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テーマ:今日の一押し。(160)
カテゴリ:days
「大丈夫ですか?」という若者用語を、とりわけ20代前半の若い女性がよく使う。それも私たちの世代が使っていた用法とは大分懸け離れた使い方をするのである。
「若い女性」と言っても個人的には私は今はそういった知り合いはなく、私がこの言葉を面と向かって言われるのはスーパーやコンビニのレジまたは喫茶店のウェイトレスなどからである。なんというか、トラブルや揉め事という程ではないが、互いの感情にちょっとした齟齬・縺れが生じた場合、見解の相違・行き違いが生じた場合などに使用されるのである。 いつ頃から誰がこういう使い方をするようになったのか、30代40代50代の人も使うのか、私には皆目見当が付かない。 私の世代ではこの言葉を使うシチュエーションは大別して2つあり、一つは目の前で人が何かに躓いて転んだとか指先に刃物で怪我をしたときなどに「大丈夫ですか?」と声をかける。これが普通である。その場で状況を判断して、仮に救急車が必要と思われれば呼ぶ算段をする。 もう一つは仲間内で誰かが「凡ミス」いわゆる「チョンボ」をした場合、それを半分は咎め立てし、もう半分は揶揄する目的を持って「おい、(お前の頭は)大丈夫かよ?!」と言って少し笑う。こんな使われ方しか今は思いつかない。 私の経験から言えば、私がけっ躓いて転んだときなど、それを目撃した小学生女子たちやまた別の場所では女子高生らは「大丈夫ですか?」と心配して声をかけるどころか、「こけた人!」などと言って笑いこけるだけだった。 それで彼女たちは「関係」が少しでもぎくしゃくしたときこの言葉を使うのだが、これは一種「責任転嫁」をしているように私の耳には響く。こちらが何も咎め立てしてもいない内から暗黙裡に「自分には何の責任もありませんけど、あなたは大丈夫ですか?『問題無し(no problem)』と言ってくれますか?」とまるで自己弁護・自己主張を開始しているかの如くであって、言われた私の方には少なからぬ「違和感」があって、ときには「なんだ、その言い方は!こっちは大丈夫なんかじゃねえよ!」と言い返したくなるくらいの不快感(?)さえ生じるのだ。 「この措置でよろしいですか?」「あなたは了解しますか?」と、そう言いたくて「大丈夫ですか?」などと言う。彼女らが心配しているのは「関係の崩壊」であり、私のことなどではなく自分自身を心配しているのである。この言葉が頻繁に使用される背景には「危うい人間関係」というものがじっとりとしつこく広汎に存在していて、彼女らはそれを綱渡りするかのように日々やり過ごしているのではないかと、私は同情さえしてしまいそうだ。 別に大袈裟な揉め事が私との間に生じたわけでもないが、しかし本当は「大丈夫ですか?」ではなく「只今私の取りました態度・方法についてそちら様は何かご不満はおありでしょうか?ご不満がおありでしたらそこは曲げて『いや問題はないよ』『気にしないでいいよ』とおっしゃって戴けないでしょうか?」と言うべきところなのかも知れない。これは言ってみれば「婉曲な謝罪の言葉」であるが、「大丈夫ですか?」には『責任の曖昧化』と『自分が悪いのではない』とする言わずもがなの自己弁護があるように私は思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014年04月28日 13時04分03秒
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