「芸術新潮」11月号―日本の仏像誕生!
「芸術新潮」11月号は仏像特集です。http://www.shinchosha.co.jp/geishin/この表紙の素晴らしいこと。しばらく眺めていても飽きません。一木造の仏像で、顔面の木目がふっくらとした感じに見え、つい頬を撫でるように手を添えてしまいます。(指紋がつくので本当に撫ではしませんが。)口の端と下唇の下が少し引っ込んでいるのは幼い感じがしてかわいいです。表紙いっぱいにどーんと仏像の顔が写っているのはインパクトがあるのは勿論のこと、人間の顔と同じくらいの大きさになっているので親近感が持てます。この仏像は高さ158.8cmで今の日本女性の平均身長くらいですが、実寸大なんでしょうか?この表紙がいいのは仏像のせいだけではありません。撮影した広瀬達郎さんが上手なんです。影の入り方や少し右下からの角度がいいです。光を強くして影をなくし、木の明るい色を見せるとこういう表情にはならなかったはずです。さらに、真っ黒の背景に彩色が剥げ落ちて木がむきだしになった仏像の頭という地味な写真に書名の赤い字が彩りを添えています。またその字が頭の上部にわずかに重なるように配置されているのは、広すぎる額を短く見せ、子供のような丸い顔に見えています。表紙のことしか書きませんが、中身も大変面白いです。1,500円と、雑誌としては高めですが、オールカラーでこの内容だと文句は言えません。 表紙の仏像は奈良県の融念寺の地蔵菩薩立像です。平安時代(9世紀)に作られたそうです。