Fantastidc Dozen1『水中の驚異』
「図像とは、目と心の結合が生み出した、自然には絶対に存在しない大脳の内側のパノラマである。図像のもつ、このような肥沃な表現力と想像力を、現代に解き放つことを目的に、本コレクションは刊行される。この本の娯しみ方はただひとつ、全身を目玉にして、次々にあらわれる人工図像のパノラマに歓喜し、そこからさまざまな叡智を読み解くことである。これは目玉の大冒険である」この文章はFantastid Dozen全12巻の各巻のはじめに掲げられています。「全身を目玉に」!「目玉の大冒険」!「目を皿のようにする」というレベルを遙かに超えた表現です。1巻では、絵描きが水中を描くことにどのように工夫したのかに注意を配って、解説を書いたり、図像を選んだりしています。一つ一つの図像に解説がついていて、絵の見方を提示してくれています。例えばp137。「ヤドリイソギンチャクとヒトデ。水中では言語コミュニケーションがないけれど、この図の2匹は語りあっているようだ」こう書かれると、ヤドリイソギンチャクの曲線があたかもヒトデに向き合うように流れているように見えてきます。荒俣宏 Fantastid Dozen1『水中の驚異WONDERES OF THE UNDERWATER』 リブロポート、1990年10月、本体価格2,000円