなに何気なく接しているのに、そんなにあの人を嫌っているのか。皆あんなに親しげに笑うのに、そんなにあの人を馬鹿にしていたのか。人って怖い。彼女らのものの見方を聞いて、私は目の前が真っ暗になったようだった。私は、陰口を皆でこそこそ言うのが大嫌いだから、だから彼女らの仕打ちにはかなり辟易した。ただ、普通に私は皆を好きでいるつもりだったけど。先輩も優しいし、同級生も皆いい人だと思ってたのに。一年生の皆の見方を聞いて目の前が真っ暗になった。きっとアレが普通なんだ。私は、人を見抜けなくなっている。それは、意図的に始めたことだったけれど。皆みたいに、他者の欠点やその人の野望を見透かすことが出来なかったのは私の落ち度だけど。だけど、もう今は彼女達が怖い。あの陰湿な、ねっとりとした、ひそひそ話。大学ではもう存在しないかと思った、陰口の数々。寧ろ大学の方がこういうものは多いでしょ、と笑う友人。頭がグルグルする。誰も嫌いになりたくないのに、皆嫌いになりそうだ。人って、一番生きて居ちゃいけない生物だと思う。
2007.08.29
ゆるゆると、頬を無骨な手が撫ぜる。 そっと、その手の持ち主を見つめると、ふわりと甘い笑みを零された。 その笑みが、オレの頬に熱をもたらす。 オレの熟れた頬を、そっと検事の両手が挟み込んだ。 ひやりと冷たい感触がして、ぞくりと肌が粟立つ。 快い感覚が、全身を矢のように突き抜けた。 何によって与えられた感覚なのかと、ふと疑問が頭をもたげた。 瞳の焦点を、オレの両頬に添えられた検事の手へと定める。 すぐに答えが出た。オレに冷たい氷を突きつけたのは、彼の両手の人差し指と薬指に嵌められた指輪だった。 「おデコくん」 いやに熱っぽい声で、検事はオレのあだ名を呼んだ。 両頬に添えられた手達が、それぞれ別々の意思を持って動き始めたのが分かった。 オレの右頬に添えられていた手は、頭を支えるかのように背後へと回った。 反対側の手は、そっとオレを上向かせるように顎へ当てられる。 何が起こるのだろう。 ぼんやりする頭で、現状を把握しようと努める。でも、何故だか答えが見つけられなかった。 そうこうしている内に、誰もいない公園の片隅で、オレと検事の影が一つに重なっていた。 自分の唇にかぶさる、他者の唇。それは生まれて初めて感じた、他者の熱だった。 初めての経験だからか、それを拒もうという考えは起こらなかった。生まれたての子供が、親からのキスを拒まないのと同じだ。 ただ、与えられるものをそのまま享受する。 一度繋がった唇を、そっと響也が引き離す。 王泥喜が拒絶をせず静かに彼を受け入れたことに機嫌を良くしたのか、響也は笑みを深くした。 それぞれの手の位置を変えることなく、響也は再び王泥喜に顔を近づけた。 ゆっくりと王泥喜の唇を食む。親鳥が子供の小鳥を啄ばむような、慈しみに溢れるキスを落とす。 その愛情を余すことなく王泥喜は小さな体で受け止める。 すると突然、響也が殊更深く口角を変えて、王泥喜の小さな唇を貪り尽くそうとする。 先程までの静かなキスと打って変わった、獰猛な大人の口付け。 ただただ貪欲に、王泥喜を味わいつくそうとする、明確な意図を持った響也の舌が、王泥喜の口内にそろりと侵入を果たす。「…んっ」 王泥喜の唇から、艶のある声が漏れる。 熱い心の昂りをぶつけるように、響也は王泥喜の歯列を荒々しくなぞる。 成す術もなく、王泥喜は響也の舌に口内を蹂躙される。 ただ、その丸い瞳を熱に潤ませて、響也の動向をそっと窺い見ることしか彼には出来ない。 王泥喜に熱の篭もった目で見つめられて、響也は自らの体の中心に熱が集まっていくのを強く感じた。 どうしようもなく王泥喜に深く溺れている自分を、今更ながらに強く自覚する。「…まずいな」 キスを止めてぽつりと呟く。けれど深いキスを長く続けていたために呼吸がままならなかったのか、王泥喜は息が上がったまま茫然自失とした表情を崩さないため、彼が響也の台詞を聞いていたとはどう見ても思えない。 熱に浮かされた王泥喜は、その存在自体が響也にとっては毒にも薬にもなる。 …今回の場合は、毒そのものだ。全身をこの存在に蝕まれては、さしもの響也も欲望を抑えきれるか自信が持てない。 だから、スイッチが入る前にこの行為を止めなくてはいけないと、強く感じている。 ……感じているのに、この瞳が自分を吸い寄せるのだ、と響也は内心で毒づいた。「キミが悪いんだからね、おデコくん」 言い訳じみた自らの言葉に苦笑して、響也は王泥喜の顎にかけていた手を外して己の髪をかきあげる。 しっとりと汗ばむ程の陽気を見せる晩夏の夕焼け空の下、響也のワックスで固めた髪は、暑さのせいでパラパラと崩れ始めていたのだ。 それは王泥喜も同様で、いつも元気良くピンと立ち上がっている前髪も、今では少し萎びた菜っ葉のように手前に垂れ下がっている。 その前髪を、自らの髪をかきあげた手でそっとつまむ。触れた髪は、驚く程柔らかく手の内に収まった。 飽きるまで握っていようかと思ったけれど、王泥喜がくすぐったそうに両目を細めるので止めにした。 ぱっと手を放し、再びつい先程まで落ち着けていた場所にその手を戻す。 こちらをトロンとした目で見上げる彼に妖艶に微笑んで見せた後、狼のように獲物を見据える眼差しをくれてやって、響也は体をかがめた。 物凄い速度で、全身に甘美な毒が回っていく。 その毒を解毒出来るのは、毒である王泥喜のみであることを、響也はよく知っていた。 毒をもって毒を制す。 毒を食らわば皿までも。 沢山の毒に関する諺を心中で反芻しながら、響也は王泥喜に大人の口付けを繰り返した。*************私には珍しく、色んな人間の視点が入り乱れ。王泥喜とか響也とか、観察者(語り手)とか。いつもはたった一人の視点で物語を見ていくので、たまにはこんなスタイルで。どうしよう、今物凄くエロが書きたい!でもどう書けばいいのか分からないので、キス止まり。何故だろう、夏だから!?オレンジレ●ジが夏にエロい曲を作るのと同じようなモンなんだろうか…。こんなに書きたいと思ったことは無かったから、自分の欲望にかなりびっくりしてます。でもエロってホントどうやれば書けるんだろ…。森茉莉みたいな耽美な言葉遣いをすることとか、兎に角、形から入るのが大切なのかなぁ…。…というか、なんかもう下品で恥ずかしい話をしちゃってごめんなさい><でも自分でもかなり戸惑っているので、どうか許してやってください;
2007.08.23
ガリュウ:やぁ、パソコンの前のお嬢さん、こんばんは。 ガリューウエーブのボーカリストにして名検事である、牙琉響也だよ。オドロキ:どうも皆さんこんばんは。 成歩堂なんでも事務所所属の一応弁護士・王泥喜法介です。ガリュウ:そういやおデコくん、あの事務所にいて捌いた事件の数って、今のトコロは幾つなのかな?オドロキ:……検事と戦った裁判の数がそのまま、オレが捌いた事件の数です。ガリュウ:…ってことは、ひぃふぅみぃ…。3回か。オドロキ:もうちょっと仕事が来て欲しいもんですけど、何分、事務所の名前も「なんでも」って言う位に、仕事に関して大らかなんですよね。 この前なんか、眼鏡を失くしたって大騒ぎをする初老のおじいちゃんがやって来て、事務所の皆で眼鏡を一生懸命探し回ったりしましたもん。ガリュウ:それは随分と大変だったね。見つかったの?オドロキ:…最初からおじさんのおデコに乗せてありました。ガリュウ:…出会ってすぐに気づかなかったの、キミ。オドロキ:あれですよ。灯台もと暗し、ってゆう。ガリュウ:…キミがそんなんじゃ、成歩堂なんでも事務所の行く末が心配だね。オドロキ:じゃあ、検事がオレに仕事を斡旋してくださいよ。ガリュウ:ぼくは検事だよ!?キミに仕事をくれてやるだなんて、正しく敵に塩を送る行為そのものじゃないか。ダメ、絶対!オドロキ:なんだか麻薬防止のキャッチフレーズみたいですね。ガリュウ:うるさいうるさい!!ダメなものはダメ!!裁判上で必要な情報ならキミにも教えてあげるけど、それ以上の手伝いはしないよ。 検事が弁護士に肩入れするなんて、みぬきお嬢ちゃんの大魔術よりあるまじき行為だよ!!オドロキ:そうですか。まぁ元々大して期待してませんでしたから、そんなに腹を立てないでくださいよ。ガリュウ:なんかそういう風に言われるのも腹が立つなぁ。オドロキ:…というか、オレと検事は何のためにここに呼ばれたんですか?ガリュウ:ああ、そうそう。そっちが本題だったね!!いやーフリートークに花を咲かせてしまった。失敗失敗★オドロキ:★マークだして謝れば誰でも許してくれるとか都合のいいこと考えないで下さいよね検事。それが許されるのはみぬきちゃんみたいな茶目っ気が許される子達だけですからね。ガリュウ:おデコくんも言ってみなよ。「てへっ失敗しちゃった★」ってさ。オドロキ:それが許されるのは子供だけであって、オレは成人男子なのでやって見せたら痛々しいことこの上ないですよ。ガリュウ:いいからいいから!!ぼくが許すから、一度見せてよ。オドロキ:キャラじゃありません。よって却下。ガリュウ:うぅ~、おデコくんの意地悪っっ!!悪魔っ!焦らしプレイも程々にしてよねっっ!オドロキ:意地悪や悪魔はいいんですけど、なんですかその最後の言葉は…聞き捨てなりませんね。誰もアンタなんかを焦らしちゃいませんって。ガリュウ:じゃあキミが焦らしているのは、ひょっとしてぼくじゃなくてパソコンの前のお嬢さん達なのかな? やれやれ…罪なおデコくんだね。オドロキ:勝手に考えて一人で勝手に頷かないで下さい。オレは誰も焦らそうとしてません。ガリュウ:えーそう?オドロキ:…というか、検事。オレ達がどうしてここにいるのか、まだ話が進んでませんよ。ガリュウ;あ、しまった。 そうそう。パソコンの前のお嬢さん、特に管理人:吾妻シロのオフラインでの友達、ぼくとおデコくんはキミに管理人の現状を伝えるためにやってきた、言わば連絡係だよ!オドロキ;管理人は、オフラインの友達でmixiに入りたい子がいたら、希望を示してくれれば招待メールを送るよ~って話がしたいらしいんだ。ガリュウ;そうだね。なんでも、mixiの日記ばかり更新するようになって、このブログの日記を全然更新しなくなっちゃったから、二つを統一しなくちゃなぁと薄ぼんやり考えていたらしいよ。オドロキ:でも、あっちには知り合いが多すぎて、汚れた話がうっかりおいそれと話せない状況にあるから、こういう「本音」を書ける場所は必要だなとも思っているみたいなんだ。ガリュウ:もし管理人のオフ友でパケ放題のケータイつかっている子がいたなら、よかったらmixiやってみるといいと思うよ!!携帯からでも日記更新OKだしね。オドロキ:ですね!オレもオススメします。 ではでは、本日のところはコレで!!★☆★☆ねむくなってちからつきた。
2007.08.17
人が楽しいと感じるものが、何故か自分には楽しくない。これは致命的だ。どうしようもなく。どうしたらいいんだろうか。大切に思っていた人がいた。でも、その人の中で私は一番ではないことを随分前に知った。私がいくらその人を一番に思っても、その人の中で私は一番ではないことに、愕然とした。その人以上に大切に思える人はいなかったのに。なのにその人にとって私は有象無象の中の一つでしかなかった。ずっと、相手も自分を大切にしてくれていると信じていた。でも、現実は違った。一番大切だと思って、一番大切にしてきた存在から見放されていたことに気づいて、今の私は人間不信に輪をかけてしまった。私がどれだけ大切にしたい人に出会っても、その人には既に大切な相手が存在するんだ。いつも、いつだってそうなんだ。そうして、何度も何度もその現実を突きつけられても、それでも、他の子はそうでも、あの子だけは違うって信じていたのに。依存心が強いから、そんなに皆は大したことないって思うかもしれない、些細なことで胸が苦しくなる。いっそ、何もかもが夢ならいい。
2007.07.29
わーい、今の私は友人から借りた逆転裁判4にトキメキしてます。何がいいって、キャラがいい!!ストーリーは謎だらけで気になるトコロが多いけど、とにかくすごくやっていてドキドキするし、ワクワクする。おかげで、今月15日(先週の今日)、逆転裁判のオンリーイベント『裁きの庭』に、一人で行ってきちゃいましたよ。ええ、もう。実のところ、イベントに一人で行くのは生まれて初めてだったし、最後に行ったイベントは高校一(か二)年生の時で最後だったので、かなり行くのに緊張しました。しかも台風きてたしね。多分1万4千円くらい使ったと思う…;おかげでその日、中学時代の友人から夏祭りに誘われたのに残金200円のため、なくなく断らせていただいた、ってゆう。夏休み中は、色んな友人に会うこともあるかもしんないっす。会うためには金がなくちゃなぁ…。9月30日には再び『裁きの庭』があるし。うっふっふ…夏休みにはバイトしなくちゃね。でもひきこもりが板についてるので、外が苦手、ってゆう。ちなみに私。逆転裁判4が制作決定となった時…「え、ナルホドくんが主役じゃないゲームなんて最悪じゃん!!しかもこの主人公ラフ画何!?これじゃあ絶対つまんないよー」とか思ってたんです。本当にすみませんでしたカプコンさん。いや、実際問題、4は色々と今までよりも冒険的な感じがしましたけどね。沢山の場所に「おや?」と思えるシーンがあったり、何かおかしい設定があったり…。メイスンシステムに関するムジュンが凄く多いって、逆転裁判4をプレイした方々は口々に言いますね。私もそう思います。しかも、ほとんど謎が解明されずに終わっているから気になることだらけだし…!!でも、そんなムジュンとか疑問とか煩悶とか、全てを内包した上でプレイしても、やっぱり面白いんです。それから、4をプレイした友人が「みったんが出ないからショックー」と言ってたのを聞いた時も相当ショックだったのですが、意外とプレイしてみたら、みったんがいなくても楽しかったです。ナルホドくんも相当やさぐれてたから、あのナルホドくんとみったんが一緒にいるイラストは辛くてあまり見てられなかっただろうと正直思います。うー。ちなみに、4の中でイチオシカップリングはいくつかあります。【BLも含むため注意】【ネタバレ多いので注意】第一位★ 牙琉響也×王泥喜法介 検事の響也さんと弁護士の王泥喜くんが、一緒に真実を追い求める姿勢は素敵だと思います。 ヨコシマな意味で言うと、オセオセな響也さんもヘタレな響也さんでもどっちでもいいから、とにかく響也さんが攻めであってほしい。オドキョもOKですが、基本的にはキョオドがいい。 響也さんはとにかく孤独な王泥喜くんの寂しさを埋めてあげられる人であってほしい。王泥喜くんも、そんな響也さんに依存できるようになるといい。 ネット上で17歳響也×15歳王泥喜くんのお話を見かけて以来、この設定ってかなり萌えるとか思って脳内フィーバーしてたりします。もう初々しい若さ溢れる、粋がってる響也んに引きずり回される王泥喜君とかいいね。 それに、王泥喜くんが殺し屋設定っていうののキョオドとかかなり萌ゆる。第二位★ 牙琉響也×宝月茜(牙琉響也→宝月茜→成歩堂龍一) じゃらじゃら検事×さくさく刑事。 もうこの二人が会話しているだけで、うっふっふ響也の片思い~vvとニマニマしてしまいます。 ちなみに茜ちゃんは、逆転裁判4本編では、響也さんに対してツンデレ傾向にあるようです。 じゃらじゃら検事は好きじゃない、と言いつつも、その検事さんのバンドの歌もちゃんと知ってて歌えるし、色々響也さんのことを認めている節もあるし。 こうね、響也さんの魅力にあてられない女性って数少ないと思うんですよ。だって響也さんカッコいい上に頭いいし女の子には優しいし。 そういう特殊な女の子であるが故に、フェミニストの響也の興味を引けばいいと思うよ。 ちなみに、このカップリングの場合、茜ちゃんが成歩堂龍一に片思いしているっていう設定もあり。 さりげなく茜ちゃんの方が年上なのに、立場上では響也さんの方が上の立場なんだよね。これって結構茜ちゃんにとってムカツキ要素に入ってそう。 第三位★ 牙琉霧人×王泥喜法介(牙琉霧人+王泥喜法介) 師弟関係萌え!!しかも霧人さんは優しいフリして割合鬼畜っぽいところも見え隠れするので、王泥喜くんはどんな風に彼と日々をともにしてきたのか、妄想がかきたてられます。 いや、でも普通に優しい師弟関係も好きです。沢山の人を騙してきた先生だけど、王泥喜くんにかけた言葉や笑顔の全ては真実であってほしいです。 いやもう、師匠という立場を存分に利用したあれやこれやくんずほぐれつがあってもいいと思いますけど。第四位★ 牙琉霧人×成歩堂龍一 通称『アニット(牙琉兄弟の兄×ニット帽を被ったやさぐれ成歩堂)』。 この二人の醸し出す淫靡なムードは誰かどうにかしてください。 なんだか4になってナルホドくんの色気が増したと専らの噂です。 あのパーカーの下には、御剣と疎遠な間に霧人さんによって沢山つけられたキスマークがあるという小説を読んだりしたので、妄想が膨らみます。 ナルホドくんは4になってヒモ体質男になっちゃったので、弁護士バッヂ剥奪されてみぬきちゃんを養うために、霧人さんをめっちゃ頼ってるんじゃないかな。霧人さんも、殺したいくらい憎い相手なのに、よく7年間も自称「親友」ごっこを続けたもんだ。感嘆に値する。でも、ほんとに霧人さんはナルホドくんと親友になりたかったのではないかと思われる。てゆうか、どんだけ憎んでる人でも、付き合ってれば自然とその憎しみは減るからさ。多分、最初は監視目的でナルホドくんの友達になったんだけど、付き合ってみてその関係が意外にも心地良くて、このまま自分の罪が詳らかにならなければずっと親友ごっこをしていたいなぁと思うくらいには情が移ってたんじゃないかと思う。そうじゃなきゃ第一話で、自分が不利になるかもしれないんだからナルホドくんの弁護は請け負わないだろうし。なんとしても救ってやりたいと言っていたあの言葉は、嘘ではなかったんだと思う。第五位★ 牙琉霧人+牙琉響也(牙琉霧人×牙琉響也) 眉目秀麗な兄弟のコンビ。お兄ちゃんはさり気にドジッ子属性(オフィシャル設定)。弟はお兄ちゃんがなんだかんだで好き(これもほぼオフィシャル設定)。 ちなみにね、霧人に対してだけ、響也は『オレ』って言ってるんだよね(オフィシャルで)。お兄ちゃんに反発する反抗期の男の子みたい。 裁判で敵対する相手の筈の兄に裁判の資料を全て見せちゃう弟は、相当お兄ちゃんが好きで信頼していて、卑怯な手を使ったりしたくなかったんだろうね。 番外編・一★ 牙琉響也→王泥喜法介←牙琉霧人 いいよね、三角関係。ちなみに王泥喜くんからはどちらへも矢印が出ていないという。熱烈片思い。 この兄弟が何か一つを熱烈に取り合うってすっごい間に挟まれた人間は災難だろうけど、傍目から見ている分にはオイシイと思うんです。 ドリーム小説でこういうのがあっても良さそうだな。間に挟まるのは勿論ヒロインで。+++++++++++++++++うーんもっと書きたいけど今日はここまで。とにかくこのゲーム、こういうヨコシマな目で見なくてもすんげー面白いので!!皆さんやってみてください。++++++++++++++++++++++オマケとして、昨日もそもそ描いた、私的カップリング二位にくいこむ響也さんと茜ちゃんを載せます。
2007.07.22
ハーイ皆さんこんばんは。アナタの吾妻シロです★ふざけるのも大概にしておきましょうか。四月一日頃に携帯に書き込んだ小説をここに載せちゃおうと思ってやってきました。えー、別に日記書くネタがないとか、そういうことではないんですよ?問題は、文章書くのがちょっとメンドくさくて…(汗)いやー、私mixiを最近始めたんです。で、そっちの日記に書くのが専らになってしまって、こっちがおざなりになってるんですねー。や、こっちしか見れない友人もいたりするので、このブログ辞める気はないんですけどもね。それにこっちの方が歴史長いし!!…てな訳で、マンネリズムに陥った私を助けると思って、過去に作った子供…でわなく作品を見ていってくださいまし。-----------------------------------------------------------------------------------『エイプリルフールの茶番劇』卯月の最初の日。誰が決めたのだか、この日だけは人に嘘をついても罪にはならないらしい。僕は、自分は年柄年中嘘で身を固めているから、纏う罪の重さが一つ減ろうが増えようが大差はないと考えている。だから正直、エイプリルフールというけったいな日に意味を見出だせないでいた。こんな僕とある意味で真逆の立場にいるのは、隣の席の仙波千夏という女子だ。彼女の場合は、人に嘘をつくことを嫌うが故に、エイプリルフールに意味を見出だせないのであった。一時間目の生物の終わりのチャイムが聞こえ、僕はやれやれと大きく伸びをした。起立だの何だのと週番が叫び、皆で先生にお辞儀する。机の上の教科書やノートをひきだしに仕舞う。ちらりと隣を盗み見ると、仙波はまだカラーペンをノートに走らせていた。なんで女はやたらとノートに色を付けたがるのだろう。感心しつつも呆れてしまう。すると、僕の視線に気付いたのか、ノートから顔を上げて、「景虎くん」僕の苗字を呼ぶと、仙波は右手の中のカラーペンをくるぅりと器用に回した。「貴方は今日は嘘をついた?」「いいや、まだだよ。いざつこうと思っていても、中々上手い嘘が考えつかなくてさ」……また僕は嘘を吐いた。嘘のネタをいつも考えている僕がよくも白々しくそう言えたものだ。ぐるぅりと、いつものように僕の体に、吐いた嘘が貼りついた。「……ああ」仙波は訳知り顔で頷いて、「聞き方を間違えたわ」と微笑んだ。「貴方は今日も嘘をついた?」笑顔とその台詞とのギャップに、僕は軽く面食らう。彼女は笑みを崩さぬままに、右手から左手にカラーペンを持ち替えた。「……何のこと?」こういう時は知らない振りでやり過ごすのが一番だ。「あら、自分のことなのに、気付いてないの?案外鈍いのね」まるで全てを知っているとでも言いたげに、彼女は左手のペンを僕の額に突き付ける。「知らず知らずの内に嘘ばかり吐く人って、私嫌いよ」別に僕は君に好かれたいなんて思ってないし。そう言おうと思ったけど、言ったら彼女の台詞を肯定したとも受け取られかねないから沈黙を保つ。「君が僕を嫌おうと好こうと勝手だけど、妙な言い掛かりだけは止めてほしいな」全く、いい迷惑だ。「言い掛かり?本当にそうかしら?」「そうさ」知らず知らずの内に苛立っていたのか、僕は声を荒げていた。「それより君、いいのかい?」「何が?」「黒板、消されちゃったよ」こ、と僕が発した時点で気付いたのだろう、仙波はノートと黒板を交互に見比べていた。あまりにも物凄い勢いで首を上下に振るものだから、僕は少し面白くなってしまう。「なんだか君、赤ベコみたいで可愛いね」「それも嘘ね」きっぱりと断言する彼女に、「いいや」と即答して「違うよ」と続けた。それでも彼女は聞く耳を持ってくれず、「本当は、間抜けだって言いたいんでしょう?」と肩を竦めている。苦笑いをしながら。僅かに下がったまなじりが不覚にも可愛くて、僕は彼女に一つ親切を働いてやろうという気になった。「ほら」「?」仙波がクエスチョンマークを頭上に浮かべているような気がした僕は、「僕のノート、写しなよ」と声をかけた。「…それも嘘?」「人の親切は黙って受け取っておきなよ」その方が貸し手冥利に尽きるからさ、と僕は笑った。多分、この笑顔は自然に生まれたものだ。「…それじゃあ、遠慮なく」そう言って、彼女はペンを持つ方と反対の手を差し出した。「うん、どうぞ」僕のノートを受け取った仙波は、恭しくお辞儀をしてみせた。エイプリルフールに善いことをするなんて、嘘でがんじがらめにされた僕らしいジョークだ。そう思えて、珍しくしおらしい仙波を横目に、僕は一人口端を吊り上げた。------------------------------------------------------------------------------友人に見せた際、DEATH NOTEのライトに似てるといわれました。たしかに読み直すと初期のライトって感じでした。うーん、偽善的笑顔とか彼の常習手口みたいな感じしますしね。色々被ってます。
2007.06.24
母のくびに見えるもの 母が仕事をクビになってから、もうすぐ三年半が経とうとしている。―・・・・・・いや、この言い方は不適当だ。正確には「仕事を辞めてから」と表現した方が良い。 当時の母は四十六歳で、まだまだ働き盛りのパートだった。事ある毎に何らかの賞を貰って帰宅する、正職員と肩を並べて遜色のない程の優秀な働き者だった。仕事での自慢話をさせると口が止めどなく動く人だった。きっとあんなことさえ無ければ、今もバリバリ仕事をこなして沢山の賞に輝いたに違いない。 母が仕事を辞める原因になった「あんなこと」というのは話すと長くなる。私の兄がグアムでのモトクロスのレース中に大腿骨を骨折したことが全ての始まりでもあり、終わりでもあった。 モトクロスとは、荒れ地や舗装されていない道を走ってタイムを競うオートバイレースのことだ。 その世界でプロとして戦い始めた矢先に兄は骨折し、何かしらの手違いがあって彼は障害者になった。だから母は仕事を辞めざるを得なかったのだ。兄の介護のために。 母の生き甲斐は、仕事と兄のレースの観戦だった。全てを奪われた母は老いた。兄が障害者になったのを皮切りに、次第に家が腐っていくのが見て取れた。終わりのない介護に追われる両親の姿。最早人間らしさの殆ど抜けた兄。碌な会話も希望もない冷めた家。この中に居ると時折、どうしようもなく絶望的な思いに捕らわれる。永遠に続く不幸をこの手で断ち切ろうと、何度家族に手を掛けようと考えたか知れない。しかしその度に理性でそれを止めてきた。何故なら、全てを終わらせたいのは私のエゴだから。兄も母も父も、永遠に続く不幸を止めようとしないから。だから私には、家族に勝手に引導を渡す権利なんてないのだ。そしてまた、と繰り返し繰り返し、地獄の責め苦のような日々を続けていく。今日も、明日も、明後日も。 兄の介護で疲労困憊した母が遣り場のない怒りを私にぶつける時、いつも見えるのだ。母の薄白くて細い首筋に、死に神の鎌が添えてあるのが。
2007.06.20
「優しくしないでほしいんです」そうされればされる程、私が相手にされていないことをはっきり感じてしまって、余計に悲しくなるのです。そこまで言いたいのをぐっと堪えて、私は目の前の先輩を見上げた。先輩には付き合っている人がいると、人づてに聞いていた。それでもいいと思った。それでも、私が片思いをしていることは罪にはならない、と。ひっそりこの思いを胸に秘めることは、私に与えられた権利である、と。告白をするつもりなんてなかった。さらさらなかった。ただ、彼が放課後に部活で頑張る姿を、フェンス越しに応援していられれば、それだけで良かった。私はそれ以上を求めるつもりなんてなかったのだ。なのに、神はそれでは満足してくれなかった。余程私を虐めるのが好きなのだろう。彼との間に接点を作ってくださったのだ。それは体育の授業の合間のことである。水分補給のために与えられた休憩時間に、私はその時間の存在意義を果たすべく、水飲み場に足を運んでいた。蛇口をひねって、飛び出してくる冷水を歓迎する。喜んで開けた口の中を、するりと水が通っていく。喉元から食道へと、順繰りに冷やされていくのが分かる。ひとしきり水を飲んだ。軽く手の甲で唇を拭うと、お腹の中でチャポンと軽快な音を立てて水がはねた。「……まだ暑い、かも」真夏への入り口に差し掛かっている最中であるとは言え、暑いものは暑い。お腹は水で膨れた気がしたので、飲む以外で涼を取る方法を考えて実行した。手の平で器を作ると、そっと水を救い上げる。ピシャリと頬を叩く。水が飛沫を上げてあちこちに飛んでいった。それでは足りぬと、もう一度。もう一度。まだまだ懲りずに、もう一度。も一つおまけに、もう一度。顔中に満遍なく水を染み込ませ、漸く頬の火照りも引いたかと思えてきた頃。私は蛇口をキュッと締めて、体操服のズボンのポケットに手を突っ込んだ。ハンカチを取り出して、顔上に残った水滴を拭こうとしたのだ。だが、ポケットは私に「ようこそ、ここには何もないよ!」と嬉しそうに応えた。「…あれ?」おかしいな、と思って、ポケットから手を抜いて、ズボンの上からポケットをポンポンと叩いてみる。そしてもう一回手を突っ込んでみる。「ポケットを叩いて増えるのは、中に入ってるビスケットだけだよ!」と、これまた喜色満面といった具合に、ポケットは突っ込んだ私の手に応えた。…まぁ、いいか。私の脳内妄想でポケットが嬉しそうに笑っているのが気に食わなかったが、一々取り合っていても仕方があるまい。どうせ私が勝手に作り出した幻影なのだから、放っておくのが一番の対処法だろう。ポケットが悔しそうに歯噛みしていた。それも気にせず、体操服の上着の裾を持ち上げて、それをタオル代わりに顔を拭くことにした。ヘソチラを気にする必要はなかった。何故なら、キャミソールを下にバッチリ着ていたから。さぁて、拭くか。徐に裾をたくし上げ始めた正にその時、「はい」と温かい声が背中からかかった。その声には聞き覚えがあった。でも、すぐには誰だか思い出せなかった。その「はい」という言葉が意味する所は何なのかが気になって、たくし上げかけていた体操服の裾から手を放して瞼を開ける。「どうぞ」眼前には、ゆるやかに唇を半円形にしてみせる意中の人が立っていた。彼の右手には、ふわふわもこもこの、鮮やかな白色に染め抜かれたタオルが収められている。私は、一瞬の内に石になった。ピキンという音と共に、全身を巡る血液が止まった。脈拍も減って、呼吸数もほとんど無くなった。心拍数も、恐らく最高に少ないだろう。ほんの少し、申し訳程度に開いた上唇と下唇の薄い間から、ヒューヒューと渇いた音が漏れた。まるで自分の口が、私と彼の偶然の邂逅を囃し立てているようだった。「えっと、あの」「遠慮しないで。僕は他にも沢山タオルを持っているから」ちょっと困った感じに彼の両眉が垂れ下がる。私が気にしているのはそういうことではなくて、何故彼が此処に居るのかだったんだけれども。いやいや、今はそんなことよりもすべきことがある。私は、それ以上彼の眉が垂れない内にその手からタオルを受け取った。ポフッという音を連れて、タオルが私の頬を滑っていく。額をくすぐり、瞼を愛撫し、鼻をねぶり、そして最後に唇にそっと触れた。それから、少し濡れた毛先から雫を搾り取った。うん、完璧だ。---------------------------------------------------------------------いつものように、無責任にも書きかけ掲載してみる罠…。そうして忘れていくんだろ、お前って薄情者だよな!!(怒)イメージとしては、青春学園中等部三年生、天才・不二周助を参考にしています。つばめ返し、ひぐま落とし、白鯨。うーん、不二先輩大好きです。例え、もう原作を読んでいなくても…。
2007.06.15
ヒカルの碁が未だに好きです…。 どうもー。ただいま昔のビデオを引っ張り出してビデオ鑑賞しております吾妻シロです。今はテニスの王子様の初期の頃「佐々部親子」が現れる回を観ています。目黒のゴールデンレトリバーこと「佐々部父」の金歯がウザったいです。 ヒカルの碁は今観ているのの30分後辺りに入っています。 さっき前回の話を観ていました。アキラ君が海王囲碁部に居る頃です。わー懐かしい!!部長に対して「部長!!不遜でも自惚れでもない。彼を倒せるのは僕しかいない!!」と胸に手を当てて高らかに宣言しているシーンがやってました。 …どうして現実世界の男性がオカッパだと気味悪いのに、漫画やアニメの世界でのオカッパはカッコイイんでしょう。 example:ハク(センチヒ)・塔矢アキラ(ヒカ碁)・他にもいたような気がしますが思い出せません(笑) 私はアキラ君を見ると、どうしようもなくキュンキュンしてしまいます。彼のあのクールな中に秘めた熱い闘志が好きです。(闘志って打ったら「投資」って出た。熱い投資って何さ…) ヒカルの謎めいた強さに興味を持って、彼を突き放しつつもその成長に目を見張らずにはいられない、ライバルを求める心。桑原本因坊が本編の中で言っていたような気がするのですが、「塔矢がヒカルを育てた」といっても過言ではないですよね。 ヒカルは、自力で試合に挑んだら塔矢に失望されたのが悔しくて、自分の力で彼に勝てるようになろうと必死になる。 塔矢は、中学囲碁部での戦いで彼の弱さにがっかりしながらも、初対面での彼の強さが忘れられず、記憶から消そうとしても消せずに彼の様子をこっそり確認しにいったり、わざと目の前で突き放しにいったりして。 漫画の世界でも「もし」なんて通用しないのはわかっていますが、もしこれがヒカルだけが出てくる囲碁漫画だとしたら、ヒカルは佐為の二番煎じで終わっていたような気がします。下手したら、一生を佐為の囲碁を現世に伝える役目(サポーター)としてしか活躍できなかったかもしれません。 そして、ヒカ碁ファンもそれほど増えなかったのではないでしょうか。 圧倒的ライバルを励みにして戦うヒカルの碁に対する姿勢は、素晴らしいものがあったように思います。 それ故に、打ち切り的ENDが悲しかったです。DEATH NOTEも打ち切りみたいなENDで悲しかったです。ぼやーっとした感じで。始まりは明瞭なのに終わりが霞がかっていて。頭でっかち尻すぼみというか…。あれが完璧な終わり方だったのだとしても、どうにも納得できなかったです。 えーと。何書いてるんでしょ私。訳わからんことばかり書いてごめんなさい。前にもヒカ碁PUSHしたことあったんですが、ついつい書きたくなりました。今後もちょっとずつ、オススメ漫画や小説をここで紹介していこうと思います。 あー、久々にヒカ碁読みたくなった!!2階から引っ張り出してきます。
身内が4年前に事故って以来、介護を必要とする体になっています。 その身内の世話のために、コムスンから来てくださる方が何人かいました。 その中でも一番心から好きだと思えたヘルパーさんが、今月をもってコムスンを辞めるのだそうです。 折口社長の件に関して、彼女達のようなパートのヘルパーさん達は行く末が不安な立場におかれてしまったのだそうです。 こんな事件がなければ、彼女もずっと仕事を続けていたかったといってくださったそうです。 心から「この人と波長が合うなぁ」と思える人だっただけに、すごく残念です。 私は勿論のこと、介護を受けてる身内も、ヘルパーさんの中では彼女に惹かれていたらしいので…本当に残念です。 優しい人だから、仕事を辞めることを決めるのに沢山悩んだのだと思います。 仕事でかかわった沢山の人と別れることを、ひどく申し訳なく思っていらっしゃいました。 私たち家族の今後を、心配してくださいました。 お姉さんがいたらこんな感じなんだろうなと思いながら、沢山甘えたりお世話になりました。 今後、コムスンが一体どんな方向へ向かっていくのか。 介護サービスを利用する家庭として、家族皆で気にしています。
2007.06.14
こんばんは。筆不精な吾妻シロですこんばんは。あ、2回こんばんはって言っちゃいました。失敗失敗。 今日は学校帰りに教習所に行って来ました。路上をちょっと走ってから、久々に所内で縦列駐車と切り替えです。 …切り替えとかですね。もうぶっちゃけやり方覚えてなくてですね。(「事前に教本読んで暗記しとくように」と、口をすっぱくしてまで前に時間に言われていたのに…;) まず、とりあえず前進してー。車が切り替えを始めなきゃいけない地点を目測してー。ギアをバックにしてー。 そして、この段階で本当はハンドルを右に切らなきゃいけなかったんです。 (切り替えスポットは、運転席の斜め右後ろにありました) でも、うっかりやり方忘れて左にハンドル切って、「あれ?このままだとそこはかとなく切り替え出来ない予感…」とか不穏なムードを背負ったまま、バック続行しようとしたら… 「何してるのぉ~;」と、教官からダメ出しくらいました(当然ですな) その後も、幅寄せの際は「どこまで右に寄る気なの~」とか、「この位置からじゃ前進しにくくて幅寄せも難しいでしょ」とか、沢山ツッコミを頂きました。 縦列駐車は、意外と上手く駐車スポットに入れられたんですよ。で、意気揚々とそこから出発しようとしたら、「こらこら、出発する前に何かすることあるでしょう」と言われ、何をするのか分からずにいたら、「『終わりました』と教官に報告するんだよ」と教えてもらいました。今までそんなことしないで次へ次へと繰り返し練習してたので、そんなルールがあるとは知りませんでした。なんでも、生徒が実際に「デキタ」つもりで出発するのか、それとも「やりなおそう」という気持ちで出発して同じことを繰り返すのか教官には分からないから、きちんと報告してほしいのだそうです。 いつもいつも、教習所行く度に、色んな教官から必ずダメ出しされます。時折それが妙にツボにハマって、運転中笑い続けてしまうこともあります…。ダメな生徒でゴメンナサイ。 いつも思うんですけど、私、教習所へ行っても成長してない気がします…。このまま免許取ったら、世間の人に迷惑かける予感がひしひしとするので、毎日たゆまず車に乗って慣れる必要があると見ました隊長!!(隊長って誰だ…) ちなみに、卒業検定を間近に控える吾妻は、模擬テストなるものを2回、90パーセント以上正解で合格せねばならないのです。 今日も3日目のチャレンジをしてきたのですが。(一日につき2回しか挑戦できないのです) 一回目⇒87パーセント 二回目⇒83パーセント …と、遠のいてるっっ!!!(爆) 帰宅後、親に「現役大学生がそんなんじゃ情けないよ!」といわれました…。明日も挑戦してきます。明後日も…。
2007.06.07
うーん、最近ついてない吾妻シロですこんばんは あれですよ、物を無くす、壊すのオンパレードです。疑惑の総合商社も真っ青ですねー(意味不明) 具体的には… ・高校の頃の英単語帳(紛失) ・めっちゃお気に入りだったネックレス、の一部(破損?/キレイに一部分を紛失しただけで、一応はネックレスとして使えるのですが…アクセントとなる部分が欠けたため、なんとも頼りないネックレスになりました) ・お気に入りの黒のジャケットのボタン(紛失/この前の月曜日に部活の皆で出かけたら、気づいたらボタン2つがすっからかん★) 昔から、物が無くなるのを異様に恐れる奴だったんです。 小学生の頃、ランドセルにお気に入りのキーホルダー付けてたら紛失してから、無くなるのが怖くなりました。意気地なしです。チキンです。さぁ私をチキンと呼んでください(泣) ちなみに高校時代、スポバには「無くなると嫌だから」ストラップとかの装飾は全くしなかったっす。いやー大層味気ないバッグでしたねー。 さらにちなむと、今大学へ行くのに使ってるバッグには、祖母から貰った悪魔みたいなキーホルダーが付いてます。魔よけ? …なんの話してるんでしょう戯言なので気にしないでください★ あ、すみません。今日紛失したものについて書いてなかったです。 今日紛失したのは、ズバリ定期券でした。往復1600円を払うのはめっちゃ痛手でした。 だって!!1600円ですよ!!面倒な消費税計算をはしょれば、大体漫画4冊買えますよ、このお金で!! 小説なら、大体3冊は買えます!! 今ハマッてるロッテリアのシェーキなら、暫く100円なので…16個買えます!! 私が大学へ行くのは月・水・木・金・土の週5日なので…3週間と1日、一日一個のシェーキが買えるのです… ぶっちゃけ、1600円の損失を最初に残念に思った時の理由は、「これでシェーキ3週間以上我慢するのは辛い」からでした。 …私の損得勘定って、一般の人とちょっとズレてるらしいです。 それでは。厄年のお払いしとけばよかったと最近悔やみつつある吾妻シロでした。皆さんはよいお年を過ごしてください。ホント。
2007.06.06
家々の間を縫うようにして太陽が沈んでいく。冬の闇はすぐに訪れる。野球部のマネージャーとして活動していると、夕方から夜へ変化していく時間が何となくわかるようになる。選手の様子を伺いながらふと空を見たり、スポーツドリンクを作りながら夜特有の肌寒さを感じたりもする。野球推薦という入学方法もある程のここ、青道高校は、当然ながら、野球の名門校だ。私がこの学校に入学した理由は、実はここがそういう場所だから、というちょっと不純な思いからだったりする。私は、夕闇のグラウンドに立つのが好きだ。夜風に揺れるネットが好きだ。熱い球児達が好きだ。数え出せばキリがない位に、私はこの学校が大好きだ。「きゅーけー」部長の掛け声。スポーツドリンクを抱えて選手の元に走る。「御幸先輩ー」遠くで汗を拭う先輩に声をかけて、手に持つカゴからスポーツドリンクを出す。「おー、いつもお疲れさん」語尾にハートマークが付いてるみたいに甘い声で、先輩はそのドリンクを受け取った。「そう言っている先輩のほうがお疲れでしょう?」言葉を送ればにやりと笑う美青年。「さぁな。俺よりもピッチャーのほうが疲れてるんじゃねーか?」流石は名キャッチャー。心の中で拍手を送りながら、私も思わずにやりと笑ってしまった。御幸一也。高校野球界では知らない者のない逸材として、その名を轟かせている。投手の持ち味を上手く引き出すその手腕はあまりにも見事で、そしてそれ故に、敵に回せば心底恐ろしい存在と恐れられている。当然、味方である青道の投手陣からはかなりのラブコールを受け取っているらしい。1年生の二人は、彼にボールを受け止めて欲しくて躍起になっているし、2年でも3年でもそれは変わらない。青道では球児からの人気のみで止まるかといえばそうでもなく、女子からもかなりの告白を受けているつわものだ。かくいう私はどうなのかというと…。彼への特別な感情など一切合切ない。確かに彼の捕球の姿は見ていて素晴らしいものではあるが、そこに生まれる感情は、せいぜい尊敬や憧憬の念くらいだ。同じクラスの友人などは、私の主張を意気軒昂して却下し続けているが、ともかく私は彼に胸の高鳴りを覚えたことなど毛頭ない。…顔がいいけど、性格が本当に悪いのだ、この先輩は。以前「くせ者揃いのキャッチャー達の相手をしなくちゃいけなくて大変ですね」と尋ねたら、いけしゃあしゃあと「そのくせ者達を思いのままに操れるからキャッチャーは面白いんだよ」と答えが返ってきたのだ!その嬉しそうな顔と言ったらもう。それ以来、私は彼のことを呼ぶ時は、心の中で「サド公爵」と呼んでいたりする。勿論、当の本人はご存知ないようだが。…というか、知られたら絶対にネチネチ虐められるから、何がなんでも秘密にしないといけないのだが。「時に後輩」こく、と軽く喉を鳴らしてスポーツドリンクを飲み、御幸先輩が声をかけてきた。先輩の持つボトルをじっと眺める。彼の手の中でボトルがたぷんと鳴った。「なんでしょう、先輩」眼鏡が鼻からずれ落ちそうになり、慌てて右手でフレームの縁を押し上げる。「なんで野球部のマネージャーになったんだ?」彼はいかにもたった今思いついたばかりみたいな物言いで(そして実際その通りなのだろう)、好奇心に満ちた目を寄越す。どうして、なったのか。それはまるで、「どうしてお前は生きているのか」という問いに似ている。どうして、と言われても、そう簡単に答えが出ないものだからだ。私は、夕闇のグラウンドに立つのが好きだ。夜風に揺れるネットが好きだ。熱い球児達が好きだ。数え出せばキリがない位に、私はこの学校が大好きだ。それだけが理由なのかと考えてみるけれど、それだけじゃないのだ。でも、うまくいえない。うまく言う必要はないとは思うが、それでも口元にさえ言葉が上ってこない。多分今頃、足の先から出て来た言葉達が胃の辺りで燻っているのだろう。胸の中がもやもやとしていて、このままだと吐く息が灰色に染まりそうな気がした。どうしてなろうとしたのか。言い得て妙だ。そもそも、球児が好きなだけなら、野球の名門校に入らなくても他の凡庸な高校でよかったじゃないか。それに、マネージャーにならなくても、球児を眺めることは許されるし、夕闇のグラウンドに立つのも個人の自由で、私にはそれをする権利がある。夜風に揺れるネットが好きなら、それに触れる権利もある。何故私は、この学校のマネージャーとしてこの地に立ち、彼らを見ているのだろう。なんでマネージャーにならなくてはいけなかったんだろう。もしかしたら、昔の思い出が原因かもしれない。小さい頃、私は親に甘えたりしない子供だった。母は私が幼い頃に、「依(より)はお兄ちゃんと違って、赤ちゃんの頃から静かで手間のかからないいい子だったのよ」としきりに語っていた。多分私は、幼心に「迷惑をかけてはいけない」と自分自身に義務を課したのだ。「母は私が兄より立派になるのを望んでいるのだ」と思って、そうなるように。そうなれば、兄のように大切にされるのかと期待して。でも、どれだけ迷惑をかけずにいても、やはり母は兄を好いた。私は「手のかからない子ね」と言われるだけの子供になった。家族の笑い声が、遠い。周囲の笑い声が、遠い。まるで自分が世界から見放されているような、何からもこの身を拒まれているような気がした。だから、だろうか。外から傍観することは簡単だけれど、それではその世界に受け入れてもらえた訳ではないから。中に入れない限り、いつまでたっても身の置き所が見つからないから。だから、好きな野球にも参加したかったんだろうか。女なんだし選手になろうだなんて大層なことを考えてはいないけれど、せめて彼らのサポートに回ることで、自分の好きな野球から、球児から、学校から、自分の存在を拒まれないように。そこに参加せずにいて、傍観者のような寂しさを感じないように。それなら、何故野球の名門校に来たかという理由も分かる気がする。彼らは甲子園にとても近い所に立っている。テレビで見る甲子園を、少しでも自分の介入していい場所にしたいから。私が関与出来ていることを感じたいから。「好きな野球に関わることで、その中に自分の居場所を作りたかったから、だと思います」歯切れ悪くそう返すと、御幸先輩は目を丸くした。まるで豆鉄砲を喰らった鳩みたいだ。「随分大層な理由だなぁ」ぽんぽんと私の頭を左手で叩いて、御幸先輩は“にっ”と笑った。キャッチャーの時の射抜くような視線を引っ込めた、犬みたいな可愛い笑顔だった。「もっとシンプルな理由かと思ってた」興味深げな視線を寄越した割に、大した理由ではないだろうと考えていたらしい。「……そうですか?」「そう。“高校球児萌え~!”とかさ」萌え~、の所をわざと裏声じみた高い声で言って、彼は「ヒヒ」と笑った。「萌え~、ですか」ちょっと呆れてそうオウム返しすると、「そう」と頷かれた。…確かに、高校球児に萌えている自分は認めざるを得ない。だけどそれだけが理由だと思われるのはちょっと心外だった。「確かに、萌えたりすることもありますけど」一旦そこで区切って、目の前でこっちを見下ろす先輩の瞳の中を覗き込むようにして、「ただ好きなんです、野球にひたむきな選手達と、この学校が。だから彼らのサポートがしたい。そうして関わることで、自分の居場所も作りたいなって、思って」先輩みたいに“にっ”と笑んだ。さっきの先輩そっくりに、犬のように笑えていたらいいなと思った。「なら、よかったな」「何がですか?」私にハハ、と快活に笑みをくれると、「もうとっくにお前の存在は、青道の野球部全員が認めてるからな!」と、サド公爵で性格が悪い筈の御幸先輩が、珍しく優しい言葉を言った。――……サド公爵の癖に。内心そう悪態をついたけれど、彼の言葉で心が楽になったのも事実だった。「先輩の存在は、日本全国津々浦々の人々が認めてますよね」感謝の言葉を口にしたかったけど、やっぱり柄にもないことは恥ずかしくて言えなかった。代わりに、口が勝手に中から言葉を引っ張り出した。優しい言葉に皮肉で返してしまう自分は可愛くないなあと思う。でも変えられないのだから仕方ない。「まぁな。その内世界にも注目されるから、見てろよ」ハッハッハ、と闊達に笑い、彼は私の左肩を右手でばーんと叩いた。多少加減をしてくれたのだろうが、スポーツ選手の力はそれにしたって強い。肩がビリビリして痛かったけど、一々目くじらを立てることもないと思って何も言わないでおいた。「はぁ、そうですか」「気の抜けた返事だな、もっと喜ぶところだろーここは」憮然とした顔で御幸先輩がむくれてみせた。「や、私は先輩に恋い焦がれている子達と違いますので、張り切って返事をする気になれませんでした」正直に伝えると、「ハッハッハ、生意気に言いやがって」と嬉しそうに返された。「いいかー、俺が世界に注目されるってことはだな、青道のマネージャー達の支えも世界に認められるかもしんないってことなんだぞ」それならお前も嬉しいんじゃねーの?と言いたげに、彼は口端を微かに持ち上げた。「ああ、それは嬉しいことですね」心を込めてそう言うと、御幸先輩は「可愛くない後輩だな、お前ホント」と、言葉とは裏腹に何故か今までで一番最高に素敵な微笑みを寄越したのだった。
2007.06.05
今日は高速道路へ行ってきました。80キロで走りました。全力疾走です。でも意外と慣れれば怖くない!!たとえ車が激しく横揺れしてても(爆) 蓮田のサービスエリアで食べた、きいちごソフトがおいしかったです。 教習を一緒にやった女の人と共に食べました。ちょこちょこ色んな話しました。あまり話上手じゃないので、会話途切れちゃったりもしましたヒィィ!!帰り道、必死こいて高速を降りていくところを、マイファザーが仕事中に目撃したらしいっす。家帰ったらマザーとブラザーが腹抱えて笑いやがりましたよガッデム。
どもども、管理人の吾妻だぉvv今日、私は人生初のバイトをしてきた!!(^ω^)ノシ河合塾の模試監督だぉ(・フ<)~☆会場設営であちこち手伝ったり、皆がテストやってるのを巡回してカンニングしないか確認したり、皆の受験届けの記入漏れや記入ミスを訂正したり、受験する教室がわからない人を案内したり、席の分からない人を導いたり、出席者をカウントしたり、ゴミ片付けたり、試験開始や終了のアナウンスしたり、解答用紙回収して枚数カウントしたり、試験中に受験者が落としたシャーペンを拾ったり、…結構充実した一日だったぉ(>▼<)vvvv一日をつつがなく、しかも楽しく終えられたのは、一緒に試験監督してくれた男の人のお蔭なんだぉ(vuv)←目を閉じてるの~ハートじゃないよ~(笑)すっごく優しくて、気が利いて、気があういい人でしたvvギザヤサシス!!ギガントステキス!(^w^)ノ私のすっごいおっちょこちょいっぷりに怒ったりせず、さり気なくフォローしてくれたり、仕事終わった後も色んなお話聞かせてくれましたvv私より四つ年上さんだということを試験終わってから知ったのですが、なんとなく物腰が大人っぽいから年齢知らなくてもかなり頼りにしちゃってました(^v^;)試験監督のお仕事沢山してらしたみたいで、色んなその時のエピソードや、それから、試験監督してて、受験生の忘れ物で特に記憶に残った物についてとか伺いました!!机の上に、明らかにプレゼントと思われる、包装紙でラッピングされた物体を見つけたことがあるそうです(笑)さすがにそれってどうなのって感じですよね(><)ちなみに今日私が担当教室で見つけた落し物はシャーペンの芯(芯入れに大量に入ってるやつ)二つです(-xー)うーん、また一緒にお仕事できたらいいなぁ(^U^)ギザシアワセス!!な試験監督バイトでした♪♪-------------------------------------------------------------------------…ちょっと、しょこたんをマネしてブログ書いてみたんですけど…自分イタイ奴だなぁと再確認。あの文体はしょこたんが書くから有効なんですね…。でもたまには文体を変えるのも新鮮でいいかも、とか思いました。------------------------------------------------------------------------明日は大学の部活仲間と池袋にいってきます。サイゼで食事してボーリング行って夕飯を共にしてきます。四次会のカラオケにめっちゃ行きたかったけど、それ行ったら終電逃してしまうので断念。ボーリングでなくカラオケ行きたいって主張したけどダメでした…。うーん。今まで高校時代、友人と外で会ったりしなかったので、大学に入ってこういう風に外に出ることになるのは色々大変です。お金が飛んでいく…。しかも親のお金っていうのが情けないです。火曜日には春日部にある私の母校となる某高校前でチラシ配布のバイトしてきます。河合塾系列のマナビスってのの宣伝です。ちったぁ私の懐からお金を出せるようになりたいです。その内、確定申告とかが身近な行事になりそうです。でも就職とかは全然考えられないっす。大学も、やっぱり就職とか考えると、他大学を受験しなおすべきだと思い始めました。…入学当初から悩んでるんですけどね☆就職だけじゃなく、大学の雰囲気が嫌いです…。オープンキャンパス行った頃から感じてたんですけど、自分の直感は間違ってないです。部活の友達は好きなんですけどね。うーむ。でも部活だけで大学四年我慢できるほど人間できてませんので…;とりあえず前期に大学通って、やっぱ肌に合わないと感じたら退学するなり休学するなり通うけど受験勉強に重点を置くなどして、大学レッツ再受験っす。英語とか忘れてるからもちっと独学で勉強しなくちゃ。
2007.05.27
5月になると、先輩のことを思い出します。私は、彼の生きた年齢を超えて生きています。彼の生きられなかった世界を生きています。それを感じながら、彼のことを思い出します。どんな思いで日々を過ごしたのでしょう。そういう風に考えながら、彼のことを思い出します。そうして、ふと思いました。「先輩の亡くなった日にちは覚えているのに、祖父の亡くなった日にちは覚えていないなぁ」と。祖父の方が血縁であるからより大切な人だと思うけれど、なんで先輩のことの方が忘れないんだろう。人の死という点では、どちらも等しい関係なのに。 なんでだろう。
2007.05.24
聞いてください皆さん。昔から、変な人に追いかけられるという『変人誘引体質』な私なのですが、今日は地元の図書館に行ったら、ご老人に追い掛け回されました。足の遅いじーさんが、こっちをじーーーーーーーーっと見て、さり気ない風を装って私を追い掛け回すんです。途中まで、ウキウキ気分で本をたち読んでたんですけど、途中で赤い服を着たじーさんが目に入って、「足が遅い人だなー、障害かなんかかなー」と思いながら、本に目を戻しました。いいところまで読んで、他の棚に移動したら、さっき目に入った赤い人がこちらをじっと見ていました。とくに気にならず、少し移動して、向かいの棚に移りました。本を探そうと思ったら、さっきのじーさんが側に来ました。「おいおい、じーさんは本を手にとってもいないのに、なんでこっちにくるんだよ」とか思いましたが、まぁあまり不自然には思わず、とりあえず本をたち読むのをやめ、かなり遠くに離れて本を探そうと思い…部屋の端まで行きました。「ここまでおっかけてこなけりゃ私を追いかけてるわけじゃねーだろー」と思って雑誌に目をやってると、こっちをじーっと見ながら、じーさんがのっそり歩いてくるんです。「おい、さすがにこれは追いかけられてるぞ」と気づいて、焦って、あちこち移動したんですけど、消えたと思って安心すると、棚の横から顔を出してこっちを見て、歩いてくる。図書館の人に言って追い出してもらおうかとも思いましたが、どうしたらいいのかわかんないので、とにかく理由をつけて図書館の人の側にいました。本の貸し出しカウンターで図書館の人と話してると…椅子に座って本も読まずに、こっちをじーっと見てくるんです。…。ほんとやんなります。昔っから変人誘引体質なのは自覚してるんですけど、私にこれ以上ストレス与えないでください。保健室の先生にやらしてもらった「精神状態チェック」で、私は重度のストレスを抱えてるって診断されたんですから。心療内科行けよって結果が出ましたから。でも、親は難癖つけて連れてってくれないので、放置気味です。やさぐれ気味です。自分で行こうかなーと思っても、やっぱ親の許可とらなきゃいけないんです。でもうやむやにされます。はぁ。タイトルの話に戻ります。楡井亜木子さんの本って、もう絶版になってるのが多いので、図書館で借りる外ありません。今日、楡井さんの本で図書館にあるものを出来るだけ借りてきました。今読んでるんですが…。楡井さんの本、二冊読んだだけなので断定は出来ないんですけど…。結構年上の人と、若い女の子の恋愛物が多そうな予感。でも、なんかその背徳的な部分がいいかもしんない、と思わせるような瑞々しい筆致っていうか…。比喩表現が独特で、でも全然嫌な感じじゃなくて、その状況を適切に表現してて、「へー」と納得して感心して、その世界に入り込みやすくなるっていうか。なんか、楡井さんの「はじまりの空」読んでから、恋愛小説がマイブームです。とにかく漁って読みたい感じです。オススメあったら教えてほしいです。今日借りてきた本は、傷春譜森の匂い夜が闇のうちにチューリップの誕生日 (この四作品、全て楡井亜木子さんの本です)夜の朝顔陽の子雨の子 (この二作品、全て豊島ミホさんの本です)summer valentine (唯川恵さん)プラナリア (山本文緒さん)無花果日誌 (若合春侑さん)の、計10冊です。先々週の日曜には、ゼミ課題作成のために宮沢賢治に関する本八冊、幼稚園教諭になるための本一冊、西尾維新の読んだことない本を一冊借りてきました。あ、仮免の勉強しなきゃ。今度の日曜にあります。
2007.05.08
どうも皆さんこんばんは。「恋を何年休んでますか」というドラマが以前やっていたような気がしますが(私は見たことはありませんが;)、皆さんは実際問題、恋を何年ほど休んでますか?ガンガン攻め腰で、一日たりとも休んだことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、私の場合は6年近く休んでおります。開店休業です。や、閉店休業と言った方が正しいかもしれません。そんな私ですが、GW中の5月2日に、読書欲が沸いたので数冊の小説を購入。ちびちび読みすすめておりました。帯の文章と、冒頭の柔らかい文章に惹かれて購入した、楡井亜木子さんの「はじまりの空」。これを読んで、忘れかけていた『恋をする』時のあの感情が心の中に蘇って参りました。や、もう堅苦しい言葉で言わないで楽に言いますと…ムネがドキドキするんです。ガラにもなく。年甲斐もなく。主人公ちゃんは17歳の女の子。学校で人気の、サッカー部の男子と付き合っている、平凡な感じの女の子。本編は、そんな女の子の姉が出来ちゃった結婚をする所からスタートしております。出来ちゃった結婚をするにも、相手の親族の顔を見ねばということで設けられた食事会で、主人公ちゃんはある男性に出会うのです。それは…34歳の童顔のおじさん。蓮という名前の彼は、どう見ても大学生辺りにしか見えないのですが、それなりに年相応の表情を見せることもあり、主人公ちゃんにとっては今まで会ったことのない新鮮なタイプの人だった訳です。これ以上話してはつまらないでしょうから止めておきますが…。でもでも、これだけははっきりいえます。本当に、素敵な恋愛小説だと思います。読んでいて思わず、恋愛小説を書きたくなったくらいの影響力がある本です眠さで上手く言えませんが、とにかくオススメの一冊です。いずれ詳しく説明できたらいいなぁ。
2007.05.05
私のついた嘘 人生で初めて吐いた嘘は何だっただろうか。今はもう思い出せないけれど、多分それ程悪意はない、可愛らしいものだったんじゃなかろうか。 十八年も生きてくれば、吐いた嘘は両手を使って数えても果てが見えない位にある。そしてそのツケが今の私を襲っている。常に自分の気持ちに嘘を吐き続けたがために、自分が今何をしたいのかが全く分からなくなっているのだ。 寂しいと思っても、それを我慢してきたし、欲しいと思うものがあっても、心の中で思うだけにした。そうして、沢山の気持ちを置き去りにして日常を過ごした結果、今の自分は本当は何を望んでいるのかが、全く分からなくなってしまったのだ。 イソップ童話に出てくる羊飼いの少年は、来もしない狼が来たと吹聴して村人達を惑わせた。幾度も幾度も彼は嘘を吐いたので、本当に狼が村を襲った時にその事実を伝えても誰にも信じてもらえず、結局は狼に食べられて死んだ。 今の自分は、まるで羊飼いの少年のように思えて仕方がない。自分で自分の正直な気持ちに蓋をして嘘ばかりを語り、嘘吐きと罵られても仕方ない行動を取った。そうして自分を追い詰めている。狼が引導を渡してくれればどんなにか有難いだろう。でもきっと、こんな自分に引導を渡すのは、きっと自分以外に有り得ない。 『山月記』の李徴のように、心の中できっと私は虎を育ててしまっている。表面ばかり取り繕って、内面はボロボロに壊れている。いつか私も彼のように、発狂して山の中で本物の虎になってしまう日が来るのかもしれない。そんな日が来ればいいと願う程、今の私には心の余裕が無くなってしまっている。 この文章も嘘で出来ていたら、どんなにか幸せだろうと思えた。
2007.04.25
皆さん、こんばんは。とりあえず生きてます管理人です。高校の頃の部活の後輩に、私の文章はそんな風に卑下しなくて大丈夫ですよって言われてとっても嬉しかった吾妻シロです。最近は、めっきりアウトドア派になりました…といいつつ、地元で服見たりバッグ見たり小説見たり漫画探したり程度ですが。でもアレですね、インドア派が無理に外出しようとすると、ストレス溜まりますね。大学通うのにも、心的疲労がすごくて。肉体的疲労もひどくて。電車の中とバスの中では爆睡してます。人と仲良くしたいのに、一人でいたいという究極の矛盾。多分、昔こっぴどく虐められたのが原因なのかもしれません。心の根っこで、自分を、そして他人を信じられてない。今まで、全幅の信頼を置いていたものに対しても、懐疑的になってきて。・・・。で、話はちょっとずれるようですが・・・大学の授業で宮沢賢治について調べることになったのですが。宮沢賢治についての本を読んでいて、今の自分にピタリとあてはまることがありまして。「おお、私と一緒だ」と嬉しくなったりしました。自分を卑下したりとか、懐疑的になったりとか。あってもいいのかな、と思いました。私は、好きなものへは同時に嫌いという気持ちを持ち合わせているみたいです。や、カレーとか食べ物系には、嫌いって気持ちを持ち合わせていないですけど。自分のことも、殺したい位嫌いなのに、生かしたい位に好きなんじゃないかって思ってしまったり。めんどくさいのが嫌いなのは、自分のことを甘やかしすぎたからなんじゃないかとか思ったり。だって、昔はめんどくさくてもきちんと部活参加してましたし、もっと世界に対してオープンな気持ちでしたしね。小学校、中学校、高校って順に、自分ではどうしようもできない欠点に対して色々なトラブルがあって。それだけじゃないでしょうが、そういうのが積もり積もって、人を信用できなくなったってこともあるのかもしれません。今まで、周囲の視線を気にしないよう努めてましたが、その反動でしょうか。今、めちゃめちゃ他人の視線に怯えてます。
2007.04.22
日記のテーマを発見したので、更新しにきましたー。その名も、「漫画TOP10」!!(どんぱふ)タイトルだけでは分かりにくいですが、何やら『現在連載中の漫画で好きなものを10個挙げる』らしいです。連載中…。その制限がなければ、『ベイビィ・LOVE』とか入れられるんですけどね。『ペンギン・ブラザーズ』とか。(椎名あゆみさんですね、どちらも)『ダイス』も好きですよ。あとは、途中までしか持ってないですけど『花ざかりの君たちへ』とか。(中条比紗也さんですね)花君が、中条さんの最高傑作だと思います。私的な意見ですけどね。それから、これまた途中までしか持ってないですけど、『シャーマンキング』とか。(武井宏之さんですね)年を取ってから読み直してみて、『シャーマンキング』がいかに教養深い本かが分かりました。武井さんは、相当沢山のことを学んで、それを漫画に生かしてらっしゃるなーという気持ちで一杯です。あとは、『ミルククラウン』シリーズですかね。(水都あくあさんですね)他の水都さん作品も全部持ってますが、やっぱり一番はミルクラですねー(^^)あと、かなり私を夢中にさせた『ヒカルの碁』や、かなり難解な漫画で私に嫌がらせしてきた『DEATH NOTE』ですかね。(小畑健さんが漫画のイラスト書いてらっしゃいますね。)デスノートは、正直Lが居たから読み続けていられました。Lさえいればそれだけでよかったんですけどねー。あーなたに会えたそーれだけでよかったー世界に光が満ーちーた!!!…あ、念のため書きますが、これ上記の作品、もう連載終わってますから、今回のランキングには参入できません。--------------------------------------------------------------------さて、改めて『連載中の作品』でランキングを書きましょうかね。1位★『ダイヤのA』2位★『スキップビート』3位★『僕と彼女の×××』4位★『君に届け』5位★『高校デビュー』6位★『おおきく振りかぶって』7位★『風光る』8位★『ペンギン革命』9位★『うわさの翠くん!』10位★『名探偵 夢水清志郎』詳しい解説は省きます;気になる方はネットで調べてみてね☆(卑怯だね/爽)ちなみに、私的オススメ作品は、『ダイヤのA』『スキップビート』『僕と彼女の×××』『君に届け』『高校デビュー』『おおきく振りかぶって』『風光る』『ペンギン革命』…ですかね。抜かした二作品も素敵ですけど、ちょっと選りすぐるとこれらの作品が私的オススメ作品です。最近ハマってるのが、『ダイヤのA』。野球留学を積極的に肯定している点が、従来の野球漫画と違っています。これ読んでると、今まで『野球留学とか卑怯だー』と思ってた自分が恥ずかしくなります。どんな形であれ、野球にひたむきである球児の姿勢は変わらないということに、気づけます。主人公の沢村栄純くんが、最近の漫画に多い『元から天才』っていうタイプじゃなくて、『ダイヤの原石を持つ少年』ってあたりにも、惹かれました。荒削りだけど、少しずつ頭角を現していく彼を見ていると、見ているこっちもワクワクします。彼が、聞き分けの良い少年じゃないってところも素敵なところです。わがままで、自分勝手な面もあって。そういう部分を、色んな人の影響で自然と直していくっていうのが、またいいんです。長続きして欲しい漫画です。さり気なく優しい、コワモテの監督も素敵です。滝沢クリス先輩と沢村くんの話が、かなり泣けました。『スキップビート』は、秀逸な作品だと思います。沢山の場所に伏線が仕込んであって。それらを一つ一つ解き明かして、新しい展開に進む感じが素敵です。ちょっとキャラクターの背丈が高すぎる気がしますが、そんなことを『些細なこと』と片せる位、魅力的なストーリー、キャラクターが沢山あるのです。特に、主人公のキョーコちゃんが、少女漫画としてはありえない位にダークな性格を併せ持っているところがツボです。自分の中の穢れた心が共鳴して、とても楽しく読めます。最近は恋愛漫画になりつつありますが、演技のシーンは、ハッとさせられる程に深い考え方が学べたり。演技の台詞を入れ替えたりとか、最初はその展開がよくわからなかったのですが、後で読み返して「なるほど!」と唸りました(遅)モノローグとかも、ちょっとだけでは読み解けないような難しい話が多くて、未だに謎が深い漫画です。作者さんがものすっごく綿密に話を練っていると思われるので、今後この沢山の謎が解決するのを祈っています。『僕と彼女の×××』は、かなりの萌え漫画です。男女入れ替え漫画です。男らしい女の子と、女らしい男の子が入れ替わって、女らしい女の子と男らしい男の子が出来上がったからさぁ大変!!詳しい話は、口でするより目で見た方が早いと思うので、是非本屋でご購入を★実写でDVD化(恐らく映画化したのかな?)したらしいです。実写より、漫画で読む方が萌えると思われますが…。『君に届け』は、かなりじぃんと胸にきます。主人公の黒沼爽子ちゃんを見ていると、まるで自分の娘か孫みたいに応援してあげたくなってしまいます。自分と似てる部分もあるから、彼女には私の分まで頑張ってほしいのです。風早くんと、くっついたらいいなぁ。まったり見守ってます。……………………まぁ、ざっとこんなもんで。
2007.03.31
こんにちは。先日は鬱なメルヘン醸し出してる日記書いちゃってごめんなさい。でも、あれはあれで残しておいても楽しいかもしれないとか思う私は病気でしょうか。そうですか(自己完結)最近、大学も決まったことだし、教習所に通い始めました。最初に通い始めた頃は、待合室で遠巻きに男の群れから、中学の頃の私のあだ名が呼ばれました。人の顔を認識することを意識的に避けている私は、そこに誰がいるのか確認出来ませんでしたが、あれは恐らく中学時代の男子でしょう。何を言ってるのかは何となく想像がつきました。畜生、とか思いながらも口答えできない自分が恨めしいです。さて。入所説明会の日に、運転適性検査なるものがありました。私の結果は…運転適性度が、五段階中「一」(最悪の評価です)安全運転度が、A~Eの五段階中「D」(ビリから二番目です)…よって、再検査しなくちゃならないことになりました。4月1日にやります。もしこれも「ダメ」という結果だったら、免許センターまで行ってもう一回適性検査をやるそうです。…1日の適性検査、かなり憂鬱です。窓口のおばさんには、「免許センターまで行く人は、滅多に居ないから平気よぉ」と言われましたが…。もしもそんな状況で私が免許センターに行く羽目になったら、あのおばさんはきっと引きつった微笑みをくれることでしょう(泣)えー、折角なので、適性検査の結果を載せようかと思います。★総合診断★あなたの性格はいろいろな特徴をもっていて、普通の人に比べて少し複雑です。そのときどきによって、さまざまな面をみせるやや多面な性格です。しかしどちらかといえば内気で冷静な面、神経質で繊細な面、そして冷たく利己的な面などがあって、決して単純な性格ではありません。運転時には、特に相手の立場でものを考えるということを忘れないでください。※※※※安全性についての注意点※※※健康状態に、やや問題があります。運転時には、気をつけてください。運転中に心のゆとりを失いやすい傾向があります。これはたいへん危険です。どんなときでもあせらずに、落ち着いて運転するよう心がけてください。非常に気分の変わりやすい性質です。興奮すると、大きな事故にもつながります。用心してください。せっかちで自分を抑えることが苦手です。些細なことで腹を立てていたら事故に繋がります。気をつけましょう。普通の人より、心配したり悩んだりすることが多い方です。クヨクヨ考えすぎて事故にならないようにしてください。注意力に多少問題があります。運転の際は、細かいところまで充分気を配るよう注意してください。とっさに判断し、決断しなければならないとき、ややそそっかしい傾向がみられます。環境の変化についていくのがやや遅いようです。天候の急変など交通環境が変った時には特に注意してください。あなたは非常にまじめな人か、多少背伸びをしたがる人のどちらかです。後者の場合は、その点を改めましょう。わがままな傾向があります。相手の立場を考え、言い分を聞くことを身につけましょう。運転には、充分に注意してください。++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++…元々この結果が出るのは予想済みだったので、再検査も仕方ないかなと思ってます。確かに私にはここに書いてあるような欠点が沢山あります。気づいていたことばかりかかれています。でも、今精神的に沈んでいたりするので、ここまでズバっとかかれて益々落ち込みました…。知ってるけどさ、そっとしといてくれてもいいじゃないですか…;みたいな気分です;皆さんは、運転適性検査で、どんな結果が出ましたか?私ほど酷い人って稀なんじゃないかとか思えて仕方ないです;;
進路が、決まりました。小説を学べる大学へ、進みます。沢山の友達に、意見を乞いました。皆、真摯に応えてくれました。悩みました。幼児教育の学べる大学と、小説を学べる大学で。今でも、どちらを選ぶのが正しかったのか、私には分かりません。友達は言いました。「どちらが正しいということはない。選んだ道が正しいのだ」と。どちらかで悩めるのは幸せなことだと、担任の先生や他の皆も言いました。分かっています。分かっているのです。ですが私は、未来を考えると怖くなる。どうしようもなく、怖いのです。私は、生きているということは、それだけで罪だと思うのです。生きていくということは、それだけでも辛いことだと思うのです。未来を考えることから逃げ続けた私には、未来を考えなければならない現在が、どうしようもなく恐ろしかったのです。高校在学中、私が文学部で書いていた小説は、醜く歪みきっていました。暗い、黒い。人の心の底辺を示すような小説ばかり書いていました。そんなものが書きたい訳じゃなかったのに。人の心に良い影響を与えられる、小説を書きたかったのに。尊敬する、宗田理さんみたいな。そういう、小説が。そうして、自己嫌悪に陥りました。今も、自己嫌悪の最中にいます。家庭のこととか、私が気に病む必要はないのに過敏に脅えていた過去が、小説には反映されていました。独りよがりな小説ばかり、書いていました。さびしかった。なにをしていても、どこにいても、だれといても、みたされなかった。そういう、こころのつめたいぶぶんが、しょうせつには、はんえいされていました。いまのわたしは、いままでいじょうにじぶんのおろかさにきづいて、なにもかもをみうしないそうになっています。じぶんがわからない。じぶんのすきなものがわからない。だって、それはだれかのすきなものを、わたしもすきになっただけなのです。ともだちのよんでいたほん、あにのよんでいたほん、ともだちのすきなかしゅ、・・・。かめれおんみたいに、いろんなひとのしゅみをじぶんのしゅみにしていただけなのです。わたしは、うそばかりついていて、ほんとうはいまじぶんがなにをしたいのか、わからないのです。小説を書く勉強をすることが、更に私を寂しくさせるかもしれません。幼児教育は、確かに私の憧れでした。嘘ではありません。つよい、憧れでした。わたしは、どちらにすすみたかったのでしょう。こんなに優柔不断になったのは、自分で自分を甘やかしたからです。色んなことに言い訳をして、決断を避け続けたから、いざという時にとっさの判断が出来ないのです。だって、未来を決めるのは恐ろしいことだと思っているんです。今も、尚。いずれ、このわけのわからない文章は消すと思います。とりあえず、報告にきました。大学が決まったことを。
2007.03.27
鑑定結果あなたの精神年齢は29歳ですあなたの精神年齢は、大人になりたてです。若々しさがあり、時には子供っぽくなることもありますが、世間一般に認められる程の常識を持ち合わせています。ただ、大人の年季というものは微塵も感じ取れません。実際の年齢との差11歳あなたは実際の年齢より大人びています。同年代の人よりしっかりした性格の持ち主で、周りの人々に頼られてお兄さん(お姉さん)役を努めてしまうこともあるでしょう。そこがあなたのよいところです。幼稚度84%あなたは1才児並みの幼稚さを持っています。甘えが過ぎるのではないでしょうか?大人度29%あなたからはほんのわずかですが、大人っぽい所があります。ご老人度58%あなたはもう老人です。あせることなく、はしゃぐことなく、いつものんびりなご老人です。あなたとお友達になれそうな人華原朋美ペーちゃん参考ホームページ★ 「りゅうりゅうのページ」さん約三年前の15歳頃にやった時、私の精神年齢は39歳でした。それから考えると、大分若返った気がします。でも、あの頃の自分の方がはるかに沢山のものを持っていたのに。不思議だなぁ。お祖父ちゃんも生きていたし、あの人も健在だった。あの頃の私は、なんでそんなに老成してたんだろ。今の私は、大人になりたくなくて仕方ないのになぁ。
2007.02.28
1月22日。それが私の誕生日です。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)でこの日付を調べてみたところ、ちょっと嬉しいことがあったのでここに書いてみようかと思います!!なんとなんと、あの素敵声優・朴路美さんと同じ誕生日なのですよ!!朴路美さんと言えば、『シャーマンキング』の道蓮、 『鋼の錬金術師』のエドワード・エルリックで有名です。なんか、稀代の有名声優さんと同じ誕生日って、こそばゆくって幸せです。それから、星野仙一さんとも同じ誕生日だと分かり、驚いています。あとあと、童話などを創作される、椋鳩十さんも一緒の日です!!あと、政治経済の教科書で見かけたことのある、フランシスコ・ベーコンさん(美味しそうな名前ですけど哲学者さんです;)も同じ日!!遡ると、645年の大化改新の翌年である646年に行われた、「改新之詔」の発布日、 1841年、平田篤胤が儒教を批判したり尊王思想を持っているため、幕府が著述を禁止し、江戸を退去せよとの命を出した日、 1905年、血の日曜日事件、 2002年、三島女子短大生焼殺事件の発生日…その他にも色々ありましたが、こんな感じの歴史を積み重ねた日でした。それからそれから、楽しくなってきたので「今日は何の日」というホームページで、この日について色々と調べてみました。・ジャズの日 (なんでも、JAZZの「JA」がJANUARY《1月》の先頭の言葉であり、更には「ZZ」が「22」に似ているからジャズの日になったとか。)・カレーの日 昔、1月22日の給食メニューをカレーにするようにと決め、全国の小中学校で一斉に行ったことからこの日になったとか。 でも、以前テレビで見たんですけど、最近は全国に情報が完全に行き届かないらしく、必ずこの日に行うという定義は揺らぎつつあるとか…。・飛行船の日大正5年、初の国産飛行船の「雄飛号」が、所沢から大阪で実験飛行を行ったことからそういう日になったそうな。・聖ビンセンチウスの祝日 特に理由は分からないですけど。でも、イギリスだと、1月22日が晴れると一年中良い天候に恵まれるとされているんですって!!ちょっと重要じゃないですか?・默阿彌忌歌舞伎作者の河竹默阿彌さんが明治26年1月22日に亡くなったことから。・左衛門忌恐らく、どなたか存じませんが、左衛門さんが亡くなった日であることから?そのほかにも、★毎月22日⇒夫婦の日★毎月第四土曜日⇒こどもの本の日★インテリアの日★1月1日~2月29日⇒「はたちの献血」キャンペーン★1月1日~3月31日⇒簡易保険・郵便年金新加入運動などがあります。この日の誕生花は…・苔(Moss)⇒花言葉は『母性愛』 ←てかぶっちゃけ、「花」とは違うんじゃ…(汗)・キャラウェイキャラウェイ《姫茴香》(Caraway)⇒迷わぬ愛 ・グズマニア(Guzmania)⇒貴方は完璧 ←…グズマニアって名前、ちょっと嫌です…(汗)あっ、こっちのサイト(「今日は何の日」)さんで調べたところ、大岡平八郎さん(陽明学者で、大坂町奉行与力だった人です★日本史に出てきますよ!!彼の活動に感銘を受けた生田万さんが「生田万の乱」を起こしてたりします)とも同じ誕生日です!!あと、中田英寿さんとも一緒です♪あ、安部公房さん(最近お亡くなりになられた女優さんが主演なさった『砂の女』の作者さんです)の亡くなられた日と同じです!こうして探ってみると、結構自分の誕生日と関連のあるものごとが沢山あって楽しいです!!皆さんも、自分の生まれた日を調べると、大好きな人と同じ日だったりするかもしれません!!そしたら、更にその人のことを好きになれるかもですよ!!しっちゃかめっちゃかで訳ワカメですが、まぁ…誕生日って、結構自分だけのモノみたいな気分がするけど、そうでもないんだなー、皆もいるんだなーって、連帯感が持てて幸せな気分でした☆
2007.02.25
いつもこのサイトに訪れてくださる方や、今日初めて訪れてくださった皆様、これから訪れる皆様、来てくださってどうもありがとうございます。私は、明後日に一次試験を控える身ですが、まぁ…ちょっと今、諸事情で勉強できないので、今後の予定についてチラリと書いておこうと思います。今後は、よく訪れる方が気に入ってくださった「現代版・源氏物語」をチロチロ書こうかなーと思ってます。あ、源氏物語だけでなく、面白い古典作品は多々ありますので、それをベースにした小説を書こうかなって考えています。本当に素敵な作品が一杯あって、読んでいて「あー現代でもよくあるわこーゆーの」とか思います。清少納言の「枕草子」なんかまさにソレです。「めったにないもの」とか、「きまずいもの」とか、本当に納得できます。現代語訳付きので読んでいる私に偉そうなことは言えませんが、ご一読をオススメいたします★それから、「クレヨ●しんちゃん」の、風間くんとシンノスケの小説を進めようかとも目論んでいます。ただ、「クレヨ●しんちゃん」のこの小説を書く際、いかんせん「BL」の雰囲気が大量に放出されていくと思われます。下手をしたら、そういう描写(苦手なんですけどね…)を入れる必要が生じるかもしれません。その際、ドラッグをすればそのアヤシイ部分を読めるような、読み手の裁量に委ねる書き方をすることをお許し下さい。ドラッグとは、マウスの左側をクリックしたままの状態でカーソルをがーーーーっと下まで持っていっちゃうことで、画面の色を反転させる行為のことを言う…はず(自信なし)です。文字色を白色に設定していると、ドラッグをすることでその文字が「不思議なインク」みたいに、浮き上がってくるということがあるのです。たまに色んな小説サイトさんの持っている裏サイトさんの紹介を、ドラッグすれば読めたりとかします。便利です。たまに、サイトさんを閉鎖なさった方が、次のサイトのURLを白色で書き残してくださる場合もあるので、ドラッグは重宝すべきです。ええと…まぁ、ですから、私もぶっちゃけエロい所は白色で隠すということです。
もし貴方が彼のことを好きなら、私は貴方に協力できません。何故なら、私も彼のことが好きなのです。でも私はこの勝負に負ける気はありませんよ。-----------------------------------------------------英訳If you like him, I cannot cooperate with you. Because I likes him, too.But, I do not intend to lose this game.
2007.02.23