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父が亡くなってから何年経つかな? 亡くなったのは、お姉ちゃんが2歳の時だったから14年か。 昨日、実家の母と弟夫婦と一緒に父の墓参りに行って来た。 弟が『お姉ちゃんの子供だけだよなあ。 お父さんを直接知ってるのは、』 と羨ましそうに言った。 (確かにお兄ちゃんは5歳ながらお爺ちゃんに 飲み屋に連れ回されてた。) 『でも、お父さん、入院前から少しボケが始まってたよ』と言うのが 分からない私である。 私が遊びに行くと 『この頃、お母さんが何かおかしいんだよ。』 と父が私に言っていたのは覚えているけど、 父の言動は特に気になるところは無かった気がする。 末期ガンで入院してから お医者さんから、「脳が収縮してます」と言われた事は 聞いているけど お見舞いに行って気になった事は1つしかなかった。 病室に入ってきた私の顔を見て、 一瞬、「?」 の顔つきをした。 でも、直ぐに取り直して 普通の父になった。 その他はしっかりした物だった。色々な会話をした。 『素顔も良いだろうけど、 もうそれなりの歳なんだから薄化粧くらいして歩け』とか 『お前が結婚したんだから文句は言えないけど、 お父さんは未だにお前の旦那は好きになれないな』 (どんな素晴らしい奴でも好きになれないんだろうな、父としたら) 『お父さんは何の病気なんだ?』とも聞いてきた。 本人告知は希望しなかったので 「何か肺が炎症を起こしているらしいよ」と嘘を付くと、 暫く黙って考えていて『そうか』と一言。 その後は一切病状のことを聞かなかったので、 きっとバレたのだと(察した)思う。 『同じ病室にいた隣の人が退院する様でもないのに、 病室から連れて行かれて帰ってこないんだ』 と小声で耳打ちされた。 今思うと父の気持ちが察して余りあるくらい分かる。 『掃除のおばさんに 「奥さんはお見舞いに毎日来られないなんて困った物ですね」 と 言われて悔しかったんだよ』と。 「お父さん、毎日お母さんがお見舞いに来れたら良いんだろうけど お母さんだって病気があるんだから 往復3時間も掛かる道程を毎日来てたら倒れちゃうよ。 人それぞれの都合があるんだから、 そんなこと言う人の方が変なんだよ。」 『病院の食事はもう嫌だな。例えば毎日出る卵。ゆで卵しかでない。 栄養的なことを考えてるんなら、 同じ卵、目玉焼きにしても卵焼きにしてもいいと思うのに 毎日バカの1つ覚えのようにゆで卵しかでない。 今度来るときに内緒でマグロの握りを買ってきてくれ。』 『実はな、不思議なことがあるんだ。夜中、フッと眼を覚ますと おさげ(三つ編み)の女の子が立っていて、 お父さんの顔をジッと覗き込んでるんだ。怖いゾ~』 とイタズラっぽく話す。 「ここは古い病院だから、もしかすると本当にいるのかもよ~」 と言うと 『お前もそう思うか?!』 と笑っている父。 患者仲間に 救急でもないのに直ぐに入院できた事を羨ましく言われ (呼吸困難で倒れることがあっても、 末期ガンの老人は入院拒否されるの? 通院してた私立の病院で 弟が『父が辛そうなので入院させて下さい』と頼んだけど ダメで、助けを求めてきた。) 娘の知人の紹介で、直ぐに入院出来たことを言ったら褒められた、 と嬉しそうだった。 夕方、帰ろうとすると 『もう帰るのか。』と寂しそうに呟く。 「友達に子供を預けてきているから、もうそろそろ行かなくちゃ。」 (幼児立禁) 『。。。そうか。また来いよ。』 と。 酸素チューブの装着方法が分からなくて、 父とあーでもないこーでもないと悩んだ挙げ句 看護婦さんを呼んで教えて貰って、 『救急でもないのに呼ばないで下さい』 と怒られたりもして。 父が危篤との連絡で夜中、車を走らせて行った。 何日日前から、意識が無くなっていたので 母も簡易ベッドで泊まり込んでいた。 延命治療は希望していない。 切除手術も希望しなかった。 肺ガンとリンパ腺(背中)にも転位してたから 例え肺を切除しても延命になるのだが、 体重が38キロになっていた72歳の父には その手術後の快復は難しい物があったし、 死を目の前に何年も寝たきりの入院生活を 強いるのは偲ばれるので、希望しなかった。 父の脇や頭にアイスノンが置かれていた。 血圧や心臓の鼓動を知らせる機械。 高熱を出している父の手を触ると 看護婦さんが 『意識はなくても、この状態で触られるのは激痛を感じるので触らないで下さい。』と。 朝方になって、 「旦那も不在で子供達だけで置いてきているので 一旦帰って子供達を連れて出直します」 と私が先生に告げると 『血圧が40を切ると危ないので、直ぐに戻ってきて下さい。』 と言われて 急いで帰宅。車で片道1時間強。 家について子供達を起こして、その時にポケベルが鳴った。 メッセージは 『49494949494949』 の羅列。 何? その後、弟から電話が入った。 『お姉ちゃん、お父さん死んじゃったよ。泣』 旦那が仕事を代わって貰って帰ってきたので、 子供達を預けてトンボ帰りで病院へ。 父は病院の冷暗所に移されていて、葬儀屋さんが来ていた。 父は苦しかっただろうに、目を閉じて何もなかったように横になっていた。 弟が『隣りにもう1人、いるんだよ』と目をやった。もう1人亡くなった方がいた。 「父は家に帰りたがってたので、一旦家に連れて帰って貰っていいですか?」
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