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テーマ:今日の一押し。(160)
カテゴリ:days
ソイレントグリーン(1973年)という映画が昔あった。食糧難に喘ぐ第3次世界大戦後の人類が、人肉を主原料としてライン生産された『ソイレントグリーン』を食べるようになってしまうという物語だったが、私が心を動かされたのは人肉嗜好という事実ではなく、その原料を得るために最早再起出来る可能性のない老人たちを安楽死させてしまうというシステムだった。
彼らはベッドに寝かされ、ベートーヴェンの『田園』交響曲を聴きながら、壁にある巨大スクリーンに映し出される美しい自然風景を満喫して死に至るのである。 日本には死刑制度が厳然とある。イスラエルなど死刑制度がない国もある。アメリカの死刑は電気ショックを与えてのショック死を執行する。銃殺刑の国もあるが日本の場合は絞首刑である。 私は死刑制度全体を言う前に、この絞首刑は憲法が禁止する『残虐なる刑罰』に該当するのではないかとの疑念を持つ者である。目隠しをされ、首にはロープを付けられて13階段を登らされ、登り切ったところで、床を開かせるボタンを押すなどということは、幾ら凶悪な犯罪を犯してしまった犯罪者と言えどもあまりに残虐な方式ではないだろうか。『罪を憎んで人を憎まず』などでは毛頭ない。犯罪者は憎み通して、死の寸前まで苦しみを与え続けなければ気が済まないというシステムなのである。 私は若い頃は死刑反対論者だった。『人間全て死刑囚。地球は小さな監獄だ』という言葉があるように、少し長い目で見れば人間は皆死刑囚なのだから、放って置いても死ぬものを敢て殺す必要がどこにあるのか・・という論法だったように思うが、「どうせ死ぬんだから」という言い方は、裏返せば「放って置いてもいずれ皆死ぬんだから、そんな何人もの人たちを殺めたような凶悪な人間には早いとこあの世に逝って貰った方がいい」という論法の根拠にもなり得る議論なのである。そして今の私は後者の意見により近い感じがする。 だが「死刑制度の存在が凶悪な犯罪発生の抑止力になる」という考え方は、私にはどうしてもとれない。永山則夫のように「僕が連続殺人を冒したのは死刑制度があるからだ」と言い残して絞首台の露と消えた人間もいるのである。 以下はYahoo知恵袋からの引用です。 ↓ 永山則夫の死刑についてどう思いますか? kameatamadekaikintamaさん 2009/10/2423:32:56 永山則夫の死刑についてどう思いますか? 閲覧数: 9,928 回答数: 1 yellowpinkpigletさん 編集あり2009/10/2500:12:06 殺された人には悪いけど永山則夫は死なせたくなかったです。彼の努力を評価します。あれだけ才能があって努力した人は生きてて欲しかったです。 厳冬の網走番外地に幼い兄弟4人置き去りにされてしまった永山則夫の初年期。彼は少年期悪いことばかり起こってろくな考えと出会わず、いいものと出会えるようになったのは東京拘置所に入ってからです。東京拘置所に入ってやっと人間らしくなれたんです。 3歳の時父が逃亡。母は極貧に耐えかねて則夫が5歳の時4人の子供をつれて青森に帰ってしまった。残された4人の子供たちは酷寒の網走で餓死寸前で暮らさねばならなかった。長姉は精神病を患い、長兄はガールフレンドを妊娠させてしまい、青森の母が生まれた孫まで育ててたのです。ストーブもない家で暮らしたため永山則夫は火傷して顔にひどいやけど跡ができたため、就職を次々断られることになるのですが。 翌年見かねた隣人が福祉事務所に通報して子供たちは母のいる青森へ移送になったのです。身なりが悪くて学校でも苛めに遭い小学校も中学校もほとんど行ってません。それでも中学の時学校対抗駅伝にアンカーで走って優勝させてるのです。大変な体力の持ち主と思います。 彼は津軽の中学卒業してすぐ就職列車で上野駅に降り立った金の卵です。 「ああ上野駅」組の人たちの中でこの人ぐらい最悪コースをたどった人が何人いるか。 顔に火傷の痕があって言葉が乱暴で粗野なこと。本籍地が網走番外地ということ。これらが災いしてどこへ行っても雇用を断られたのです。 不運なことに当時網走番外地という歌が大ヒットしててこの唄は健さんにはいいけど永山則夫には祟りである。 1968年連続殺人して逮捕。1970年2月 護送バスで一緒になった中核派の学生 から本を借りては資本論だの心理学哲学の専門書を読みふけってるのです。私も資本論買ってきたけど頭痛がして一行も読めなかった。それを永山則夫は。マルクスだけじゃなく英語の本まで読んでるのです。 看守を捕まえては議論をふっかけるので看守も困りだした。そのうち筋金入りの学者先生に変身してゆき看守たちはいよいよびびりだした。 貧困ゆえに罪を犯してしまった自分に気づいたのです。 「資本主義が貧乏な奴をつくるから、俺はここにいるんだ!」 永山は法廷でそう叫んでウィリアム・ボンガーの「犯罪と経済状態」の一節を英語で暗唱しました。 「こんな時間があるなら俺はずっと勉強していたいんだ。トウコウで」 裁判長は東京工大と錯覚して「東工大ですか?」と聞いてきたんです。 永山 「僕がどこに入っているかあんたも知っているでしょう。東拘で勉強してるのよ」 彼の「無知の涙」を借りてきて読もうとしたが、難解すぎてちんぷんかんぷんでした。内容が深くてよく見える目を持ってて。 読めば読むほど自分がアホに思えてきました。 いえ、私が普通なんであって彼が普通でないのです。処刑される前彼はどれほどのレベルまで到達したのでしょう? 19で逮捕され48で処刑されてしまった。 彼は今ふるさとのオホーツク海の水底に眠ってます。 永山則夫 「無知の涙」より抜粋 「眠ったふりして考えた。この夜が最後のものなら 僕は何をするんだろう 人にすがって哭くだろか わめき狂い暴れるだろか 眠ったふりして考えた。 ここから出たら何処があると 煙草を吸い 豪奢物喰うだろか その次,女と寝るだろか 考えて考えて最後に願う 明日があるから今日は仕合せで暮らそうと 明日がなければ何も考えないようにと 眠ったふりして考えた 主張するのはやめようと 凡人になるのはやめようと」 ============ 以上引用終わり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2014年05月19日 18時41分39秒
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