戦場のピアニスト
2002年(ポーランド・仏・英・独・和蘭)監督はロマン・ポランスキー。実話にもとづくワルシャワ「ゲットー」から奇跡の生還の物語。主人公シュピルマンがひたすら戦禍から逃亡する姿は「哀れ」である。彼は戦争に加担もせず反対もせず、ひたすら好きなピアノを再び奏でることを夢見て逃げる回る。彼は周囲の人々の善意に助けられるが、周囲の人を救うこともできない。ただ、ひたすら戦争を生き抜こうとする姿が冷厳に描かれている。同時に人間の本能として、彼のそんな生き様を否定することできないことに気づくと、一気に見るものを重い気持ちに突き落とす。ドイツ将校の前で弾いた「ショパン」と缶詰めを大事そうに抱えるシーンの意味は未だ深く理解できないが、心を大きく揺さぶるものがあった。