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テーマ:旧い旧い洋画(394)
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007シリーズの中に日本を舞台にした”007は二度死ぬ”
という作品があったが、いまいち出来は感心しなかった。 ハンフリーボガードのハードボイルドタッチのB級映画に、 ”東京ジョー”というのがある・ 戦後の日本を舞台にしたものだが、この作品のほうが 娯楽作品としては楽しめる。 日本映画としての戦後の東京は当たり前の事であるが 郷愁もあって興味深い。がしかし、 アメリカから見た東京が違和感なく描かれているのに 驚いた。 この作品はボギーの作品歴にはあまり登場しないので ご存知ない方も多いと思う。 偶然知って鑑賞したので紹介することにしました。 ”戦場にかける橋”に出演していた早川雪州が悪役で 登場しているのも興味深いですよ。 作品、”カサブランカ”を思わせる恋人との再会、執着など 男女のロマンスも絡ませ、 多良尾伴内が登場する、”七つの顔の男だぜ”張りの 東映映画っぽい粗さも目立つが、 全体としては我々世代には楽しめるのではないでしょうか。 監督はスチュアート.ヘイスラーとかいう人で私は初めて 知りました。 ジョー.バレッタ....ハンフリー.ボガード 木村男爵........早川雪州 あらすじ 太平洋戦争前、銀座でキャバレー「東京ジョー」を 親友の日本人、伊藤と経営していたジョー・バレッタは 七年ぶりに日本を訪れた。 七年前、戦争が勃発してアメリカへ帰り、従軍していたのだった。 日本はまだ、GHQの支配下である。 米空軍基地に降り立ったジョーは東京に入るのが 米軍を脱走するより難しいななどとジョークを飛ばすほど 面倒だった。 ジョーはなぜか、米軍にマークされているようで 彼の通過する審査の後、逐一米軍のダークレン大佐に 報告されていた。 キャバレー「東京ジョー」は もはやアメリカ人は経営に携わることは 出来なくなっていた。 ジョーはそのことをアメリカを出るときにはすでに知っていたが、 まだ銀座に店があるかどうか見たくてぶらりやってきたのだった。 しかし、滞在許可は60日だった。 何か仕事をしなくてはならなかった。 「東京ジョー」を訪ねると親友の伊藤は 再会を喜び、隣のボロホテルに泊まるというジョーを制して 店の二階に案内した。 しつらいは昔のままだった。 ”隣のホテルは今は駐車場さ、B29という名のね”。 笑いながら柔道を始めた。 ただ、カンダと名乗る巨体の日本人は得体の知れない雰囲気で 表面は伊藤の使用人のように振舞っていたのがジョーには 気にかかった。 懐かしい唄声が電蓄から流れていた。 店で歌手をしていた恋人トリーナの声だった。 死んだと思っていた彼女が生きていると伊藤は言った。 中野に住んでいるという。 すぐさま訪ねると 彼女はアメリカ軍の法律顧問をしているラディングという男の 妻になっていた。 熱烈に愛し合って結婚していたジョーと ロシア人女性、トリーナだったが、 事情があって、トリーナを捨て、米国へ帰ったジョー。 後悔して日本へ帰ろうとしたときの戦争勃発だった。 トリーナはジョーを忘れられないでいたが、 戦後、ジョーとの離婚申請をして 今はやさしい夫と女の子との平穏な生活があった。 アリーナという七歳の女の子は 初めて会ったジョーになぜか親しみを感じ、 自分の誕生パーティに招待した。 一方、伊藤は何か職が欲しいと言うジョーに 元秘密警察にいた木村男爵を紹介した。 木村はジョーがパイロットの免許を持っていることを知っていて、 韓国まで空輸する仕事を持ちかけた。 貨物の中味は何か?と訪ねると冷凍のカエルだという。 陰気臭いなと感じたジョーだが今は仕事を選んでなどいられない。 まずは空輸許可を米軍に申請した。 許可が下りるのは数ヶ月先だとのことだった。 ジョーは仕事を降りようとしたが木村は ある秘密ファイルを見せ、この仕事を遂行しろと迫った。 その秘密とは元妻、トリーナに関するものだった。 ジョーは冷凍のカエルを運ぶ事になった。 倉庫で見た荷の中味は確かに冷凍のカエルだった。 二名の米人パイロットを雇い、一名の日本人パイロットを雇った。 日本人は神風を操縦していたという。 名前を聞いて笑ってしまったワ タ シ。 カマクラゲンゴロウカネマサ と名乗ったんです。 そして行き先は韓国だった。 その日の荷はなぜか骨董品だった。 すると帰りの便に日本人の男が乗り込んできたのだった。 何か引っかかるがトリーナを守らねばという思いだけだった。 トリーナの秘密とは・・・ トリーナは戦時中に女の子を出産したが、 戦後日本軍の捕虜となった。 そして釈放された。 日本軍に強要されたとはいえ、GI向けのラジオ放送に携わることで釈放されたという いわば反逆罪に相当する過去を持ってしまっていた。 生活苦のためにに仕方なかったとジョーに告白した。 女の子が7歳だとすると自分の娘だと確信したジョーだった。 きっと君を取り戻して見せるとジョーはトリーナにも 夫ラディング氏にも断言した。 ラディングは分別ある人物だった。 彼もジョーもトリーナを守りたいという気持ちは一緒だった。 ここはあの”カサブランカ”のリックと立場が逆に なっているんですよね。 悪いようにはしないから 自分に任せろとラディングはジョーに言い、 ダークレン大佐に連絡をとった。 ダークレン大佐は恐らく、 前々から木村男爵をマークしていたと思われる。 その彼に接触するジョーの行動が 果たしてどういったものなのかを掴む為に ジョーをも、マークしていたのだった。 ”昨日の韓国行きは試しの運航だった。 明日、本当に冷凍カエルを運ぶらしい、そして 帰りの便には戦犯の日本人三名を乗せてくるはずだ”と ダークレン大佐は言った。 そして木村とその戦犯たちはクーデターを起こそうとしているのだ。日本国と日本国民のために絶対に阻止せねばならないとも 言った。 その情報はカマクラゲンゴロウカネマサが探ったものであった。 トリーナの件はもみ消すから軍に協力してくれとも言った。 ジョーとダークレンは協力してセスナに乗る事にしたが 木村はアリーナを人質として誘拐した。 ジョーが裏切らないようにであった。 三名を乗せた韓国からのセスナに 木村は横浜に着陸しろと命じてきたが 軍は羽田に着けろという。日本の警察と協力して 木村を逮捕しようとしたが彼は行方をくらました。 娘を守るために横浜にセスナを着けたが 待っていた木村の手下は戦犯三名を受け取ると 手下の一人はセスナの翼をハンマーで叩いた 流れるオイルに火を放つと爆発炎上であった。 各飛行場に張り巡らした兵は、ここ横浜にも待機していたので すんでのところでジョーは命拾い。 踵を返して「東京ジョー」に行くと責任を感じた伊藤は切腹していた。 息を引き取る前に教えてくれた木村のアジトはなんと 例の、元”B29”という名の ホテルだったーー今は駐車場ーーところの地下に 潜伏していると言うものだった。 ジョーは伊藤に言った。 ”米軍は真の敵ではない、日本の国の復興の手助けと 日本の国民のために居るんだぜ” 地下に降りてみると、 巨体のカンダはやはり木村の手下だった。 もみ合って、何とかカンダを刺し殺した。 泣いていたアリーナ・・・我が子を しっかりと抱きしめるジョーだった。 しかし、木村の銃口がジョーに向けられた。 負傷したジョーを救ったのは米軍兵士の銃。 ダイナマイトを投げようとした木村に命中し、倒れていった。 やってきたトリーナに重傷を負ったジョーは ”アリーナと一緒に アメリカへ帰ってやり直そう”と告げるのだった。 トリーナの答えは”もちろんよ”だった。 ここはカサブランカと違って、ボギーとトリーナは ハッピーエンドでした。 筋立ては三流映画のようですが、 アメリカから見た日本の時代の背景がとてもよく出来ていて 楽しめる一本です。 昨今の複雑な情報スパイものは 大型映画っぽく作られていて惑わされやすいですが 単純なストーリーをストレートに分りやすく かつ、ボギーが日本を舞台に活躍というちょっと拾いものの 作品であります。 日本家屋をアメリカ式にインテリア化されているものも 違和感なく、興味深いし、 早川雪州の英語の合間に入れる日本語がちょっと笑えます。 ”カサブランカ”だって”慕情”の舞台、香港だって 異国情緒なんだから、そこが日本だというだけで 我々から見れば少しくすぐったいかもしれないけれど あちらから見れば舞台としては さほど差はないのかもしれませんしね。 これ製作年は分らないのですが多分1950年前後だと思います。 正式なものをご存知のかたは教えてくださいませ。 ということで今夜はハンフリー・ボガードの拾い物作品でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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