ゆふいんの森 #1
先週、久大本線に新たなD&S列車が登場するというJR九州のプレスリリースを受けて考察を記しましたが、その中で今後の去就が注目されるゆふいんの森に今まで乗ってきた記録をここでまとめたいと思います。ゆふいんの森は定期列車で運行されるD&S列車のうちの一つで、特にアジア圏の国では有名な観光特急として乗車率が非常に高いのが特徴です。日によっては乗客の7割が海外客で占められるときもあることから、アナウンスや観光案内にも英語が使われています。新D&S列車と入れ換えか?と注目をされているのは、1989年から走り出しているキハ70、71の俗に「ゆふいんの森I世」と呼ばれるJR発足間もない初期の車両の方です。キハ70、71は、キハ58と65の足回りに車体を新製して組み合わせた専用車両で、現在はエンジンと変速機についてはバージョンアップをされています。ただ、ブレーキや足回りはそのまま使われているため、当然ながら老朽化の指摘もされています。加えて新製から35年が経ちますので、一般車と比べて耐用年数の短い特急形車両でありますから、いろいろと情報が錯綜する事情もよく分かります。引退が確定してからの乗り納めではなく、情報が少ない今のうちに乗っておいた方を管理人がおススメするのは、切符が言うまでもなく確保しやすいからなのです。第1回目は俎上に挙がっているI世の方について見ていきます。ゆふいんの森は金帯にメタリックグリーンの車体が特徴で、特別感を醸し出す色調と全車がハイデッカーで構成されています。製造当初は3両でしたが、乗客増に伴い4両に増強されて現在の陣容となっています。中間車のキハ70はキハ58を種車として改造された車両です。台車も旧来のコイルばね台車で、乗り心地については振動検知センサーがついたダンパを追加して改善に努めています。ただ、エアサス台車と比べると軌道状態の良くない亜幹線ではやはり乗り心地はあんまり良くないんですよね。先頭車のキハ71はエアサス台車を搭載しているキハ65の改造なので、幾分かキハ58よりも乗り心地は優れていました。最高速度はブレーキが旧式であることから、95km/hと高速で走行する鹿児島本線では物足りない数字です。車内はハイデッカー構造で、フリーストップ式のリクライニングシートが960mmピッチで並びます。全車指定席の普通車で、アコモデーションは同じ時期に登場したハイパーサルーンこと783系のものに準じています。登場当初は4人掛けセミコンパートメントはなかったのですが、2003年のリニューアル工事で加えられました。3号車にはサロン室が併設されています。ここではゆっくりと車窓を楽しめる他にも、子ども用の制服が用意されていて、旅の記念写真を撮ることができます。サロンにはこんな屏風絵風の絵が飾られています。2号車にはビュッフェがあり、ここで車内販売や限定のお弁当を購入することができます。食堂車を意味するナイフとフォーク、コーヒーカップのロゴはファンにとってはたまらないサインです。ゆふいんの森のビュッフェは、時刻表ではカフェテリアと表記されていますが、その名の通りコンパクトにまとめられた設備になっています。カフェテリアには洗面台があり、その隣に模型や沿線の特産品が飾られているギャラリーがあります。I 世は今年で製造から35年が経っているので、車内については陳腐化もありますが、完成度の高い内装ですので、さほど古さを感じない設備となっています。次の回では後継のIII世についても取り上げる予定です。