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Sep 29, 2009
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 生活クラブの読書案内で紹介されていて興味をもった本を読んだ。
 
 ルイの家族は母親、長兄、姉、双子の兄と妹で父はいない。母親は市場で野菜売りをしている。家族は一部屋のアパート暮らし、部屋にはいつも母親の恋人が入れ替わり泊まっていく。長兄は盗みを覚え、姉も早熟である。双子は不登校。幼い妹は貧しさゆえに病死する。ルイは、ほとんど何も話さずいつも自分の周りの世界をひたすら注意深く見ている。学校の成績は良いものの、いじめられたりもする。しかし、反抗もせず穏やかな笑みを浮かべているので「ちびの聖者」とあだ名をつけられる。ルイはそのうち学校に行く前に母の仕事の手伝うようになり、自分が幸せであること、母を好きなことを語り、母と心を通わしていく。第1次大戦があり家族がバラバラになる一方で、ルイは定職につき、次第に絵画に目覚め画家となっていく。人からの評価と無縁で、自分の中の本物、光を求める姿は、求道者のようかな、とも思った。
 シムノンの自伝的小説であり、独自で一貫した子どもの視点、淡々と世界を肯定しつつ自分の表現に生きる姿には興味が尽きないものがある。
 

 私は本を手に取る前、著者について何も知らず、読後「メグレ警視シリーズ」の著者と知って驚く始末。アンドレ・ジッドは、彼を20世紀最高の作家と評し、しかもこの作品をシムノンの最高傑作としていることも後で知った。

 また、他にシムノンなどの作品が載っている『クリスマスに捧げるミステリー』なんて本も手に入れた。


ちびの聖者





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最終更新日  Sep 29, 2009 08:33:50 AM
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