快食・快眠・快便?
*まず快眠からですが、Cogito, ergo sumさんの11/12付の楽天日記から一部引用させていただきます。============睡眠の周期にレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)があることは、知っている人が多いと思います。レム睡眠は、日中に起こったさまざまな出来事を整理して必要なものを脳の深部に定着させ、ノンレム睡眠は不要な記憶を脳から消去している役割をもっています。睡眠不足になれば、当然これからの役割がきちんとなれさない状態になり、せっかく覚えたことを定着できなかったり、イヤな事を忘れることができなくストレスが溜まった状態になります。また、睡眠不足だと集中力も低下しているため、勉強・仕事の効率も悪くなりますよね。============*以上引用終わり。ちなみに辞書では: REM 睡眠 [rapid eye movement sleep]睡眠の一型。眠りは深いが脳波は覚醒時のような型を示す状態。四肢や体幹の筋緊張は消失しているが,速い眼球運動を伴い,夢をみていることが多い。逆説睡眠。パラ睡眠。賦活睡眠。三省堂提供「デイリー 新語辞典」より とまあ、こうなっております。 寝てるとき眼ン玉がグルグル回るという話ですね。 被験者にその現象が起きたら即叩き起こして、訊いてみると大抵はその瞬間夢を見ていたというのです。寝てるとき我々は頭ん中を整理しているわけですねえ。============*次に、快便ですが快便と言えば『勘定板』。落語です。 この『勘定板』という落語にも上方と江戸の2バージョンがあります。江戸版は以前旧館の日記にアップしましたので、今日は上方版を上程します。出典はここです。*昔の算盤には木枠に底板が付いていたということを知って置かないとこの噺はわかりません。長くなりますが、お時間のある方はどうぞ。============ その昔、福井県の漁師町で便所のことを「かんじょ」と言ぅ土地があったんやそぉでございます。「かんじょ」どぉいぅ字を書きますかと言ぃますと門がまえに木、閑な所と書きまして「閑所」でございます。 向こぉへ行きますとお便所といぅ建物自体が無かった。どこで用を足すんかいなぁ、浜辺を歩いとりますと海岸に何本か杭が打ってございまして、そこにロープが結わえ付けてある。でこれ、海の方へロープが続いてるわけでございます。 用を足しますときにはこの紐をたくし上げてまいりますと、一枚のこれぐらいの大きな板が出てまいりまして、この板のことを「かんじょ板」と申しまして、汚い話ではございますが、この上で用を足します。 あとは放って置きますと潮が満ちて来て波がこれをさろぉていくといぅ、巨大な水洗便所みたいなもん。便所することを閑所する、この板のことを閑所板と言ぅたもんですから大阪とは全く意味が違ぉてまいります。 この漁師町から出てまいりました親子連れ、大阪見物を済ませまして明くる朝宿屋で……●父っさまよぉ、わしゃ大阪見物来よったがみなの言ぅてることさっぱり分かりゃせんでのぉ■おぉ権助、お前(めぇ)だけじゃありゃせん、父っさまにしたかて分かるか。けどおめぇ、えれぇ顔色が悪いがどぉした?●「どぉした」て、父っさまよ、わしゃ郷(くに)出ていっぺんも閑所(かんじょ~)しとらんでのぉ■そりゃいけん、早よぉ閑所して来い●けど大阪、どこで閑所すりゃえぇだ? 閑所板どこにあります?■そんなこと父っさまに聞ぃたかて分からん。番頭さん呼んで聞ぃてみるか……■(パンパン)番頭さんよぉ(パンパン)番頭さんよぉ~◆は~い、二階の八番さん呼んだはるで……、いぃえぇな、わし今算盤忙しぃ、おい定吉、お前二階の八番代わりに行て来てくれるか▲行てまいりま……▲へぇ~い(トントントン)……、お客さまお呼びでございますか?■番頭さんよぉ、せがれが閑所したいとよぉ▲何でございます?■いや、せがれが閑所したいと▲もぉお帰りでございますか?■何言ぅだ、あと三日は泊まっていきますでのぉ▲それでございましたら、勘定の方はどなたさまに限らず、帰りしなまとめていっぺんで結構でございます。■何言ぅだ? うちの村さ日にいっぺん閑所せんと具合が悪いでのぉ▲日にいっぺん勘定せんと具合が悪い? なかなかお堅いこって■硬いか柔らかいか、やってみんと分からん。閑所板どこにあります?▲勘定板? へぇへぇ。 機転の利く定吉っとん、かんじょ~板と言われまして「算盤のこっちゃねんなぁ」昔の算盤といぃますのは裏に分厚い板が打ってございまして、これ表向きに出しゃ間違いは起こらんかった。トラブルっちゅうのは重なるもんで、わざわざ裏向けて……▲お客さま、勘定板■えれぇ小せぇ閑所板じゃなぁこれ、こんなのではみ出すとか、こぼれるいぅ心配無いか?▲手前ども長年宿屋やらしていただいてますが、この勘定板からはみ出すとかこぼれるよぉな桁外れな勘定、見たことも聞ぃたこともございませんのんで、すっくりこれに納まるよぉになってます。■納まるか……、どこでやりゃえぇだ?▲あいにく下の帳場がいっぱいでございまして、なんでしたらこのお部屋で……、あちらの床の間のあたりが日当たりがよろしゅございます。あちらでごゆっくりと■済みゃ~どぉすればえぇだ?▲(パンパン)手ぇ叩いていただきますと頂戴にあがります■ええッ、お前さんこれ取りに来るだか? 分かった、済みゃ~手ぇ叩くで……■おぉ権助、やれ●「やれ」って、父っさまよぉ、こんな小せぇ板で大丈夫か?■大丈夫じゃ言ぅとった「はみ出すとかこぼれるいぅ心配無い」言ぅとった。向こぉの床の間あたりが日当たりがえぇで、そこでやれ言ぅとった●したら父っさまよ、わしゃ辛抱でけんでボチボチやるわ。 算盤またいでキバリだしよった。汚い話で申し訳ございません。大きぃ方は何とかかたちどりますが、小さい方は前へさしてジャジャ~ジャ~ジャ~ジャ~。 拍子の悪い、この二階の八番の真ぁ下がこの宿屋の台所になってございまして、みなが車座んなって遅い朝食、味噌汁か何ぞすすってなはった。◆(ズ、ズズズゥ~)早いこと食べてしまいなはれ、いぃえぇな、いつ何時お客さんが来て箸持ったり置いたりせんならん(ズ、ズズズゥ~)……、冷たッ、なんやこれ? なんやポタポタと……。二階の八番やなホンマにもぉ、田舎もんが茶ぁこぼしよんねん、茶碗の中入ったがな(ズ、ズズズゥ~)……、く、臭っさぁ~ 一方二階の八番では、●父っさま、終わりよったぞ■おぉ終わりよったか……、またおめぇ、長げぇこと辛抱したとみえてぎょ~さんやりよってこれ、またあの番頭さん嘘ばっかり言ぃよるなぁ「納まる」言ぅとったけど、ほとんど外こぼれたぁるがな。番頭さん取りに来る言ぅとった「済みゃ~手ぇ叩いてくれ」言ぅとった、呼んでみるか……。(パンパン)番頭さんよぉ(パンパン)番頭さんよぉ。▲ヘぇ~い、二階の八番わたいの係になってまんのんで、何でも田舎の方きっちりしたはります。なんか日にいっぺん勘定せんと具合が悪い言ぅたはりましたんで、わたい行てまいります。へぇ~い(トントントン)▲お客さま頂戴にあがり……、ちょっとお客さん、それ何をしなはんねん?■お前さん、これ取りに来なさったんじゃろ?▲誰がそんなもん取りに来るかいな。天王寺さんの八卦見で見てもろたら「あんたこの先運が付く」言われたけど、運の意味が違いすぎるで…… 「何、ゴジャゴジャ言ぅとるんじゃ。いま行くでよ」ポ~ンと突きますといぅと定吉っとんの方へ算盤がゴロゴロゴロゴロッ!【さげ】■おぉ権助、見てみよれ、大阪は便利なところじゃ。閑所板、紐引っ張らんかてちゃ~んとコマが付いとるわ。============