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上記アドレスに猫を主人公にした
ギャグ漫画を描いています。

絵がとても下手なのですが、それが味と誉めていただくことも
あるんだよ~

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


2008.05.20
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カテゴリ:カテゴリ未分類
佐野洋子著『シズコさん』を読んで考えたこと

ぼくは佐野さんの本は『百万回生きた猫』『私の猫たちを許してほしい』しか読んでいない。
 最近親しくなった友人に「わたしに何かオススメの本ありますか?」と問われたとき、ぼくはこう答えた。
「まだ読んでいなかったら絵本『百万回生きた猫』をいつかボクがプレゼントをするから読んでください」と。
 友人は待ちきれず、自分で『百万回生きた猫』を購入し、帰りの電車の中で読んだ。そして・・・「泣けてきた。泣いている自分が恥ずかしくて電車の中で涙をサングラスで隠したんだよ」と電話をしてきた。
 
 代わりに友人の誕生日にぼくはバーゲンセールで980円の生成りのキャミソールっぽいワンピースをプレゼントした。
先日会ったとき、彼女はぼくのプレゼントしたワンピースのうえに、これまたサティで500円で購入した黒と白の境界が淡く滲んだようなチェック柄のチュニックワンピースを重ね着して待ち合わせた喫茶店にあらわれた。
 合わせて1480円のコーディネートなのだが、ティンエージの女の子が着そうなファッションが彼女はとても似合っていた。

 そしてぼくに「よかったらこれ読んでみない?」とさしだしたのが佐野洋子さんの近刊『シズコさん』だった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
『シズコさん』は佐野さんがご自身の母のことを、老人ホーム入居から、亡くなるまでを書いた話です。

 所々に母が強く元気だったころの回想が挟まります。戦後大陸からの引揚げから3人の息子を亡くし、夫にも若くして先立たれ、残った4人の子供を自分の手で大学を卒業させた、波乱の『シズコさん』の人生を佐野さんは冷徹な作家的視線で描写していきます。

>母は誰にも「ごめんなさい」「ありがとう』を云えない人だった。(中略)あるいは「ありがとう」「ごめんなさい」という云うことが人生の負けのように思っていたのだろうか。自尊心が狂っていたのだろうが、「ごめんなさい」という変わりに母は「そんなことありませんよ」とまず叫ぶのだった。それは人の話を全く聞かないという事だった<・・・『シズコさん』より引用

 ぼくは親子関係というものは愛情のすれ違う切なさに充ちていると思います。心のすれ違いに鈍い人は、鈍感であることの中に仕合せな人生を歩めるのかも知れない。
 だがある種の鋭敏な感受性の持ち主は、鋭敏さ故の小さな不幸を抱え込むことになる。佐野さんが母(シズコさん)のことを、どうしても愛することができずに、ずっと自責の念に苛まれていた。
 それが老人ホームで惚けていく母を見て、母へのわだかまりが氷解するのである。
 それまで触れる事にも嫌悪を感じた母と同じベッドに入り、抱きしめる事が出来るようになったのだ。

>わたしは許された。何か人知を超えた大きな力によって許された。<・・・『シズコさん』より引用

 ぼくは最後に母子関係が氷解するところに救いがあると思います。やがてはぼくたちにも訪れる『老い』や『病い』などが、決して忌み嫌うことではなく、人生の長く短い断片の中では『老い』や『病い』でさえ、人を励まし救済できる局面なのだと本書は教えてくれたのです。
 これは老いや病や死を迎えつつある人への『希望の書』であるのだと思う。

 一方でこの本は佐野さんの世代が、戦後をどのようにしのいできたかの優れた生活の記録でもあるのだ。何を食べ、何を着て、どういう場所に住んだかという衣食住の戦後史としても貴重な記録なのだと思う。その記憶はぼくたちの世代にとっても、暖かい郷愁に溢れたものなのだ。

 文学の神様は、ちょっとした不幸を自らの裡に胚胎させた人のみに降臨するのかもしれない。佐野さんのようにわずか4歳にして母子関係の愛憎の裂け目に気づいてしまった人だけが・・・・至上の永遠の愛の形を求めて。おそらく何代にも読み継がれる名作絵本『百万回生きた猫』を描くことができたののだろう。

 この『シズコさん』さんは書店ではエッセーコーナーにあるらしいけど、ぼくはこの本を珠玉の私小説として読んだ。
母=シズコさんを93歳で看取った佐野さんは、すでに70歳に届かんという年齢に達しているだ。ぼくの少ない読書体験では、老人文学としては私小説作家・耕治人『そうかもしれない』と双璧のすぐれた老人文学だと思った。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 決して豊かではなかったが、穏やかで鈍感なぼくは亡くなった両親を無条件とは云わないまでも、普通の平凡で健康な愛情で思い起こすことができるのだ。

 だが、昨年30代の若さで自殺した敬愛する友人『かみ様』は母子関係で躓いていたのだ。『かみ様』と出会う5年前くらい前に恋人だった音大ピアノ科の女の子も母子関係で躓いていたのだ。
 そしてこの本を貸してくれた友人も父親からの宗教的な圧力に躓いていたのだ。
どうしてぼくはこうした心の裡にささやかな不幸の種を宿した人にのみ共鳴してしまうのか?
 その答えは自分では見つけることが出来ないのだろう・・・・





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Last updated  2008.05.20 05:40:15
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