考察・南海新型こうやについて
南海の中期経営計画にも盛り込まれている高野線用の特急こうやについて、いよいよ置き換えの目途になってくる年度が近づいてきました。現在のこうやは1983年に製造された30000系と、1999年に特急増発用として追加製造された31000系の合わせて3編成によって賄われています。他にも、りんかん(難波~橋本間の短距離特急)用の11000系もありますが、置き換えのターゲットになるのは30000系かと考えられます。そこで、新たに導入されるこうやがどんな車両になるのか考えていくのがこの考察です。【基本諸元について】押さえておかなくてはいけないポイントは、橋本以遠の山岳区間を走ることです。橋本から先は急曲線があることから、4扉大型車の乗り入れは不可能です。そのため、車体は17m級の中型のものであること、台車は急曲線対策としてボルスタ付きになること、全電動車編成であること、ホームの有効長が短いことから4両固定編成になることなど、かつてのズームカーで使われた諸元を踏襲する必要があります。このため、新型特急車についても4両で出てくることはほぼ確実です。【新型車両の仕様】ここからは予想です。来年度の導入に際し、日経新聞の記事によれば、新たに名称や料金などを新規に設定する計画があるそうです。また、車内からの景色を楽しめるよう広幅の窓が採用される他、飲食サービスの提供が予定されているとのことで、現行のこうやとは違った色の車両が入る可能性が強くなっています。高野線は特にフランス語圏(フランス、スイス、ベルギーなど)に住むインバウンド客の利用が多く、ケーブルカーの自動放送にフランス語が導入されているほどです。そうなると、新型車を考える上でヒントとなるのが、姉妹鉄道関係を結んでいるスイスのMOB(モントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道:Montreux–Oberland Bernois railway)です。ここで使われている車両のデザインが一つ、ヒントとなる雰囲気が漂います。MOBは南海と同じく山岳路線を有していて、一昨年の12月からは新たな観光特急として、ゴールデンパスエクスプレスがモントルー~ツヴァイジンメン~インターラーケン間を走り出しています。The expected Nankai new limited express train can be influenced by Swiss private railway company, MOB (Montreux-Oberland Bernois railway). The state-of-the-art train could be possible to provide onboard catering, as well as two class seats (standard class and first class). It may replace the existing class 30000 (used for two limited expresses, "Koya" (Osaka Namba~Mt.Koya) and "Rinkan" (Osaka Namba~Hashimoto) ). MOBのゴールデンパスエクスプレスはこのようなデザインです。眺望性を重視した設計になっていて、側面の窓が西武のLaview以上に大きく寸法が採られています。(※This picture is provided for public use from the MOB official website.)車内では食事が提供されていて、ワイン等のアルコール類が飲めるだけでなく、キャビアが注文できる(但し、ファーストクラスとプレステージクラスのみ)など、かなり豪華な列車です。食事については事前予約を取っているので、これについてはJR四国のものがたり列車やJR九州の一部のD&S列車のケータリング方式と似た面があります。しかし、スイスは物価が高い国で、朝食のセットが何と日本円で2000円も・・・(^^;;)。この朝食セット、内容はクロワッサンにジャム、バター、コーヒーなどの温かい飲み物、オレンジジュースの5品でです。これならば、伊予灘ものがたりの大洲編の朝食が相当良心的なことが伺えます。南海はそこまでえげつないことはしないでしょう。シートについては3クラス制を採用していて、スタンダード、ファースト、プレステージの3クラスでシートの幅やサイズが異なります。南海もラピートで2クラス制を取っている他、サザンで一般車と指定席を導入するなど、新型車でも2クラス制を取る可能性はありそうです。初代のこうやは内装をあの百貨店の高島屋が手掛けた実績があるので、これに倣うとかなり豪華な仕様で出てくることがあり得ます。さて気になる車両ですが、来年万博を控えていることから、そろそろ概要が発表されるのではないかと見ています。現在は阪急のPRiVACEが関西私鉄の話題を独占しているので、これのデビュー後かなと。インバウンド客を高野山に呼び込むためにも、周到な計画は水面下で練っていそうですね。MOBについてはホームページがありますので、こちらも是非参照してみて下さい。ちなみにMOBのスタッフは英語を含めフランス語、ドイツ語、イタリア語が堪能なマルチリンガルなスタッフが揃っており、研修も手厚く施されているようです。MOB official website (English is available.)https://journey.mob.ch/en/