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"THERE WILL BE BLOOD" 監督、脚本・・・ポール・トーマス・アンダーソン 原作・・・アプトン・シンクレア『石油!』 出演・・・ダニエル・デイ=ルイス ダニエル・プレインビュー ポール・ダノ ポール・サンデー/イーライ・サンデー ケヴィン・J・オコナー ヘンリー キアラン・ハインズ フレッチャー ディロン・フレイジャー H.W. バリー・デル・シャーマン コリーン・フォイ ポール・F・トンプキンス ・物語序盤・ 19世紀末、金鉱を掘り当てようとしていた男は、偶然地下から湧き出た黒い液体を発見する。当初、それは役に立たない廃棄物でしかなかったが、20世紀、石油の時代が到来し、孤独な山師ダニエル・プレインヴューは油井の掘削事業で財を成すようになる。 ある時、作業中の事故で仲間の一人が死に、ダニエルは彼の赤ん坊を拾い、我が子として育てる。 H.W.と呼ばれるその子は、常にダニエルの傍に置かれ、家族を重んじる田舎の人々の心を開かせる為の良い道具となった。 そんなある日、ダニエルの事務所に、ポールという若者が訪れ、リトル・ボストンにある故郷の牧場に石油が滲み出ているという情報を売りに来る。 親子で狩りに来たと称し、周辺の土地を調べたダニエルは、土地の所有者サンデー氏に、石油の事は伏せて、土地を買い取ろうと提案する。 しかしポールの双子の兄弟イーライは、石油の価格を上乗せしろと交渉し、五千ドルで売買契約を結ぶ事に。 町の人々を集会所に集め、得意の弁舌で儲け話を披露したダニエルは、周辺の土地の殆どを買占め、油井を掘り始める。 一方、"第三の啓司教会"というキリスト教系の新興宗教の祈祷師として活動を始めたイーライは、ダニエルに掘削作業開始前に、皆の前で自分を紹介し、祈りをさせてもらう口約束を取り付けるが、当日ダニエルはイーライを黙殺した。 暫く後、油井近くで作業を見物していたH.W.は、突如拭き出したガスの爆風で飛ばされ、頭を強打してしまう。 命に別条は無かったが、この事故でH.W.は聴覚を失ってしまうのだった。 始まってから15分以上、誰も喋らない事に、独特の空気を感じます。 金を掘る危険な作業も一人で行い、大怪我をしながら、砂金買取事務所まで戻ってくる姿が、誰も信じないダニエルの性格を強く印象付けます。 ダニエル・プレインビューとイーライ・サンデー。 全く異なる世界に生きる二人の、長い長い因縁の物語。 どちらがより判り易いかと言えば、ダニエルです。 典型的な拝金主義の俗物で、金以外のものは何も信じない男。 イーライの方は、祈祷師という職業で成功しようとする所が、一般人の視点からは同調しづらく、独特の風貌を持つポール・ダノが演じている事も相まって、個人的には、ダニエルよりも不気味な存在に感じられました。 蓋し、根本的に、二人は同じタイプの人間です。 自分の欲する物を手に入れる為に、良く回る舌先を駆使して、大衆を煙に巻いて信頼を勝ち取る。 ダニエルの欲する物は金、イーライの欲する物は人々から崇拝と栄誉。 ダニエルは一般的には、厭な人間と見られるかもしれませんが、私は彼に波長が合う部分が多かったですね。 腹違いの弟ヘンリー(実は偽物)に、自分の人間性について語るシーンがありましたが、それは私も同じ、と思ってしまいました。笑。 曰く、「自分は他人に価値を見出せない。」「人間の暗部が透けて見える。」そしてそんな冷たい孤独の人生の中で、「長い年月を掛けて、身の内に憎悪を積み重ねてきた。」 惨めな暮らしの中で、伸し上がろうという気概も自尊心も失くしたと言うヘンリーに、それでもお前には同じ血が流れていると笑うダニエル。 「周りが"人間"ばかりでは疲れる」と、彼を仕事のパートナーにする。 "人間"のフリをして、愛想笑いをするのは疲れるよな、実際。 アンタは私の鏡像かい、ダニエルさんよ?(~_~;) こんな年寄りにならないよう、目隠しして、少しは他人を愛そうかな、と自省してみたりして。 未払いの契約金を求めるイーライを殴打しつつ吐く、「神は愚か者を救わない!」って台詞も痛快でした。 宗教に救いを求める人達って、いつも食い物にされますよね。 「このお方なら、私を助けてくれる!」と盲信した相手に、全財産を吸い上げられ、時には殺されたりも…。 誰も信じられないのも寂しいものですが、安易に人を信じるのは非常に危険だよね…。 イーライの教会は多くの信徒を獲得して、彼は名誉も財産も得た成功者となりますが、結局1929年の世界恐慌で投資していた金を失います。 同類のくせに、否、同類だからこそ、表面的には友好的でも、決して譲らず相容れない二人。 腹の内にあるのは、打ち負かしたい、嘲笑してやりたい、そんな思いだけ。 二人の結末は唐突で残酷でした。 映画もそこでエンドなのですが。 「終わったよ。」って、その血塗れの死体、どうするんですか…? f(~_~;) DVDの特典映像に、当時の油田掘削作業が動画で収められていました。 この時代の記録が、映像として残っているのは、流石にアメリカですね。 映画でも非常に忠実に再現されている事が判りました。 映画中、穴の中にダイナマイトを入れて爆発させるのが、とても不思議に思えたのですが、爆発によって、地下の石油を噴出させるんですね。 ↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 25, 2008 12:27:45 PM
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