|
カテゴリ:ま行-作家
出版社: 中央公論新社 (2005/11) それぞれの宿泊施設で起こる、それぞれの物語。 さすがは元ホテルマンの森村誠一さんだけあって、なかなか内容の濃い短編集でした。 「社員廃棄院」は、リストラ要員を集めて違う事業を展開するのだが、それが当ってしまう話。 うれしい誤算。 なんともいい話でしたね。 ●単位の情熱 地上52階、保有客室2千の大ホテル「渋谷プラザホテル」。 社長の孫娘が、自宅の改装でうるさい、とのことで、ホテルの一室に住んでいる。 その部屋に置いてあった高価なダイヤの指輪がなくなったと孫娘が騒ぎ出した。 部屋の掃除をした若いメイドに疑いが掛かる。 その事件から1週間後、そのメイドがアパートのベッドの上で薬物を服用し死亡した。 薬指が切り取られていた為に他殺の線で捜査が開始された。 ●社員廃棄院 「20年以上勤務している者で、すぐに補充のきく従業員のリストを作って欲しい。支配人クラスでも構わん」と専務に言い渡された人事課長の高尾。 老舗だけに古い従業員が多くて人件費が相当経営状態を圧迫しているのだ。 高尾の妻の発言により妙案が浮かんだ。箱根の社員寮を養老院にして、リストラ要員たちに働かせるというのはどうかと・・・。 ●殺人花壇 託児所完備の地上6階建ホテルに子供を預けての不倫。 突然の火災により、女が預けていた子供が犠牲になってしまう。 相手の男は大学教授であり、身の安全、世間体を考え逃げ出してしまう。 唯一顔を覚えているかもしれないフロントの男も焼死した。 月日が経ち、死んだはずのフロントの男を別の場所で発見し、事件は思わぬ発展へと・・・。 ●密閉島 冤罪を証明する唯一の女性が、離島にある総合レジャーランド施設で賑わうホテルの一室で殺されてしまった。 証券マンの須藤は、顧客に対して大きな穴を空けたことを恨まれたことで、殺人を犯した容疑者となってしまっていた。 冤罪を晴らす為、なんとしてもこの犯人を見つけなければならない。 猶予は死体が発見されるであろう朝7時までだった・・・。 ●魔性ホテル 居室総数2千を装備したマンモスホテル『ホテル大東京』のフロントマンをしている村瀬。 そこへ村瀬の昔の旧友が頻繁に泊まりに来るようになった。あまり好きではない男だった。 やがて自分が思いを寄せていた女性に手を出されて殺意が芽生えた。 注文の入ったビールに睡眠薬を混ぜ眠らせ、眠ったまま車まで運んで近くの沼に落としたのだが、翌日あがった死体の首には絞められた痕が残っていた・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ま行-作家] カテゴリの最新記事
|
|