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あなたの知性が試されるかもしれない雑文
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ミャーボーの食べ物エッセー及び論文4/信濃路の巻その2 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 前回、「ビールの2-3杯で酔ってしまっては男が廃る」と記しましたが・・・・そもそも私には『廃る』べき何かがあるのだろうか? 「私には・・・・・ 何もない・・・・」と気づき愕然としたのであります。 人は「備えあれば憂い無し」と言うが、私は備え(注15)がないため『憂いだらけの人生を歩んで来たのだ!』 そうなのだ。私には廃るものも何もないし、失う物も何もないのだ。あるのは「生存に対する漠然とした不安」(注16)だけなのだ。 だが『捨てる神があれば、その神様の捨てたものを拾って歩く主義』の私は、なんとか自分の不甲斐なさを救済しようと、書物などをあたっていたのである。 私の一番の愛読書はジョージ・ガモフの『不思議な国のアトキンス』とピーター・オッペンハイマーの『哲学・倫理学入門』(昭林書房)(注17)である。 現代物理学の源流の「ガモフなんか読んでおまえ分かるのか?」と問いつめられそうだが『不思議な国のアトキンス』は啓蒙書だから理数系苦手の私でも読めるのである。読めるけど読めるだけで、理解したわけではありません。 きょうはガモフではなくピーター・オッペンハオマーの『哲学・倫理学入門』の中に「哲学の真髄は自省する力である」という言葉を見つけて、私は「フムフム」と頷いたのである。ピーターの言葉に何か新しい啓示を受けたのかというと、ただ頷いただけなのである。頷いて哲学のふりをしただけなのです。私は哲学のライオンだからであります(注18) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 信濃路の話に戻ります。 僕は『牛タンとろろ定食』950円を注文した。ありがたいことにとろろに合う麦飯まで用意されているのである。丼に盛られた麦飯/牛タンのオイル焼き/野菜サラダ/ 一丁の1/6ほどの冷や奴/芝漬け/赤出しのみそ汁/が全陣容であります。 僕はこの全陣容を鳥瞰して(あまり意味は分からんのだが、難しい漢字の熟語を教わるとすぐ使いたがるところが私が『哲学のライオン』と多くの方に言われる,愚かさの表れなんですね)思ったことは、 1/とろろと麦飯で食事にする。2/牛タンオイル焼きや冷や奴他でビールを2杯頂くという凡庸なる人々が思いつくことのない、素晴らしいアイデアであった。(そうかな?) いまはスクラップ&スクラップされたのだが、当時は『のりたま』や『たらこふりかけ』があったのである。 もし僕が貧乏な若者で信濃路と僥倖なる邂逅(あまり意味は分からんのだが、難しい漢字の熟語を教わるとすぐ使いたがるところが私が『哲学のライオン』と多くの方に言われる,愚かさの表れなんですね)を遂げていたら、たらこふりかけとのりたまのwふりかけ丼で丼一杯、とろろで一杯、牛タンで一杯合計3杯のご飯を食べていたことは間違いありません。 いまはごはん3杯なんか食べないけど、でも貧乏な中年の僕は『のりたま』や『たらこふりかけ』が信濃路に復活することを激しく願っています。 僕が『牛タンとろろ定食』950円わっせわっせと摂取している、横のテーブルではイケテないカップルが向かいあって昼の特別定食『鰺フライ定食』(600円)『焼き肉定食』(600円)を摂取していた。 僕は勝ったと思ったのである。 「ふふふふふっ、貧しい民よ!僕の昼食予算は『牛タンとろろ定食』950円+生ビール大600円総計1550円という華麗でゴージャスな内容なのだ。と一人優越感に浸っていると・・・・・ そのカップルの男が彼女の手を握り「昭恵(注19)・・・・愛している・・・」と言ったのだ! 「おまえなあ!600円の焼き肉定食を食いながらそんな台詞吐くなよ!」と僕は舌打ちをしました。 また小太りの大根足の女が、手を握り返して 「晋ちゃん・・・あたしも・・・」なんて言ったのだ 「おまえらなあ、大衆食堂で鰺フライ定食(600円)を食いながら睦言を交わすんじゃねー!」と僕は切れそうになった。 だいたい晋ちゃんは晋ちゃんいう名前だけはとても合っていたのですが・・/。顔が異様にでかいのだ!僕も顔がでかいと言われます。容貌魁偉(注20)とも言われます。 そしてそれが賞賛の言葉でないことを知っています。でも 晋ちゃんの顔の大きさは別格でした。なんか天才漫画家山上龍彦描く『こまわりくん』みたいなシルエットなんです。いや晋ちゃんだから『クレヨンしんちゃん』かな?! 古来、日本男児たるもの、公衆の面前で自分の女に向かって「愛している!」なんて言わないものなのだ! 百歩譲っても、もし「愛している」なんて台詞を使用するなら、一生一度のおフランスへの新婚旅行で、枯葉散るミラボー橋の上でセーヌの流れを見つめながら(注21)だったら、まあ人間はムードに支配されやすい存在だから、しかたがないような気がしないでもない。かもしれないような気がする。 『 舞台の台詞というのは劇空間の場を引き裂くために書かれる』(ウジェーヌ・イヨネスコ)はその演劇論『ノートと反ノート』(注22)で述べているのである。 だからもしかしたらこのカップルの紡いだ言語空間は、イヨネスコの演劇論に合致していて、図らずも日常を切り裂く演劇的異空間を作り出したのかもしれない・・・・ いや、そんなことはないかな?と 僕の無意味な思索など知る由もなく・・・ このカップルはお手手てつないで「食後はプアーハウス(注23)でコーヒー飲もうね」 「うん!あそこのコーヒーじゃなければ駄目なんだよね」と言って信濃路を去って行ったのです。 さて、 僕も食後のコーシーなど飲もうと信濃路を後にした。ししししししかしですね。 お勘定を払うと、ポケットには213円しか残っていなかったのである。 一番安いドトールでコーシーを飲んでもね、残金が33円しか残らないので、僕は1リットル168円の果汁30%のグレープフルーツジュースを買い。アパートに帰って残っている焼酎のボトルを飲むことにしたのである。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ その後、数回に渡って中岡庸二氏が開設した『イエロー・モスリム』の拠点を探すべく、羽沢町周辺を歩いたが、見つけることは出来なかった。 朝日ジャーナルの一葉の写真とそっくりなモルタルアパートを発見した。写真の角度からイエローモスリムの看板の出ている部屋は、一階にあると想定されたのである。一階には二つの部屋があった。 都会のアパートでは表札を出す人など少ない。道路側の部屋をノックすると「どなたですか?」と若い女性の声がした。「ちょっとお伺いしたいことがありまして・・・・」 以後、返事が全くなかった。まあ南側の窓の干してある、『プーさんのバスタオル』から推測しても、この部屋の住人がマルコムXの行動と思想を広めようとした中岡氏と関係があるとは思えない。 奥の部屋のドアーをノックした。出てきたのは分厚い眼鏡にパジャマ、パジャマの上はどてら姿の無精髭の35歳くらいのおっちゃんだった。 当時は僕は20代だったので、35歳くらいの人はオッちゃんに見えたが、現在は35歳くらいの人が青年に見えるのである。なんか相対性理論と関連があるような気がしないでもないが・・・・その関連を説明することは 私の知的力量の及ぶところではない。 だがオッちゃんの下駄箱の上にはテレビ放映されたウルトラQの怪獣(注24)が飾られていた。『これは・・・間違いなく中岡氏ではない!』とは思ったが念のため聞いてみた。 「いつからこちらにお住まいですか?」 「ああ~たしか8ヶ月前だけど・・・・」 頭をポリポリ掻きむしりながらオッちゃんは面倒くさそうに答えたのであった。 以後、僕は中岡氏のことを調べることは放棄したが、江古田北口『信濃路』には20年に渡って通い続け、今日では山盛りのしゃぶしゃぶ定食(1050円)で酒を飲んで 「ごはんは家で食べるからおむすびにしてね!」と申し付けることができるくらいの常連となったのである。 本論が何のため書かれたかというと、執筆者ミャーボーはあくまで、思想の人。哲学の学徒。宗教または政治思想などに関わる人間でなく、 食欲、アルコール摂取方面、またはオツな年増、それだけでなく女子大生などまでも興味の対象にしている、下部構造の生きる人間であることを露にするため記述されたものなのです。(了) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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