世界一の美濃焼狛犬、豊穣の壺
岐阜県瑞浪市陶(すえ)町、この町は猿爪、水上、大川と三つの地区に分かれており、陶町の字が示すように陶磁器産業が盛んな地域。今回はここ大川地区にある大きな狛犬と茶壷を掲載します。国道363号線と国道419号の交わる瑞浪市陶町大川付近の光景。4月中旬のこの辺りは、山々に芽吹き始めた淡い緑と山桜が入り混じり、春を迎えた山里の光景を見せていました。写真前方が瀬戸方向に続く国道363号線になります。「世界一の美濃焼狛犬」は二つの国道が交わる三叉路に安置されています。国道419号線沿いに鎮座する八王子神社の近くに「こま犬駐車場」があるのでそちらを利用します。八王子神社の社頭を通り過ぎ、世界一の狛犬がいる三叉路向かいます。この神社には瑞浪市有形文化財の「大川美濃焼狛犬郡」があり、社頭の狛犬も陶製狛犬で、まさに狛犬の群れが集まっています。三叉路の角にある巨大な美濃焼の狛犬。この巨大狛犬が焼かれたきっかけは、平成元年(1989)に瑞浪市と高浜市が姉妹都市として提携した事に始まるようです。瑞浪市政35周年を記念し、国道419号線の起点と終点にあたる瑞浪市と高浜市の交流を深める目的から故郷創生資金を財源に平成2年(1990)に焼かれたもの。写真に収めてしまうと大きさは伝わりませんが、名古屋方面から国道363号線を走ってくると、この姿が否応なく視界に飛び込んでくる。「世界一のこま犬」の入口付近は八王寺神社の境内に続く脇参道で、その参道脇にも表情豊かな狛犬達が安置されています。「世界一のこま犬」の入口に立つ狛犬。ボリューム感のある毛並みが表現されたスタイリッシュな狛犬。世界一のこま犬は瑞浪と大川、高浜の土をブレンドして作られ、制作延べ日数183日、延べ人員1000人が携わり、約12日間をかけて焼かれたもの。この狛犬を焼いた窯は、三叉路から国道363号線を少し入った左側に県内最大の六連房式の登り窯と云われる陶与左衛門窯で焼かれました。※六連房式の登り窯の規模の表記は一部に国内最大とありますがマップにある県内最大を引用しています。狛犬の前後には焚口も残されています。地元住民の協力によって作られたこま犬は、ギネスに『世界一大きいこま犬』として認定されています。覆屋に安置されている狛犬は、阿形・吽形共に高さ約3.3㍍もある。正面から見る狛犬。この狛犬のデザインは室町時代文明7年(1475)に開窯された大川窯の4代目羽柴与左衛門景度の美濃焼狛犬をモデルとして作られたそうです。大川の地には東窯と西窯の二つの窯があり、東窯だけでも40基はあったそうです。背筋を伸ばし遠くを見据える二体の大きな狛犬は年末・年始にはライトアップが施されるそうで、街明かりの少ない山間にこの狛犬が浮かび上がるようです。三叉路から国道363号線を恵那、瑞浪方向へ直進した右側にある「世界一の茶つぼ」こちらも覆屋に覆われ、その下に高さ5.4㍍、直径が4㍍のギネスに認定された茶壷が安置されています。狛犬から100㍍程東の斜面にあり、平成11年(1999)に製作日数365日、12,000人が作成に携わり、13日間をかけ焼かれた「豊穣の壷」。瑞浪市の陶町に点在する古窯のひとつ大川窯の陶工の茶壷をモデルにして制作されており、地元総出で製作に関わり形となった茶壷は、関わった人たちにとって、自分やその子供にも誇れるモニュメントとして残っていく。この下を走る国道363号線の向かいに6連房式登り窯があります。国道脇には「中馬街道」の道標と後方に見えるのが「大川馬頭観音」大正十年(1921)に彫られた馬頭観音は街道の安全を守護するとともに、瀬戸と明智を結ぶ中馬街道の道標も兼ねています。豊穣の壺あたりから西方向の三叉路を眺める。世界一の美濃焼狛犬、豊穣の壺所在地 / 岐阜県瑞浪市陶町大川2023/04/11関連記事 / ・春の岐阜ドライブ日記・南宮神社(土岐市鶴里町柿野)