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カテゴリ:言語学
私たちの意識を生み出す意味空間・思考空間・言語空間だけでなく物理空間も位相空間になっていて、その違いは、思考空間・言語空間は位相空間論の連結の定理(位相空間の部分集合の中で全体集合Xと空集合φ以外の部分集合が同時に閉がつ開とならないとき空間は連結している)を満たしているが、物理空間は連結の定理を満たしていないという違いであると以前の日記で述べました。それについてもう少し踏み込んで解説したいと思います。
意識も思考も言語を介してなされますから、ここは言語空間で説明します。 『意識と意味と位相空間』という著書で詳しく述べているのでそちらを参考にして頂ければと思いますが、言語の意味の固まりは閉集合か開集合のどちらかだけです。つまり『閉かつ開』は存在しないということ。言語の意味の固まりの最小単位は単語です。英語で見ていくと、名詞と文は意味的に閉じているので閉集合で、動詞・形容詞・副詞は意味的に開いているので開集合の意味の固まりです。そして前置詞・接続詞・不定詞・疑問視・関係代名詞・関係副詞・語尾変化などは、先ほどの名詞・動詞・形容詞・副詞・文といった意味の固まりを意味的に開いたり閉じたりしながら意味的連結を可能にする道具という位置づけです。日本語で言えば助詞がそうです。 例えば、『子供』と『世界』は意味的に閉じている名詞なので両者の間は何の繋がりもありません。ところが『子供』に助詞の『の』をつけて『子供の』にすると意味的に開いて形容詞に変換され『世界』にかかることができ『子供の世界』という新たな閉集合の意味の固まりが形成されます。逆に『世界』という名詞に『の』をつけて『世界の』で意味的に開いてやると『子供』という名詞にかかることができ、『世界の子供』という全く新しい閉集合の意味のが形成されます。ところがどちらも『子供』と『世界』という同じ単語を合体させて作り上げたのに「子供の世界」と『世界の子供』とでは意味的に全く違うということに留意して置いて下さい。 以上簡単ですが、言語空間の全体集合の中の部分集合に『閉かつ開』は存在していないということが何となく理解できたと思います。すなわち言語空間の部分集合は閉集合か開集合しかないとうこと。すなわち位相空間論の連結の定理を満たした位相空間であるということになります。 詳しく知りたい方は紙の本は絶版になっていますが、電子書籍は生きていますので 『意識と意味と位相空間』をよろしく! 一方で物理空間は連結の定理を満たしていない位相空間であるというお話は次の機会に・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.01.23 12:18:07
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