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他国とりわけ交渉の相手国の産業経済や国益を守るために【国家】なる制度(システム)が存在するわけではないことはみんなわかっている。「では国家は何を守るのか」というと、「国家というシステムはその自己システムのみを守ることがメインの目的であって、そこに暮らす自国民が第一義的に目的化されるわけではない。」そう言っても何ら言い過ぎではないと私自身は思っているのだが、それでは高踏過ぎて(?)【哲学論争】みたいになってしまうから、ここではもっと平たく平凡に表現して、「国家は自国と自国民の国益を守るために存在するわけであり、場合によってはその目的を完遂するため互いに武力を用いることも頻繁にあり、これが嵩じれば【戦争】となる」といった程度の指摘だけに留めて措きたい。これがしつこいくらい繰り返された今回のオバマ来日報道に接して私が感じたことの一つである。 TPP交渉で最後まで日米対立の焦点となったのは、1.車の輸入に関して、安全基準の緩和を日本がするかどうか。2.豚肉の関税撤廃を日本がするかどうか。この2点である。オバマはこれを通さないと国内から大批判を受けるし、安倍は逆にこんなのを通したら自分が国内から大批判を受ける。これでは両者譲りようがない。 ここに【主要産業】という言葉があるが、言ってしまえばアメリカの車生産者も日本の豚肉生産農家も最早【主要産業】従事者などでは毛頭ないのだ。世界各国、どの国をとっても【主要】なのは資本でありマネーであって、実際日々【モノ】を作り【食物】を生産している産業は、得体の知れぬデータを駆使し、マネー自体をも投機の対象としている巨大なマーケットの足下にひれ伏しているのである。世界を支配しているのは日夜重層的に展開され続ける【マネーゲーム】の渦なのである。 ただ民主主義国家に於いてはセンキョで投票してくれるのは自分を支持してくれる個々の【人間】なので、オバマも安倍ポンもそこを頼みにしているわけである。 次にもう一つ私が感じたのはオバマのリップサービスである。オバマ来日早々、両首脳は赤坂だかどこだかの小さな三ツ星レストランたる寿司屋で非公式な会食をした。その夜のうちの会食を切望したのは日本側であるが、場所としてその小さな寿司店を希望したのはオバマだった。オバマはその寿司店入口で待ち構える安倍に対して【シンゾウ!】と開口一番大声で呼び掛けたが、咄嗟のアドリブ的な呼び掛けに反応出来なかった安倍ポンは【Japanese Smile】を満面に浮かべて【How are you?】と答えるに留まった。報道された範囲ではオバマが【シンゾウ!】と大声で呼び掛けたのはこれが最初で最後だった。「非公式会談なのだから、これくらいは米国民も笑って黙認してくれるに違いない♪」とそういう判断があったのだろう。これこそが、オバマが出来た精一杯のリップサービスだったのだろうと私は思う。 ところが場所が変わって、両国首脳による公式会談の席上では様相は一変し、オバマは安倍のことを冷やかに【内閣総理大臣】と呼んで押し通し、逆に(取り巻きの入れ知恵があったのか無かったのか)我らの安倍ポンは10回も【バラク】と呼んだのである。「TPPどころかTPOの判断も出来ない奴だ!」と世界中の笑いものになったのが安倍なのである。安倍もその取り巻きもただの田舎モンに過ぎなかった。オバマの暗黙の裡の【制止】も何するものかと、公式会見という場所柄も弁えないで【親密】さを押し売りしたのである。みっともない話だが、これを追及した報道は(私の見た範囲では)皆無だった。 オバマがもしこの公式の場でも安倍を【シンゾウ!】などと呼んでいたら、彼は国中から袋叩きに合っていただろう。 オバマの尖閣発言についてもメディアは(故意なのかアホなのか)【大収穫】一点張りの大合唱だったが、あれは冷静に聞けば中国への気遣いも充分滲ませた発言だったことがわかっていい筈だ。 オバマだって当然、尖閣の領有権を中国が主張していることぐらいは百も承知だ。彼が言いたかったのは【日韓】も【日中】も仲良くやってくれなきゃ困るよということだったのだ。日中の哨戒艇、巡視艇や航空機が頻繁に出入りしている海域は今や一触即発の危機に直面しており、いつ軍事衝突が起きても何の不思議もない状況だ。日中両国とも自分からは軍事攻撃しないと言ってはいるが、そんなものは緊急事態となれば一瞬のうちに反故とされてしまうに決まっている。だから【日米安保第5条】があるから、衝突があれば米軍は出動しますよ。そんなことが起きないよう努力して下さいねというのがオバマから中国首脳へのメッセージだったのである。中国側は「武力は使わないが領有権を放棄することはない」と即座に答えた。云わば【尖閣も台湾も同じだ】というのが米中両国の暗黙の合意事項だったのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014年04月25日 13時05分36秒
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