先週の水、木と東京矯正管区教誨師大会(山梨)という集まりがありました。教誨師の研修会です。
この集まりは茨城、栃木、群馬、千葉、東京、神奈川、新潟、長野、埼玉、静岡、山梨の刑務所や更正施設の教誨師が対象である。今回は特に、来年6月に行われる松本での教誨師大会のための視察の意味もあった。受付、分科会、講演会、懇親会などについてのチェックを長野県の教誨師で分担しの参加だった。
一日目は、A指標施設、B指標施設(犯罪傾向が進んでいる方がB指標、重犯の受刑者はB指標施設で刑期を過ごすことになる)、少年施設担当の刑務官と教誨師が現場からの報告をした。横浜刑務所においての取り組みは参考になった。
二日目は、かつて衆議院議員の秘書給与問題で1年半の実刑を受けた山本譲司氏の話を伺った。刑の厳罰化は、かえって受刑者を思考停止にしてしまうと、言われていたことはとても興味深かった。入所して、刑務官の指示になんでも「はい、はい」と聞いていくことが、刑務所で楽に暮らすことのコツというのである。それは思考停止であり、自分の犯した罪さえも向き合わずに過ごしてしまうことさえありうると感じたとのこと。彼自身、出所後、『獄窓記』という本を執筆したが、そのときになってはじめて考えたということで、そのときに刑務所生活をしているかのようになった、と言われていた。そして、議員であったときには、青少年の凶悪犯罪に対して、厳罰化で臨むべき、と考えていた態度が間違いだったと今は考えているとの事。厳罰化しても、思考停止状態を生み、反省ややり直しに至らないケースがあるのではないか、と感じているということである。むしろ、自分の犯したことに向き合うことのほうが、どれだけ辛くしんどいことか、と思っているとのことで、肉体的あるいは精神的な厳罰化ということではない対応が必要だと主張されていた。
その他、軽犯罪の重犯者には知的障がい者に相当する人も多く福祉との連携が必要である、と言われた。福祉行政において漏れていたり、いい加減に扱われてきた人が刑務所に来ていたり、ホームレスとなっているケースが結構あるとのこと。現在は、法務省から福祉のケースワーカが刑務所に派遣されることも実現できているとのことであった。
余談ではあるが、やはり衆議院議員をされていたということで、話し方は決して謙虚な感じはしなかった。
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