カテゴリ:イギリス
休み明け初日は最悪の出だしとなった。
休業明けは、休業日の間に他の部署が引き受けてくれていた仕事を山盛り戻されるので、もともと心してかからなければいけない日、ではある。 しかし、この間の日記にも少し書いたが、よりによって世間全体が休業明けの日だというのに国鉄の突貫工事が急遽決まった。 通勤する列車の途中が一部断線になってバス接続になるという状況から、休みの日の最後は会社にほど近い駅のホテルに泊まって翌朝出勤することも考えていた。 しかし、わびし過ぎる・・・ホテル代が会社から出ても、お金の問題ではない。 いろいろ考えた結果、涙の決断でクマイチが朝、職場まで送ってくれることになった。 いや、もちろん彼も出勤日だから、彼は私を送ってから、反対方向に出勤しなければいけないのに、だ。 タクシーを手配しておいて会社まで、ということも考えたが、朝まだ真っ暗な時間に、そんな知らない人の車で(そりゃタクシーですから)出勤してもらいたくないとクマイチ。 結局、昨日の朝、クマイチと私は5時半に家を出発。 もちろん、真っ暗。 しかし、案外冷え込みが緩くて道も凍っていないし、さすがにこの時間だから道路もまったく混んでいない。 かなりスピードを出して走ってもらったが、やはり高速を飛ばしても55分かかる。 途中、国鉄手配の代替バスを追い越したが、お客らしい姿はぜんぜん見えず。(そんなバスにこの時間、乗ることを想像するとイヤだ) 会社に着いたら6時半。 クマイチは車でそれからまた1時間かけて家に帰り、出かける準備をして、今度はまったく反対方向のロンドンの中心に向けて電車通勤していくのであった。 ・・・ご苦労様でした・・・ありがとう。 やっぱりこの日は仕事が立て込み、普通だったら3時半に終わって帰るところ、結局その日のタスクが全部片付いたのは6時。(後半、能率が落ちた・・・) 国鉄の工事は終日なので、帰りも電車は途中駅まで。 バスが出ている途中駅で電車を降ろされる。 その途中駅は規模が大きくて、そこからバスの乗り場まではかなり距離があるが、あちこち行き交う人たちの流れに沿ってバス乗り場に向かう。 到着したバス停で、それらしい代替バスが見当たらないので、そこらにいる係員に「●●駅に行きたいんだけど・・・」というと「2つ方法があるね」と。 よく聞くと、実はとんでもないことになっていた。 最初、そうなると聞いていたような途中区間のバスのピストン運行はなぜかなくなっていて(というより路線が変更になっていて)私がいるその駅から 1)もう一度、会社の方向に電車で戻り(ええっ?)今いる駅も迂回するぜんぜん違う路線の列車に乗り直して、できるだけ家の最寄り駅に近い駅で降りるか(うそっ) 2)一旦ロンドンの中心の駅に直行するバスに乗り、そこからうちの最寄り駅に行く反対方向の電車に乗って戻るか・・・つまり家の付近を横目に見ながらロンドン市内に行っちゃって逆戻り というとんでもないオプション2つを提示された。 1)はとんでもない。 いつも通っている区間の駅付近すら土地勘がなくて困っているのに、ぜんぜん違う路線に乗って、家の最寄りに近そうな駅で降りて、そこから家に戻るなんてことは私にできるはずがないし、2)だってひどい。 なんで家の近所の高速をスルーしてロンドンまで行かないといけないのか・・・ 文句も苦情も言わず「はあ、そうですか、考えます」と言った。 こういう時の苦情は、言っても改善しないことがわかっている分、自分が疲れるだけで相手が動かない空砲に終わる。 途方に暮れながらクマイチに電話して状況を説明。 「まだ会社の近くだけど、家に帰って車とってから迎えに行こうか?」と言ってくれる。 でも、朝も迷惑かけちゃったんですけど・・・ それに、はっきり言えば、クマイチがロンドン市内から家に戻り、それから車で来てくれるとしても、どんなに早くても1時間、まあ普通に考えて1時間半程度はそこでじぃっと待たなければいけないのだ。 うーん・・・どうしよ。 こういう時、日本だったら知らないところでも時間の潰しようがあるが、イギリスの知らないところで私はうろうろしたくない。 毎日そこを通ってはいても、文字通り通り過ぎるだけで近辺のことはよく知らないのが途中駅だ。 でも、結局のところ、知らない場所でバタバタ乗り換えながら結果的に目算2時間ほどかけて家に帰るのか、じぃっとここで1時間半くらいクマイチを待って車で連れ帰ってもらうかのどちらかしかないのも事実。 電話口で、うーん、うーんと、便秘のオバハンよろしく悩んでいる最中に声がする。 「ちゃとさんっ、ちゃとさんっ?」 はぁ?こんなところで誰が呼ぶねんと、電話を持ったまま左横60度の声の方向を見ると、なんと前職での同僚、そして同郷のみかちゃんではないかっ! 「ごめん、ちょっと電話切る」と言ってクマイチとの電話を切り、みかちゃんに「きゃ~、どーしたん?」とあらためて向き直ると「ちゃとさんこそ」とみかちゃんも驚愕している。 みかちゃんは彼氏と一緒で、2人ともスーツケースを持っている。 彼氏の郷里でクリスマスを迎えて飛行機で戻ってきたら、この突貫工事でダイヤが変更になっていることを今、駅で知ったのだと言う。 みかちゃんの家も実はうちに程近い。 みかちゃんと彼氏に、この大迷惑な国鉄の工事期間に突入していて、私も帰宅途中で途方に暮れていたと手短かに話す。 彼氏が「タクシーにみんな一緒に乗って帰る?」と提案してくれたが、この状況だと、ミニキャブと言われる値段交渉のタクシーも売り手市場でいくらにふっかけられるかわからないし、だいいち車自体が見つからないかもしれず、この状況で空いている車のほうが怪しくさえある。 みかちゃんは渡英直後に3週間うちに居候していて当然クマイチのこともよく知っているし「実はね、今、電話でクマイチが『迎えにいこうか』って言ってくれてたんだけど、みかちゃんたちさえよかったら一緒に乗って帰る?その代わり彼自身がまだロンドンの中心にいるし、一度家に帰って車とってきてから来るから時間はそこそこかかるよ」と持ちかけた。 彼女たちも一緒に同乗するなら、彼女たちも、待ち時間はかかっても確実に家に帰れるし、待っている間に久々にお茶でも飲みながら話して待ち時間は潰せる。 「でも、もしも早く帰る用があるとかなら無理に引き止めないし、ミニキャブで帰れそうだったらそうしてくれてもいいよ。でも、もしもよかったらと思うだけで」 みかちゃん、彼氏と顔を見合わせ「ホントにいいんですか?」と。 話が決まったのでクマイチに電話。 実はみかちゃんに会って・・・と話すと、クマイチは「わかった。じゃ、家に戻ってから迎えに行くから」と言ってくれた。 座れるところに場所を移して、みかちゃんと彼氏と私の3人でお茶を飲んだ。 食事でも、という話も出たが、結局誰もお腹が空いたという人がなかったのでお茶だけ。 みかちゃんとは4月頃に一度タイ料理を食べに行ってからご無沙汰だったのだ。 家は比較的近所なのに近所では会わず、本当だったら私もみかちゃんも降り立つ駅でもないところで偶然会うなんて本当に驚きだ。 しばらくご無沙汰の近況を埋め合い、みかちゃんの彼氏とも少しずつ話す。 みかちゃんの彼氏の話はもう数年に亘って聞いていたのだが、彼は今、よその国で仕事をしていて、みかちゃんと彼は中距離恋愛だったから彼女が彼をパーティに連れてくるような機会もなかったから、会ったのは昨夜が初めて。 結局クマイチが来たのは1時間半ほど経ってから。 クマイチも、私がみかちゃんと偶然会ったことにびっくりしていたが、みかちゃんと彼氏が一緒だったからかえって安心したようだった。 車の中で、またひとしきり話しながらの帰り道は本当に速かった。 とにかく年が明けたらまた食事にでも行こうねと言いながら彼女の家で2人を降ろした後、家に着いたら9時過ぎ。 そうして休み明けの一日が過ぎた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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