ヤマザキマリ『とらわれない生き方』
「シングルマザーに限らず、子どもを産むには、2つの覚悟が必要になる。子どもを育てる覚悟と、それと同時に自分も幸せにする覚悟です。子どもの存在で自分の寂しさや孤独を埋めたり、子どもの幸せを自分の幸せに投影する母親が、今は山のようにいますが、それは間違い。子どもを潰してしまいます。産んだ子から見返りがなければ、「こんなはずではなかったのに」と苦痛にもなるでしょう。」p.166斎藤環『母は娘の人生を支配する』に同様のことを書いていたので印象に残りました。「人間がなぜ一介の葦ではなく、ものを考えるようになっているのか。そう考えると、口に出してコミュニケーションをとって進化していかなければ、人間はとんでもない失敗を起こし得るのではないかとも思うんですよ。「なんとなくわかる」で言葉にしないままでは、地球を潰しかねない事態にまでなってしまうのが、今の時代なのかと。」p.225ここだけ取り出してみると、至極当たり前のことを書いているようにしか思えません。この引用部分はこの本の最後の方にあります。ヤマザキマリという海外経験も人生経験も豊かな女性漫画家の言い分を読み続けてこの部分を読むと、部分的に読むのとは違った味わいがあります。ヤマザキマリ『とらわれない生き方 悩める日本女性のための人生指南書』KADOKAWA、2014年04、1,080円(税込)