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2008.07.24
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カテゴリ:時に思う日々
「小泉劇場」議論置き去り 福田氏、欠陥見抜けず 政治通年企画「検証 岐路の瞬間」 後期高齢者医療制度

記事:共同通信社
提供:共同通信社


 75歳以上を対象とする「後期高齢者医療制度」は、首相小泉純一郎が自作自演する「小泉劇場」の陰に隠れ、十分な議論を置き去りにしたまま誕生した。当時官房長官の首相福田康夫は、その後問題化する制度の「欠陥」を見抜けないまま「聖域なき構造改革」の奔流にのまれていく。

 2002年1月21日召集の通常国会は冒頭から波乱含みだった。

 患者、医療機関、保険加入者が痛みを分かち合う「三方一両損」の医療制度改革を掲げた小泉は、サラリーマンの医療費自己負担を03年度から3割に引き上げる方針を明言。患者負担増に猛反発する自民党厚生族を「抵抗勢力」とののしり、全面戦争の火ぶたを切ろうとしていた。

 この時、80%あった内閣支持率は小泉改革の象徴的存在だった外相田中真紀子の更迭で、一気に20ポイントも急落。3割負担実現のスローガンをおろし、国民の離反を招く事態を小泉は懸念した。

 約3週間後の2月9日午前10時。小泉は、厚生族の攻勢を受け3割負担先送りを模索していた厚生労働相坂口力(公明党)に電話を入れ、自らの方針に従うようにくぎを刺した。「自民党は必ずまとめるから心配無用だ」。坂口が「厚生関係議員との問題は簡単ではない。きちんと折り合ってください」と懇願すると、小泉は「分かっている」とだけ言い捨てて電話を切った。

 2日後、小泉は国会近くのホテルで開かれた政府、与党会合に福田を派遣して最後通告を突きつける。「3割負担は03年度から実施する。これだけは譲らない」

 小泉サイドはそのまま03年度実施で押し切り、引き換えとして厚生族が要望した抜本改革策の検討を了承する。その中に隠れるように入っていたのが高齢者医療制度の創設だった。

 ここをピークに小泉は医療制度改革から距離を置き、新たな「劇」の幕を上げる。02年9月の電撃訪朝だ。拉致被害者の帰国などで国民の視線は北朝鮮問題にくぎ付けになっていく。

 政府は03年3月28日、医療制度改革基本方針を閣議決定した。これに先立ち、厚労省は75歳以上を対象とする「独立保険方式」、制度間で資金をやりくりする「年齢リスク構造調整方式」の2案を提示。小泉政権は「現役世代の負担を軽減するには独立保険しかない」とする自民党の主張を採用した。

 4月からの3割負担スタート前の「駆け込み決着」だった。決定後、小泉と厚生族のバトルに翻弄(ほんろう)された坂口が「抜本改革になっただろうか」と問い掛けると、福田はつぶやいた。「どんな制度にしても野党はいろいろ言う。一歩でも二歩でも前進させよう」

 この後、小泉は郵政民営化へ突っ走り、06年2月、後期高齢者医療制度関連法案が閣議決定される。国会審議は医師不足の問題に時間が費やされ、後期高齢者医療制度の問題点に焦点が当たらないまま、与党の賛成多数で6月に成立した。

 制度設計から関連法成立まで、政府、与党が一貫して重視していたのは「現役世代の負担軽減」。75歳以上を切り離すことへの感覚は鈍く、後に「姥捨山(うばすてやま)」との批判が出る事態など想定外だった。

 「低所得層の負担軽減など微修正は必要だが、骨格は間違っていない」。元厚労相尾辻秀久は08年4月の制度スタート後、そう強調しながら、割り切れない思いを口にした。

 「福田さんは小泉政治のツケを払わされて怒られ、内閣支持率も下がる。小泉さんは人気が衰えず待望論さえ出る。理不尽な話だ」(敬称略、肩書は当時)

*小泉政権は自民党支持が高いことを利用していろんな法案を審議なしに通してきたつけが今問題になっています。議員や官僚の質を再度検証しないと今後の日本はどうなるのか?疑問がいっぱいです。






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最終更新日  2008.07.25 08:03:12
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