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テーマ:映画館で観た映画(8561)
カテゴリ:映画
「本当に愛しているなら 私を殺して」
以前はベストセラーを出したこともあるものの、最近は作品を発表することもなく、泣かず飛ばずの作家菊治と、彼の作品のファンである主婦冬香。 惹かれあう二人は無理を重ねて逢瀬を繰り返し、菊治は冬香との恋愛に刺激を受け、久しぶりの新作「虚無と情熱」を書き始める。 そして夏の夜、菊治のマンションで二人は花火見物をし、明け方、情事の果てに冬香の願いを聞き入れ、彼女を絞殺してしまう… 菊治は自首し、取調べが始まり、やがて殺意は故意か過失かを争う裁判が始まった… マスコミの話題では過激なセックスシーンばかりが強調されますが、私が観た感想としては必要なシーンであり、とくにいやらしいとは思いませんでした。 むしろ繰り返される情事に、お互いにのめり込んでいく二人の気持ちが伝わってきて、切なかった。 歳を重ねて大人になって、家族や肩書き、しがらみに縛られ自由がないからこそ、ここまでのめり込めたのかも知れないなぁと感じました。どうしようもない状況(だと本人たちは思い込んでいる)だからこそ。だって、二人が夫婦であれば、死ぬ必要なんてないもの。 この映画でこれほど涙が出ると思わなかった。同性として、冬香に焦点を合わせてみてしまうので、いろんなところでグッときてしまい、泣いてしまいました。 主婦である私としては、こんな内容の映画を「素晴らしいわ」というのはどうなのかしら…と思っちゃうけど(笑)とても良い映画でした。 自分が死ぬことで、相手を自分だけのものにする…という、究極的な束縛の仕方には鳥肌がたちました。そういう形もあるのだな、と。 そしてそれを受け入れてもらえる関係というか、恋愛はちょっと羨ましくもありました。 さて、内容もなのですが、映像がとても美しかったことも上げておきたいと思います。京都のシーンや花火のシーン、空の撮りかたとか、とても美しく、背景もまた映画を支える大事な要素であると思いました。 ラストの平井健の「哀歌」も映画の内容にそっているというか、冬香の気持ちが伝わってくるような歌詞で、泣けて泣けて…映画が終わってもしばらく席を立つことが出来ませんでした。 あまりに泣いたので、気が引けてしまい、トイレで一息ついてから映画館を後にしました。 それにしても豪華な出演陣! 主役の豊川悦司・寺島しのぶの二人の絡みはとても美しかった。寺島しのぶは演技もすごくて、恋に落ちた戸惑い、愛されていることの喜びが、表情や仕草にあらわれていてそれはそれは綺麗でした。 刑事役には私の大好きな佐藤浩市さん。検察部長が佐々木内蔵之介。バーのママに余貴美子、二人を引き合わせた元編集者が浅田美代子。冬香の夫に仲村トオル、母親が冨司純子。菊治の弁護人が陣内孝則、雑誌社の重役が津川雅彦。菊治の妻が高島礼子、娘が貫地谷しほり。 これだけでも見応えありましたよ。 しかーし、菊治を追い込む女性弁護士が長谷川京子なのですが、浮いてたなぁ。 演技が下手な上に、衣装がエロすぎ。観ていて痛かった… それと気になったのが、一言も台詞はなかったけど長谷川京子の横に座っていた阿藤快。 なんでその役を受けたの??? とにかくマスコミの評価が過激な情事のシーンに集中しているのが残念です。 エロ映画ではなく、せつない純愛映画です。 できれば一人で観て欲しいかな。その方がどっぷり浸れると思うし。 それにしても私の後ろの席のオバチャン三人組。 「いや~あんなシーンばっかりで居眠り出ちゃったわぁ」って、感性にカビ生えてないかい? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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