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カテゴリ:平和
先週の土曜日のことです。
NPO法人現代座という劇団が「遠い空の下の故郷(ふるさと)」という朗読劇が、小布施の新生病院のチャペルでありました。「ハンセン病療養所に生きて」というサブタイトルがあり、「らい予防法」廃止、隔離政策において国の責任が認められ賠償が行われた現在もなお、差別や偏見がなくならない状況を訴えるものでした。 「らい予防法」が廃止されたのは1996年、その後、ハンセン病元患者の方々が、「らい予防法」そのものが日本国憲法下で制定(1953年制定)されたものの憲法違反であったことを国家賠償を伴う形で訴えてこられました。そして、2001年に熊本地裁において違憲判決が出て、ハンセン病補償法が制定されたのです。しかし、ハンセン病療養所を出て、故郷に帰れる人はほんの一握りとのことで、全国で療養所の元患者の人数が減っているのは死去のためだ、ということでした。 朗読劇の前に、劇団の木下さんという方が、この朗読劇をはじめるにいたった経過と、元患者の様子をお話くださいました。 この現代座という劇団は、医療関係の問題を劇にしていることが多く、病院関係者との接点が多いとのことでした。そして、ある医療関係者より、その劇団の劇作家の木村快さんに、ハンセン病療養所を取材し連載をしてくれないか、と頼まれたのだそうです。それまで、ハンセン病ということに深くは関わっていなかったということですが、木村さんは木下さんを連れてその取材に行くことになりました。そして、取材すればするほど、元患者の方々の現在も続く苦労と心配を感じて、なんとかしなくては、という思いに駆られたとのことです。 後で、ハンセン氏病関係の資料を見ていましたら、らい予防法の廃止につながったのは、エイズがあったからとのことに驚きました。1990年代に薬害エイズなどで話題になった当時、差別と偏見が満ちました。そして、らい予防法と同様の隔離政策がとられようとしたとのことでした。それに対して、エイズ患者たちが反対し、さらに元になった「らい予防法」が廃止されるにいたったとのことでした。また、その「らい予防法」は、ハンセン病がプロミンという薬で治ることが明らかになった後の制定ということも改めて考えさせられました。そして、戦前からあった隔離政策よりも、もっと合法的に断種・中絶が行われていた、ということも、知りました ~本当は、初めて知ったのではないはずなのですが、このことを突きつけられ、自分はこれまで何を学んできたのか、と反省させられたのです)。実は、大学の頃、東北新生園というハンセン病の療養所に行ったことがあったのですが、そのとき、ハンセン病は怖い病気ではないこと、保菌者はもういない、ということを学び、共に楽しいひとときを過ごすことができたのですが、「らい予防法」を廃止しなくてはならない、という方向に考えを持って行く事ができませんでした。自分自身の無神経さに気づかされました。~ 現代座の公演では、二人の元患者を取り上げていました。二人の方が、それぞれの方になりきって、元患者の生い立ち、療養所での生活を伝えていました。ハンセン氏病は、患部の触覚がなくなることもあり、それゆえに二次災害も絶えなかったとのことでした。ある方は、釘を足で踏み抜いても気づかなかったり、刃物で傷つけても気づかずに悪化させてしまったということがあったようです。また、医療関係者もまともな治療をしない場合もあり、ちょっとした怪我で大事に至ることも多く、多くの元患者は怪我をしないように、風邪を引かないようにと注意する毎日だったとのことでした。そして、ハンセン氏は恐ろしい病気ということで、隔離する政策にいたったのですが、その際に、多くの人に偏見を植え付けていきました。そのため、ハンセン氏病が発病した方の家族も偏見にさらされ、差別されたのです。結婚していた人は離婚されたり、一族からハンセン病の記憶を消すように努力していたりと大変だったのです。そして、家族もまた絶望のうちに一家心中や自殺などを図り命を落としているケースもあったのです。 そう考えると、差別や偏見が、多くの人を巻き込んで命を奪うのだ、ということが理解できました。 そうした個人の体験と、個人の思い出の曲が歌われながらの公演でした。それは、本当に涙を禁じえない公演でした。 また、公演に先立って、上田在住の伊波敏男さんというご自身もハンセン病を患った作家の方が講演をしてくださいました。 そして、この問題に関して、わたしたちの知性と感性を持って解決しなくてはなりません、と結ばれました。 毎日の生活に慣らされていて、自分以外の人の人生に思いを馳せられない想像力の欠如を反省すると共に、自分自身のできることを考えさせられました。現在、療養所の方が、本当に安心して暮らすことができるように、差別と偏見をなくすための法的なアピールをする署名活動もなされています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 6, 2007 09:43:06 AM
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