ニューシネマパラダイス
1989年(伊・仏)80年代のマイフェイバリットな洋画を中心に振り返ってみました。70年代の遺産で輝きを放った80年代前半のハリウッドは活況を呈しますが、後半に入ると、少なくとも私にとってはきわめて停滞期に入りました。そしてほんの少しアジア、日本映画が息を吹き返しています。80年代のアメリカは、急速に市場原理を重視する自由貿易主義に回帰し、ハリウッド出身の俳優を大統領に押しあげます。この10年間に自国の製造産業を概ね興廃させた変わりにグローバル化を進めた国際資本は、89年の冷戦崩壊でそれを加速させ金融と投資による新たな覇権を確立していきます。そんな時期にイタリア映画のこの作品は、再び映画そして人生の歓びを、ひととき与えてくれました。噛みしめるほどに味わいの深いこの作品で80年代は締め括ります。次回からは90年代に進みたいと思います。