ダニエル・ペナック『奔放な読書』
読者の権利10か条1ヵ条…読まない2ヵ条…飛ばし読みする3ヵ条…最後まで読まない4ヵ条…読み返す5ヵ条…手当り次第に何でも読む6ヵ条…ボヴァリスム(小説に書いてあることに染まりやすい病気)7ヵ条…どこで読んでもいい8ヵ条…あちこち拾い読みする9ヵ条…声を出して読む10ヵ条…黙っているもし、この10か条の逆を強制されたとしたら…本を読まなければ死刑。しかもタイトルから奥付まで、一字たりとも飛ばし読みすることを許さず、たとえ開いて5秒で睡魔に襲われるような内容であっても指示された本を指定の場所で読み続け、かといって声を出さずに静かに読まねばならず、読んでいる間も読了後も誰にも読書中であることを明かしてはならず、その上感化されると百叩きの目に遭う…という、法律があったならば、その国の人口は減りそうです。でも、実際はこれら10か条を無言の内に強いられている(と思いこんでいる)場合があると思います。私はさらに、「どんな姿勢で読んでもいい」「自分の本は汚してもいい」を付け加えたいです。著者は1944年生まれのフランス人です。作家であり、高校の非常勤教師でもあります。この本は翻訳本ならではの読みにくさ(独特の文体や育ってきた環境の違い、冗談など)がありました。ダニエル・ペナック『奔放な読書―本嫌いのための新読書術』藤原書店、1993年3月翻訳:浜名優美、浜名エレーヌ、木村宣子