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カテゴリ:今日の出来事
きょうは「世界糖尿病デー」
記事:毎日新聞社 提供:毎日新聞社 ◇世界で取り組み急務--国際糖尿病連合副会長・堀田饒(にぎし)さん 14日は国連が定めた「世界糖尿病デー」だ。昨年12月の国連決議で決められ、今年が1回目となる。世界の糖尿病患者は約2億4600万人。2025年には3億8000万人に達すると予想され、途上国での患者の増加も深刻だ。「先進国のぜいたく病」と思われていた病気が、世界の人々の健康をむしばみ、各国が協力して対策に取り組む体制作りを求められている。国連決議採択を目指し、先頭に立って活動した国際糖尿病連合(IDF)の堀田饒(にぎし)副会長=中部ろうさい病院長=に、国連決議の意義と世界の糖尿病患者の現状を聞いた。 --国連決議の採択には、随分驚かれたそうですね。 決議を目指す本格的な活動を始めて1年でしたから、採択は先のことと思っていたのです。急転直下、決議が採択されたと聞き、びっくりしました。決議にあたって、バングラデシュが提案国に名乗りを上げ、発展途上国が結束したことが早期採択に結びつきました。単独の病気に関する国連決議はエイズに次ぐものですから、世界各国が糖尿病の脅威に気付いてくれた結果と言えます。 --糖尿病患者の増加は深刻です。 IDFの統計によると、世界で1分あたり12人、年約630万人が新たに患者になっています。さらに1分あたり6人、年約315万人が亡くなっています。この数字はエイズによる死亡者数に匹敵します。 --国連決議では、世界各国に何を求めているのですか。 まず、世界が糖尿病対策の重要性を認識することです。糖尿病の合併症による社会の経済的な負担は非常に大きく、先進国では医療費高騰の原因となっています。一方、発展途上国では十分な医療を受けられず、短い命で亡くなる子どもが相次いでいます。単なる「ぜいたく病」として放置することができない状況になっています。糖尿病患者への差別もなくさなければなりません。このため、各国が継続的に糖尿病の予防や啓発、適切な治療の推進に取り組むことを求めています。その活動の一環として、11月14日を世界糖尿病デーと定めたのです。 --世界糖尿病デーに合わせ、世界各国でさまざまな啓発イベントが計画されています。 この取り組みを、今年だけで終わらせてはいけません。少なくとも5年は続けなければ意味がない。どう続けていくかという具体的なプランを、私たちは作ることが求められています。 --各国の名所旧跡で、国連決議に向けたキャンペーンのシンボルカラー(青)でのライトアップが計画されています。青い光を通じて、日本の人たちに気付いてもらいたいことは何ですか。 人間は一人で生きているのではありません。青い光を見て、「糖尿病で悩んでいる人もいるんだ」と気付き、「自分は今は幸せでも、いつか何かの病気になるだろう。だから助け合おう」と感じてほしい。それを病気の予防・撲滅につなげてほしいのです。 日本では、すでに成人の4人に1人以上が糖尿病患者や予備群といわれています。ですから、重要なのは重症化させないこと。重症化しなければ、医療費はそれほど増えませんし、生活の質も落ちません。合併症を防ぐことが最も大切です。 ◇40歳以上の1/3に黄信号 食事と運動、治療の基本 厚生労働省の06年国民健康・栄養調査の速報によると、糖尿病患者や予備群とされる人は、40歳以上の33・3%に達する。患者は11・9%で前年と変わらなかったが、予備群は前年に比べ2・7ポイント増えた。国は「健康日本21」で、2010年の患者数を現状より80万人減らすとの目標を掲げるが、現在の傾向が続くと実現は難しくなる。 糖尿病は、私たちの活動のエネルギー源となるブドウ糖がうまく使われず、血液中にあふれる病気だ。原因は、ブドウ糖を調節するインスリンの分泌が減ったり、効きが悪くなることにある。 血糖値が高い状態が続くと、徐々に血管が傷つき、網膜症、腎症、神経障害、心血管障害といった合併症を引き起こす。合併症が起きると、日常生活に大きな制限が加わるほか、腎症や心血管障害は生命を脅かす。 糖尿病患者の約9割を占め、生活習慣が原因とされる2型糖尿病の場合、治療の基本は食事療法と運動療法だ。食事療法では、カロリーや栄養バランスに配慮する。日本糖尿病学会が発行した「糖尿病治療ガイド」(文光堂)は食事療法のポイントとして、▽腹八分目▽食品の種類はできるだけ多くする▽脂肪は控えめに▽食物繊維を多く含む食品(野菜・海藻・きのこなど)をとる--などを挙げた。 運動は、血液中のブドウ糖や脂肪の利用を促進し、血糖値を下げる。特にウオーキングやジョギング、水泳など、筋肉への負担は軽いが、比較的長く続ける有酸素運動が効果的だ。軽い運動や家事でも、習慣化することで、インスリンがよく働くようになると報告されている。 薬物の開発も進み、インスリンの分泌を促進したり、糖質の吸収を遅らせる経口薬、長時間効果が続くインスリン製剤など、患者に合わせたさまざまなタイプが生まれている。 ◇予防重要さ訴え世界で 今夜、青の光 世界糖尿病デーの11月14日は、1921年にインスリンを発見したカナダ人医師、フレデリック・バンティングの誕生日にちなんで決められた。外科医だったバンティングは、膵臓(すいぞう)を摘出した犬に、膵臓からの抽出物を注射したところ、血糖値が大幅に下がることを確認したことをきっかけに、血糖値の調節に不可欠な物質「インスリン」を発見したという。 この成果からインスリンが大量に生産されるようになり、自己免疫が原因でインスリンが分泌できなくなる1型糖尿病患者など、重症の糖尿病患者の治療が可能になった。この功績を認められ、バンティングは恩師のマクラウド教授とともに23年、ノーベル医学生理学賞を受賞した。 国連決議によって、11月14日は世界中の人々が糖尿病の脅威と予防の重要性について考える日として認められた。当日は各国で関連のイベントが開かれる。IDFによると、国連決議を目指すキャンペーンのシンボルカラーの青で、各地の名所旧跡約160カ所以上がライトアップされるほか、ウオーキング大会や数多くの啓発イベントが計画されている。 国内でも、14日午後6時半に東京タワーが青く点灯される=イメージ=ほか、通天閣(大阪市)、鎌倉大仏(神奈川県鎌倉市)、鹿児島中央駅の観覧車(鹿児島市)などが青くライトアップされる。 * フレデリック・バンティングという整形外科医がすい臓の内分泌に興味を持ち、研究してたらインスリンを発見して1年後にはノーベル賞を受賞しました。 世界が糖尿病にとても悩まされていたと言う事でしょう! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.11.15 08:03:22
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