清水則雄、山﨑大海『オオサンショウウオと暮らすための50のこと』
清水則雄、山﨑大海『オオサンショウウオと暮らすための50のこと』オンデマンド、2019年4月1日、1,404円たいへんな真面目さと愛らしさで、素晴らしい本です。最新の研究成果を50項目に分けて、誰にでもわかりやすい言葉で書いてくれています。例えば私は71ページにオオサンショウウオは冬眠をしないと書いているのを見て、なるほどと思いました。漢字に全部振り仮名を振ってくれているので、小学生でも読むのに苦労はないでしょう。タイトルの「オオサンショウウオと暮らす」とは、ペットとして飼うという意味ではなく、オオサンショウウオが住める環境を守って同じ環境下で暮らすというような意味です。オオサンショウウオは特別天然記念物なので飼えませんし、触ってもいけません。50項目はそれぞれ見開き右が漫画、左が文章です。漫画で表現しきれないところを文章で説明し、文章では表現しきれないところを漫画で説明してくれていて、楽しいです。漫画はフルカラーです。オオサンショウウオは、この本の案内役である二足歩行できて人語を話せるデフォルメされたオオサンショウウオと、本来の形を生かしたオオサンショウウオの2種類のイラストが描かれています。後者はかわいいながらも脊椎動物であることを忘れさせてくれない範囲のデフォルメで、オオサンショウウオの骨格が好きな(もちろん肉付きのオオサンショウウオも好きですが)私は、漫画にオオサンショウウオが出てくる度にその一つ一つを凝視してしまいました。奥書ページの「実際にはオオサンショウウオは喋りませんし、二足歩行もしませんのでご注意ください」の一文には、冗談で書かれているとわかりつつも、「やっぱり喋らないのか……」と思ってしまいました。私も漫画のようにオオサンショウウオと話がしたいし、手を握って歩きたいです。著者の清水則雄氏は広島大学総合博物館准教授。オオサンショウウオの研究者です。この方の文章が見開き左側です。もう1人の著者の山﨑大海(ひろみ)氏。「時々イラストレーター、時々研究者。普段はまったく違う仕事をしています」と、巻末の著者略歴にありました。この方の漫画が見開き右側です。その他にも、次の6名が1ページずつコラムを書かれています。オオサンショウウオを長年研究したり、飼育したり、環境保全に取り組まれたりしているので、分量は少ないですが内容が凝縮されています。 コラム1 桑原一司氏(日本オオサンショウウオの会会長、元広島市安佐動物公園副園長) コラム2 南心司氏(広島市安佐動物公園園長) コラム3 田口勇輝氏(広島市安佐動物公園飼育技師) コラム4 佐藤捷德氏(地元豊栄の自然を守る会会長) コラム5 土岡健太氏(東広島市自然研究会会長) コラム6 三宅将己氏(元豊栄小学校教頭)この本に目次はありませんが、次の6章に分けてオオサンショウウオと暮らすための50のことが書かれています。 1~10 初めまして編 11~19 特性編 20~30+余談 調査編 31~36 行動生態編 37~44 難しい話編 45~50 これから編上記のほか、まえがき、あとがき、参考文献、著者略歴を含めて全126ページです。この商品の特徴は、オンデマンド。on demandとは、「需要に応じて」という意味です。つまり、注文してから印刷され、本になります。amazonで販売中です。これだけ内容が詰まって1,404円ですので、いろんな人に紹介したい気分なのですが、私の周りにオオサンショウウオ好きはいません。清水則雄、山﨑大海『オオサンショウウオと暮らすための50のこと』オンデマンド (ペーパーバック)2019年4月1日、1,404円https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%A6%E3%82%AA%E3%81%A8%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE50%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8-%E6%B8%85%E6%B0%B4-%E5%89%87%E9%9B%84/dp/B07PYJ3Y66