|
テーマ:お勧めの本(7400)
カテゴリ:読書感想
神様のボート 江國香織
昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしは生まれた。 ”私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子”。 必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。 ”私はあのひとのいない場所にはなじむわけにはいかないの” ”神様のボートにのってしまったから”――恋愛の静かな狂気の囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘の草子の遥かな旅の物語。 夏は特別な季節だ。 細胞が一つ一つが抱えている記憶。その一つ一つがふいに立ち上がり、風に揺れる草みたいに不穏に波立ってしまう季節。 美しい言葉で、綺麗な風景が浮かぶ。 季節を楽しみ、その土地を好み、人を好む。 母葉子のはかなげでいながら芯の強さが美しい。 娘の草子の聡明さ賢さが美しい。 世間とは違う生き方だが美しくて強い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.12.11 15:21:05
コメント(0) | コメントを書く |