枡野浩一『ドラえもん短歌』
青空の入道雲はそれはもう配色としてドラえもんです〔辻一郎〕(p.4) ドラちゃんの「えもん」を「エモン」と書くような人とは結婚したくないです 〔沼尻つた子〕(p.9) 負けないで。拳を握る母心いつしかドラえもんになってた〔青野ことり〕(p.11) ドラえもんよりも好きだといっただけなんでそんなにうれしそうなの〔緒川景子〕(p.14) 自転車で君を家まで送ってたどこでもドアがなくてよかった〔仁尾智〕(p.43) 覇気のないドラえもんには適当な悩みを言ってあげたりしなきゃ〔篠田算〕(p.60) 空港でチェックにかかりポケットの中身を全部出すドラえもん〔新井蜜〕(p.61) ドラえもん君は固いのやらかいのそれってけっこう重要なので〔久保端佳〕(p.72) ドラえもん話を聞いてそばにてひみつ道具は出さなくていい〔麦ちよこ〕(p.76) 中学に入り変声期をむかえ剛田たけしの歌に深みが〔篠田算〕(p.92)図書館で借りました。泣きながら読みました。一通り読んだらすぐにもう一度読み、やっぱり泣きました。悲しい内容ではなく、激しく感動したわけでもありません。なのにこんなふうになるとは、やっぱりドラえもんは私の友達です。発行日はドラえもんの誕生日、9月3日です。1ページにつき1首、計93首の短歌が載っています。この本で最初に短歌が載ったp.4の短歌には、ドラえもんは私達の頭上にいつもある青空と同じ配色だからこんなに親しみが持てるんだなあと、じいんと来ました。p.9は、そうだよなあと、共感しました。p.11は、ドラえもんの丸い手はお母さんの手だったんだなあと、これまたじいんと来ました。p.14は、本当に言ったらこんな反応をするかなと、忍び笑いをもらしました。p.43は、ありふれた発想ですが、破綻なく特上に整った一首だと思いました。p.60は、親に元気を出させるためにわざとどら息子(※ドラえもんの息子ではない)になっている中国の説話を思い出しました。p.61は、空港のチェックでたまにいるそんな人を、今度から心の中でドラえもんと呼ぼうと決めました。p.72は、そういえばドラえもんの質感について考えたことがなかったなあと、改めてドラえもんへ思いを巡らせました。p.76は、のび太君にとってのドラえもんの根本的な存在意味はこれなんだろうなと思いました。そういえば昔、「そばにいてくれる~だけで~いい~♪」という歌がありました。p.92は、「ジャイアンの歌に深みが!?」と、心中そのままツッコミ返してしまいました。ドラえもん短歌 http://dora-world.com/mail/dora_tanka.html枡野浩一公式サイト『ますので』 http://masuno.de/top.html ※次々にクリックしないと展開しません枡野浩一のかんたん短歌blog http://masuno-tanka.cocolog-nifty.com/blog/2005/08/post_faf1.html枡野浩一『ドラえもん短歌』小学館、2005年9月3日、本体価格1,300円