キハ40の動向(2023年11月版)
不定期連載恒例の国鉄車の動向ですが、久々にキハ40に特化したものを2年半ぶりにまとめました。1977年の製造開始から46年。残存率もほぼ50%と堅牢な構造のため、電車よりも異例のご長寿車両として注目をされるようになってきています。この記事では、キハ40の現状と短期・中期的展望について書いていきます。【JR北海道】H100(DECMO)の継続投入により、その数を特に減らしている地域が北海道。いよいよ再来年の3月に定期運行終了が北海道新聞の記事で明らかになりました。今年度に限定しても、富良野線で運行が開始された以外にも旭川近郊区間で勢力を拡大していたので、運用範囲は狭まっていました。来年度はオホーツク管内でもH100の運用が始まる他、キハ150の函館転属が予定されているので、今よりも更に乗車チャンスが減るものと見込まれます。最終的には北海道の恵みシリーズや山明、紫水などの観光列車のみが残る予定で、これらの6両については、花たびそうやなどの臨時急行やその他の臨時列車、波動用に用いられます。【JR東日本】残っている9両はリゾートしらかみ、越乃Shu*Kura、風っ子で、いずれも観光列車や臨時列車として使われています。ただ、いずれも経年車であるので、いつ引退の告知があってもおかしくない状況です。管理人はリゾートしらかみと越乃Shu*Kuraには乗ってきましたが、風っ子は早めに乗りたいですね。【JR四国】20両が徳島地区で最後の活躍をしている状態です。その20両についても新型ハイブリッド車の置き換えで全廃になることが確実になっています。先月、国際入札の結果が明らかになり、58両~70両が近畿車両で製造されることが決まりました。近車の製造になると、以前実用試験車として走っていたSMART BESTのような車両の改良型が入るのではないかと見ています。また、キハ40以外の国鉄車についても、このハイブリッド車で置き換える計画のため、四国管内の国鉄車はキハ185系のみが2030年前後に残るものと考えられます。【JR九州】110両ほどが九州各地で現役で動いています。BEC819系やYC1などの置き換え車の増備が止まっている状態のため、置き換えがどこまで進むかは不透明になってきました。ただ、後述するJR西日本車のように老朽化が問題になっているので、更新をどこで行うか、その行方が注視されます。九州のキハ40は主に、日田彦山線や後藤寺線といった筑豊地区、長崎本線(江北~諫早間)、宮崎、鹿児島の南九州などで確実に乗ることができます。或る列車やかわせみやませみといったD&S列車も健在なので、2020年代も残る公算は高いでしょう。【JR西日本】240両以上の車両が大量に残っており、北陸や山陰、中国地区で活躍中です。残念ながら車両更新については現在はアーバンネットワーク管内や岡山地区(227系、273系)に集中しているので、その話は出てきていません。ただ、富山の23両(花嫁のれんとべるもんたを除く)については、氷見線と城端線のあいの風とやま鉄道への5年後を目途とした経営移管の話が出てきており、そのタイミングで新型ハイブリッド車への置き換えを行うと発表しました。これが行われると、キハ40はJR管内では西日本以西でしかほとんど見られないことが確実になってきます(北海道、東日本は観光列車、不定期列車のみ)。また、このブログでも取り上げたように、水素車両の実用化を発表しているだけに、いずれ車両の入れ替えは早かれ遅かれやってきます。入れ替えるタイミングとしては、岡山の227系の増備が完了してからになるのではないかと推察します。これが終わると、電車の車両更新が概ね一段落(奈良線の205系や播但線、加古川線を除く)するので、残った山口の115系や105系、123系といった国鉄型電車やキハ40を俎上に挙げる必要があるでしょう。尼崎の脱線事故の教訓を考えると、いつまでも古い車両を走らせるわけにはいかないのが本音ではないでしょうか。しかし、山口県は広島の近郊区間に含まれる岩国周辺やスーパーおきを除いてほとんどの定期列車が国鉄車であるだけに、車両を通して各地のカラーが見えてきたりはしますね。【まとめ】ほぼ半世紀生き抜いてきた車両が400両以上令和の時代になっても残るなど、今後しばらくは電車を含めた国鉄型車両の最大形式となることが確実です。それでも5年後は100両以上の廃車が見込まれるため、徐々にですが、全国的に縮小傾向となっています。電車よりも廃車のペースが鈍いので、中古車に関しては小湊鉄道や北条鉄道など、私鉄や第3セクターに譲渡されて走る列車も出てきました。一方で、岡山や広島、北九州、熊本といった政令指定都市でも定期列車で未だに見ることが出来ますし、どこまで使うんだろうなあという疑問も一般のお客さんからはあるかもしれません。とはいえ、老朽化が進んでいるのは確実ですので、ずっと永続的に使うわけにはいかないでしょう。あと6~7年が分岐点になりそうな形式ですね。