ｇomottomo_と亀のようちゃん

私は遠距離通勤をしている。
時間ばかりかかってとても大変だが
ひとつだけ良いことがある。

家から会社までの間、川を４回渡るのだが、
その風景を　とても気持ちよく感じることができる事だ。


一度目の川越えは隣町との境目
電車で渡る橋だ。

高層住宅が林立する隣町の繁栄を見わたしながら、
橋を渡りきる手前で
真正面のビルの谷間に大きな富士山が見えてくる。

この時期、しかも空気の晴れ渡った日にしか見えない。
静岡から遥かに離れたこの土地だ。
大きいと言ってもたかが知れているが
白い頂が燦然と輝いて堂々として見える。


二度目の川越えは地下なので、何も見えずに終わる。
ただこの川を越えると都心に入った気分になるから不思議だ。


三度目の川越えは徒歩である。
電車の乗り換え途中に橋は架かっている。
神田川・・・という歌では有名だが小さな川だ。

川端では春に　柳が芽を吹き
数本しかない桜が
枝いっぱいに花をつける

桜が終わると
上流の岸辺に咲いていた花びらが
いっせいに集まり
川が詰まってしまうのではないかと、
心配してしまうほど川面を覆いつくす。
これも風情があっていい。


第四の橋は県境にある。
川の幅は広い。
真ん中に中州などがあり
芝生の公園も美しい。

長い橋を渡る途中
左側に（西の方向にあたるだろうか）低い山並みが見える。

私は勝手にこの形の良さは
秩父連邦だと思って　毎日眺めている。

会社に近づいたことを教えてくれる
メルクマールだ。


私は、こんな美しい川たちに見送られながら
毎日通勤している。
どの川も（地下の川は別として）季節を伝え、
自然の美しさを教えてくれているのだ。

けれどこの瞬間がいつまで続くのか？
隣町などの建設ラッシュの止まる様子はないし、
もう来年は富士山を電車から見ることもないかもしれない。

前にも書いたが、
私自身も同じ場所にいつまで勤めるかは
分からない状況である。

だからこそ、今、誰かにこの風景を
伝えたかった。
それが今回書こうと思ったきっかけである。
毎回長くなってしまうのだが
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございました。
今日は感謝の一言で締め切らせていただきます。

（2008/02/12 22:07:39公開分）