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「シッコ」 現場のさまざまな問題をえぐる
記事:毎日新聞社 提供:毎日新聞社 これが世界唯一の「超大国」なのか--。大阪・テアトル梅田などで公開されているマイケル・ムーア監督=写真左=のドキュメンタリー映画「シッコ」を見終わった時、こんな怒りがこみ上げてきた。同時に日本の近未来を見ているような恐怖も感じた。 タイトルは「アメリカの医療制度はビョーキ(sicko)」という意味。先進国で唯一、公的医療保険制度がなく、6人に1人が無保険というアメリカで、きちんと民間保険に入り、保護されるはずの人までもが遭遇するさまざまな問題をえぐり出している。 事故で指2本切断した保険未加入の大工。医師から「薬指をくっつけるのは1・2万ドル、中指は6万ドル。どちらにするか?」と聞かれ、安い薬指だけを選んだ▽急に体調を崩し、救急車を呼んだら、呼ぶ前に保険会社に事前申請しておかないと保険金は出せないと言われた▽家族の骨髄が適合し、骨髄移植をすれば命が救われるにもかかわらず、保険会社が保険金を出し渋ったため、手術ができず、患者は死亡--。こうした事例のほか、標準よりやせ過ぎているという理由で保険加入を拒否されたり、医師にがんと診断されたにもかかわらず、「あなたの年齢でがんはあり得ない」と保険会社が決めつけるといった、喜劇にも近い現実を、ムーア監督自身が画面に登場し、独自の「突撃取材」で明らかにしていく。 さらに国が運営する医療保険が完備しているカナダ、イギリス、フランスを訪ね、指を5本切断した人に当たり前のように全部の指をくっつける手術を施す医師の姿に感銘する姿は、まるでブラックジョーク。ムーア監督が何を伝えたいのかは火を見るより明らかだ。 医療分野の規制緩和や患者負担増が進む日本。ワーキングプア(働く貧困層)の増加も相まって、映画が遠い国の話ではないことを連想するのは私だけではきっとないはず。 *日本でも社会保険制度が赤字続きになっています。 このまま赤字が進んだら国は業務を民間に任せるようになり、民間保険業界も参入するようになったらアメリカと同じ事が日本でも起こるでしょう! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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