5.娘のオカメインコ
5.娘のオカメインコ 娘は小さい頃から犬よりも鳥の方が好きだった。 実家に行くと、普段の「鳥と遊べない」鬱憤をとにかく晴らす。とはいえ最低限の常識? はあるのか、「アヒル警備隊」や名古屋コーチンなど、気が荒くクチバシの尖った危険な鳥に近寄ることはせず、大概は徹底的に弱いウコッケイの小屋を襲撃するだけなのだけれど。(c) zzr|写真素材 PIXTA 「あなたたちー。いうことを聞きなさいよー」 うぎゃー人間が入ってきた! 全然知らんやつだ! どう見ても乱暴だぞ! これが庭先での出来事であれば、「強い鳥たちが集まってきて娘を攻撃」するのだが、小屋の中となるとそうはいかない。実家ではウコッケイ用に専用大型の小屋を用意しており、2坪ほどのその空間は人間が暴れてもそう簡単に壊れないよう作られている。(c) むく|写真素材 PIXTA オロオロと。「誰か助けてクレー」と逃げ惑う鳥たち。思いがけず卵を見つけて喜ぶ娘。「みきちゃん、鳥小屋に入っちゃ駄目よー」と遠くから怒鳴るだけで実際に小屋に来ない母。どうもうまく関係が構築されていない。 わたしが傍にいない時は小屋に近づいてはいけないよ。と何度も教えるが、娘は聞く気は全くなく、更についうっかり入り口を開けっ放しで、小屋から鳥が逃走した場合はわたしの責任となり、被害は広がった。「世界の平和のために鳥たちにチョッカイを出すのはやめてくれー」(c) ヨッチャン|写真素材 PIXTA とにかく、鳥さんが大好き。 山下公園に行けば、途中の横浜公園の鳩に餌を上げるのが一番楽しく、上野の動物園に行けばパンダを見るのではなく、入り口の鳩たちを追いかけるのが最高だという。そして鎌倉に初詣に行けば、参詣するよりも鶴岡八幡宮の「はとまめ」を買いしめることに生きがいを感じている。いけない。このままではどう考えてもいけない。鳥世界の平和の為に娘専用のコンパニオンバードがどうしても必要だ。 ということ? ではなかったかもしれないが、数年前自宅にはオカメインコがやってきた。わたしへの相談などは一切なし。気がつけば玄関に小屋が置かれ、肉団子のような雛に刺し餌をしていた。「オカメインコなんて高いんだから。もっと安くて強いセキセイか何かにすればよかったのに。どうせすぐ殺すんだから」(c) yuzupon|写真素材 PIXTA わたしとしては長年の経験に満ちた発言であるつもりなのだが、娘にしてみれば「死ぬことが前提なんて何と残酷な」「ママの神経はどこかおかしい」となるらしい。実際殺してから泣きをみるな……。という前に 一匹目 飢死 餌をあげ忘れた 数日で死亡 二匹目 風邪 「ママ病院に連れて行って」とそのまま放置、いわれるままに近所の犬の病院に連れて行きはしたが手遅れ。小鳥も見るよと看板に書いてあったのは大きな誤報。あとで泣いても生き返ることはなし。 三匹目 現存。但し風邪で一ヶ月近い入院経験あり。落鳥の一歩手前まで行った「ママは大分鳥を殺してきているからね。だからもう殺さないと思うよ。面倒の見方を知っているからね。鳥を殺してしまうのは仕方ないと思う。でもそこで何か勉強していかないと」 ようやく、三匹目あたりで、かなり本気が入り、人に頼るのではなく自分が動かなくてはまた死ぬ。と理解した。いや特に家に来た初期の時点は環境変更によるストレスが大きいので、面倒を見なければ結構死ぬ。更にいくと日本の気候に順応しきっているセキセイと違いオカメインコは現在台湾からの輸入が増えている。気候の違いが生存期間に大きく影響していることは否定できないのだが、「一匹目がピヨで二匹目がピピヨ、三匹目はピヨヨにするんだ!」 そうした細かいことに興味はないらしい。 名前のセンスはないけれど、こりずに現在オカメインコの旦那さんを募集中らしい。メスよりオスの方が弱い。いやいや先からいる鳥の方が強いので、鳥の結婚はそう簡単にはできないよと教えたかったが、実際にやってみて失敗してからの方が理解しやすいだろうと黙っていることにした。(c) nao-p|写真素材 PIXTA 妹もセキセイインコの繁殖に良く挑戦をしては、雄を前に住んでいる雌に丸ハゲの半殺しにされ、大騒ぎしていた。雄の毛が生え揃うとまた一緒の小屋に入れるのだが、結局同じことの繰り返し。インコ系のペアリングは相性があるので難しい。特に自分は人間と同じだと思っているインコなど同属の彼氏をそう簡単に受け入れようハズがない。「ま、生死の問題になってから助けてあげることにしますか」 わたしも過去たくさんの鳥と遊んだ。その種類は違えども、娘も楽しんでその日々を思い出に残したら良いと思う。おそらくはそれが豊かな人格形成の元になるであろうし、次に生まれてくる子供の楽しみのきっかけになるのではと思う。【本日の牧場】 バナナです。 朝バナナダイエットの著者の方が「バナナ農園」を運営して喜んでいましたが なんだか自分の好きな作物だけ育てるのも楽しいかなあと 思ったりもしました ちょっと小ぶりのバナナですね