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カテゴリ:小説
家に帰ってから気がついた。紀香先輩のラフ画、持って帰ってきちゃったんだ。
はああとタメ息がでる。厳格なじいさまが見たら卒倒ものの衣装だ。学校でも許される露出 を超えている気がする。わたし、お裁縫は苦手なんだよね…。そうだ。 わたしは携帯でさよりに連絡を入れた。 「どうしたのお?」「さより、お裁縫得意だったよね。」「得意ってほどじゃないけど」 「今度の衣装、一緒に作ってくれないかな」「いいよ。あたしのは演劇部の借りられそうだ し。その分手伝ってあげる」「さんきゅー、さよりあいしてるよー」「そんな愛いらん」 つれなく切られてしまったが、助かった。 わたしはラフ画をクリアファイルにはさんで、カバンにいれた。 宿題をして、明日の朝の行に備えて早く寝た。 朝早く5時には起きて、本堂を掃除し、じいさまと鐘をつき、今日は水行もやった。 最近周囲が騒がしいので、落ち着こうと敷地内のちょっとした滝に打たれてみた。 さっぱりしたところで、さっぱりした朝食。今日は玄米に漬物少々。こりゃ修行か? 昼まで持つかなと思いつつ、阿吽号で学校へ向かう。あ、力が足りなーい。 やっぱ、朝ご飯は大切ね。 学校前で見覚えのある3人の顔が、チラシを配っていた。 「お、もなか、おはよう」「きやすくよぶな。なんだ、これは」「お前に断られたからさ、 人員募集の広告だよ」 ハンドボール男女混合大会 出場者希望募る ほほう。「で、集まりそうなのか?」聞くだけ無駄かな? 「まだわからん」「もなか、興味あるのか」「ない」あんまり話しているとまた、シスター におとがめを喰らう。「じゃね」わたしはさっさと阿吽号と学校の敷地内に入って行った。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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